036/きょうだい


「ばーか」
「………喧嘩売ってんのか?」
「喧嘩なんて無形物売れませ〜ん」
「てめえが言い出したんだろ?」
「そうだっけ? 忘れた」
「3行前のことくらい覚えてろよ単細胞」
「単細胞だから忘れんじゃないの?」
「ああ。」
「……納得すんなよ。」
「いいじゃん。」
「いいのかよ」
「………だって、ねえ?」
「ねえっていわれてもねえ…」
「ま、どうでもいいだろ」
「ふーん。…ねえねえ、煙草頂戴」
「駄目だ。お前未成年だろ」
「兄貴より10も年下だからね。俺が子供なら兄貴はおっさんだよ」
「……まさか23でおっさんと呼ばれるとはな」
「13歳から見れば23歳はおっさんだね」
「それは…世界に喧嘩を売ってるぞ」
「世界なんて相手に回さないよ。俺が相手に回してるのは兄貴だけ」
「どうでも良いけど。じゃあ、そろそろ俺のベッドから降りてくんない?」
「えーいいじゃん」
「……へ〜」
「な、なんだよ」
「サミシイの?」
「ば、ばっかじゃねえのっ!」
「莫迦はお前だ。サミシイならサミシイって素直に言えよ」
「さみしくなんか……」
「そうか? そういえば、今日月命日だよな。ちゃんと挨拶したか?」
「したよ」
「ほら、泣いてるじゃないか。サミシイんだろ?」
「………サミシイよ」
「おっさんの兄ちゃんと添い寝したくなるくらいサミシイんだろ?」
「………」
「まあいっか。ふたりだけの兄弟だしな。好きなだけ居れば良い」
「なあ、兄貴」
「あ?」
「兄貴は、何処にも行かないよな」
「行かないよ」


(2003/08.18 598文字)



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