048/熱帯魚
「綺麗だね」
「ありがと」
「まるで熱帯魚みたいだ」
「それって誉めことば?」
「そうだよ」
「じゃあ、"ありがと"」
「ねえ、熱帯魚ってさ、凄く凄く綺麗だけど、共喰いするって言うじゃん」
「………」
「きみも、共喰い、するの?」
「さあ、どうかしら?」
「最近さ、カニバリズムって流行ってるみたいじゃん。巷で」
「あらそう、」
「そうだよ。新聞の一面を1週間連続で飾ってるじゃない。殺された人間にはみんなはらわたがないってやつ」
「物騒ね」
「物騒だよね」
「………」
「これ、きみでしょ。犯人」
「どうしてそう思うの?」
「だって僕、見ちゃったんだよ。きみが食べてるところ」
「………」
「ピンクの服が血だらけで、髪は金色。いろんな色をまとった熱帯魚みたいで。凄く綺麗だった」
「何がいいたいのかしら」
「ねえ、僕も食べてよ」
「………」
「僕、ずっと誰かに食べてもらいたかったんだ。自分を」
「………」
「それとも、僕は熱帯魚みたいに綺麗じゃないから、駄目かな」
「……そんなことないわ、」
掴まれた肩。首の熱。うなされるほどの快楽。
遅いくる痛みも、僕にはただの興奮材料に過ぎない。
(2004/03.21 466文字)
カニバリズム。
する側とされる側。
究極のマゾですな。
100text