053/壊れた時計


 ときが止まった。
 一体いつからこの状態なのだろうか。
 ときが止まって。
 一体いつまでこの状態なのだろうか。

 暗い、ひかりの差し込まない瓦礫の下で。
 一体いつまで、このままなのだろうか。
 時計は止まってしまった。
 あれから一体どれくらいの時間がたったのか、知る術はもはやない。

 のどが渇いた、ような気がする。
 おなかがすいた、ような、気がする。
 頭が痛い、ような。気がする。

 目を閉じているのか開いているのかさえ、わからない。
 ああ、そうか、だから深海魚の目は退化したのか。
 ひかりのない闇の中では、視力なんて何の役にも立ちはしない。
 ざわざわひゅおひゅお、風邪が通り抜ける音だけが、聞こえる。
 この躰が風だったなら。小さな隙間から、逃れることが出来たのに。
 どうして、肉体を持ってしまったのだろうか。
 この躰が、風だったなら―――。

 ――――――――――……………。

 かさりと、音がした。
 ぱらぱらと、砂が、落ちてくる。
 薄いひかりが、差し込んで。
 差し込んで、時計を照らした。

 針は、5時46分を、さしていた。


(2003/10.31 432文字)



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