061/飛行機雲
草むらにねっころがって見上げる空には、縦横無尽にまっすぐな雲が走っていた。
町の方から、教会の鐘が深い音色を何度も響かせる。
この国の女王が崩御したという。号外が出回っていた。国民はみんな仕事を辞めて、1日喪に服すという。
「あほか」
あんなババアが死んで、だからなんだって言うんだ。
だけど、こんなことを街中で言ったら、すぐに女王のあとを追うことになってしまう。王様の耳はロバの耳――じゃないけど、波風は立てないに限る。
王政なんて今更流行らない。この国を囲む諸外国は、みな資本主義を謳い、王族は一般市民になったというのに。
この国の情勢は決して楽観できるものではない。それはみんなが知っていることで。
飛行機雲が、一筋、女王が好きだったという赤色の線を描いていく。王宮から、王族墓苑まで。まっすぐに歪むことなく。
大通りを死体を乗せた車が練り歩くという。
まるで祭りじゃないか。
「ああ、そっか」
特別悪政だったわけではないけれど、女王の政治は保守的だという批判が生前横行していた。
この国は、数100年前に、騎馬民族が他の民族を倒して成立したという。
刺激が足りないんだ。
安定した政治とか、安定した国とか。そういう安寧にはまったく興味がない。そういう民族性。
女王の死後、既に王族内では血なまぐさい跡継ぎ争いが耐えないという。町では噂が耐えない。王子がどうだ、王女が、いや隠し子が――刺激たっぷりじゃないか。
まっかな飛行機雲がゆっくりと青い空に溶け出していく。
(2005/12.13 614文字)
思いっきりファンタジを書いてみたいけど書けない悶々。。。
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