飛行症候群


 東京を中心に、多発する若年層の投身自殺。
 一見無関係なそれらには、いくつもの類似点があった。

「ブッソウだなあ」
「絶対、そんなの思ってないだろ?」

 街角のファーストフードで、モニターを見上げる双子の姉弟。

「バレた」

 深川空と、

「そんな感慨も何もない顔で言われてもね」

 深川創。



 無関係な事件。
 無関心に回っていく世間。

 でもそれは、突然に背後に忍び寄る。



「ねぇ、空、飛ビタクナイ?」


 母親の自殺。空の異変。創の戸惑い。



 それはいとも簡単に、日常を壊して崩していく。


 日常に当たり前に存在する、圧迫感、閉塞感。抑圧されることに慣れてしまった毎日。
 息をするのさえ、苦しいほどに。


 地面を這って、短い一生を終える人間。


 1通のメールと、ひとりの少年。ひとりの母親と、一組の双子。


 そら、とびたいね


 失われた笑顔と愛情、ただひたすらに欲したのは、"空を飛べる人間"。





「だから、僕は繰り返す」





 そらをとんで、じゆうになりたい。





 願いは共鳴して。



 現実と絡み合ってひとつの結末を迎える。








(2003/07.15 初版)