ピアノの周辺―2003    

ピアノの周辺

【その後のレッスン】
2003年

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1.6.2003...

今年初めてのレッスン。元気に弾けたのはハノンだけ、なんていうのは年明け早々ちょっと寂しいですけど、 まぁ無いよりましと思うことにします。4番も2番もトリルが、なかなか弾けません。本当に覚えるのに時間がかかります。でも 練習、練習。沢山練習して、うんと楽しくレッスンに通うつもりです。ちっとも覚えられなくて、ああ苦しいな と思うこともしばしばですが、有る時期を乗り切れば、少しは弾けるようにもなってきますし、メロディが 身体に入ってくるようになると、それまでの泣きたいような気持ちも自然と忘れてしまって、なんとも言えない 嬉しい気持ちが湧いてきます。一曲、一曲が未知との出会いで堪えられない喜びです。

―毎回のレッスンで先生が言われたことを聞き漏らさない、忘れない。―
これが今年の目標です。

27.インヴェンション4番ニ短調<1分20秒>(L150-152)

トリルが第一の課題でした。次に高音部と低音部で交互にでてくる主題の流れをつかむこと。 できたとはとても言えませんが、教室では一応終わりで、次に進むことになりました。

1.20.2003...

インヴェンションを弾く目的の一つに、両手の独立性を高めるためにとありますが、悲しいかな、 その前にそれぞれの手の一本一本の指が独立していません。ポツポツと練習していて、そんなに 直ぐにできるようになるわけないことは、頭で分かっていても、ここまでできないと本当に悔しいもの ですね。しかし、こればかりは、練習していくしか、他に方法がないわけで、ハノンもトリル を集中して練習することになりましたし、いつかは弾けるようにと、気長に練習することにします。

と、まぁ、ピアノに向かっていると、一応素直になるといいますか、普段の生活態度からは、想像も つかないくらい、しおらしくなったりします。自分で言ってれば世話がありませんが。次回は、トリルの ない14番に挑戦。ああ、トリルがないというだけでスキップしそう。

28.インヴェンション2番ハ短調<2分36秒>(L152-153)

私には、とても難しくて、くたびれ果てました。でも好きです。この曲。

1.27.2003...

現在のレッスンと並行して、今後は、他の作曲者の小さな小さな作品を弾いていくことになりました。 今日渡された新しいテキストを一通り見てみました。テレマンから始まって、カバレフスキーまで 23人の作曲家、計60曲。練習時間をどうしようかと考えてしまいますけど、色々な人の曲も弾いて みたいし、それにこうやって眺めているだけでも、愉しいことがいっぱい詰まっているようで、 なんだかワクワクしてきます。新しい空気が入ってくることは、インヴェンションの練習にも 好い影響があるように思います。これは、追々実感していくのでしょうけれど。

ところで、とても余韻の残る本を読みました。ブリューノ・モンサンジョンの著した『リヒテル』という 本です。「ありのままのリヒテル」、「音楽をめぐる手帳」の二部構成の本です。前者は、 モンサンジョンが晩年のリヒテルにインタビューして、それをまとめたもの。 対話形式ではなく一人称の語りとして記されています。後者は、1970年から1995年までの 演奏会や録音音楽を聴いてのリヒテル自身による覚書のような内容のものです。 バッハのパルティータの聞き比べをしていたり(グールドの演奏についても触れています) 、バッハの曲は、"日々の糧"などという記述があったり、良い演奏を聴いた時の評などは、喜びに 溢れた表現で綴られています。時には、驚くほど辛らつな評もありますが。とにかく音楽、音楽、音楽で 詰まっています。モンサンジョンの序文が、これまたいいのです。これだけでも独立した 読み物としての面白さがあります。寝不足すると分かっていても、床の中で 読み始めるとなかなか止めることができません。読み終わって堪能したというよりは、本にあてられて ボーっとしてしまいました。同時期につくられたという映画を次は見てみるつもりです。

『リヒテル』ブリューノ・モンサンジョン、中地義和、鈴木圭介訳 筑摩書房 2000年発行

2.3.2003...

「覚えたと思っても片っ端から忘れちゃうのよ。」 「それは私も同じです。あんなに一所懸命、頭に入れたつもりでも、新しい曲の練習が始まると、呆れるくらい 覚えていません。」これは、仕事場の休み時間の会話です。身近なところにピアノの練習をしている方が いました。もう、かなりの年配の方で、やはり同じようにゼロからスタートされていました。「練習して いると、あっという間に時間は過ぎちゃうけど、愉しいものね。」「本当にそうです。弾いていること そのものが愉しいですよね。」

新しいテキストの一曲目。ゆっくりとした曲。インヴェンションに比べたら、音符の並びも空き空きで、 簡単そうでしたけど、うーん、やっぱり難しく感じました。ときどきドスンと大きな不釣合いな音がしたり、 まただすべき音がでていなかったり、それぞれの指に神経を集中させるのって難しいですね。 インヴェンションの14番は、やっと雰囲気をつかんだところです。

29.メヌエット(テレマン.1681-1767)<1分50秒>(L155)

2.10.2003...

インヴェンションの14番は、私にはなかなか手強い 曲です。トリルが無いからなんて飛びついたのですが、不埒な考えでした。弾けるようになったと思っていた 小節も、違う小節を練習してから、通しで弾いてみると、あらら、またつっかえてしまいます。また元に 戻って、部分的に何回も繰り返してみて、あっちヘ行ったり、こっちに戻ったり、そうやってまた通して 弾いてみます。でも駄目。なんだか全体がギクシャクしていてこなれていません。滑らかに流れるように、 尚且つ感情も込めることができたりして、ああ、そんなふうに弾いてみたいものです。次は10番をやることに なっていて、その譜読みもしなくてはならなかったのですが、この一週間は、その余裕もなく14番にかかり きりでした。でも、今の状態ではロボットの体操の伴奏みたい。

でも、これほどできなくても、バッハの曲を練習していると、深くて大きなものに包まれている気持ちに なりますし、幸せな気分になれます。とっても大切な元気の素をもらっているなと想うのです。時には遭遇して しまう仕事上の嫌なことも、ピアノを練習していれば忘れてしまいますし、まぁ些細なことだ、とも思えてきます。

30.ジグ(テレマン.1681-1767)<1分07秒>(L156)

テレマンの2曲目。テレマンの名前を初めて聞いたのは、中学生の時の音楽の授業でした。なんだか当時が 懐かしくなって、音楽の先生の名前や教室の様子など思い出したりしています。

2.17.2003...

先日の深夜、「メニューインの子供たち」という テレビ番組がありました。メニューインが子供たちにヴァイオリンを教えています。98年から99年に撮影 されたものですから、メニューインは、半ばで亡くなってしまいます。子供たちは、小学校の低学年、最初は ヴァイオリンを持つ腕や指の形を教わっていました。半年ほどして、やっと本物のヴァイオリンで、レッスンが 始まります。音楽環境が特別に有るというわけでもない、普通の家庭の子供たちで、番組では親の表情なども 丁寧に追っています。印象に残ったのは、楽器にしがみついて演奏してはいけないということです。やはり、 楽器を演奏するときの脱力は、本当に大切なことなのですね。振り返って、自分のピアノのことを考えて みると、余裕がないと言いますか、だんだん姿勢も悪くなってきますし、弾き終わると肩から背中がバリバリ です。筋張った指から、きれいな音色が出るわけないですね。脱力、脱力と呪文をとなえる毎日です。

31.インヴェンション14番変ロ長調<1分54秒>(L154-157)

左手が弱いことを実感しました。スピードアップができて、両手の指がきちんとそろって、指がよく動いて、 そして本当に丁寧に弾くことができたら、、、どんなにいいかなーなんて思います。

32.メヌエット(ロカテッリ.1695-1764)<59秒>(L157)

ロカテッリ、名前を聞くのは初めてです。イタリア生まれの人だそうです。

2.24.2003...

中国へ帰国する友人に、グールドのCDをプレゼント しようと思って、CDショップへ行ったのですが、目指しているのがなくて、結局自分用にヴァイオリンの曲 を一枚買いました。ヴァイオリニストは、1974年生まれのマキシム・ヴェンゲーロフという人です。バッハの 「トッカータとフーガニ短調」を、バロック・ヴァイオリンで弾いています。バロック・ヴァイオリンって、 どんなものなのでしょうか。聞こえてくる音色は、とても深くて、ちょっとチェロの音色に似ているなとも感じます。 バッハ以外では、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番、第3番、第4番、第6番。シチェドリンの エコー・ソナタ、バラライカ作品100の曲が入っています(これらは、普通のヴァイオリン演奏)。 それぞれがとても素晴らしいと感じます。豊かな音色に、圧倒されています。

33.メヌエット(モーツァルト)<1分20秒>(L158)

この曲は、テキストではケッヘル番号が1番となっています。次に練習するメヌエットが2番で、6歳の時の 作品と解説にはありますから、これもその年頃の作品なのですね。可愛いらしい曲です。 始め音符を拾っていた時、優しい音に展開していく様子などに、ドキッとしたりしました。
モーツァルトは、何を考えながら、この曲を作っていたのかなと思いながら練習しました。短い曲なのに、なかなか 覚えることができず、私には、やっぱり難しく感じます。

3.3.2003...

雨を伴った春一番が吹きました。強い風に流されて雨は、 それこそ横殴りに降り続けました。今年の春の訪れは厳しいななどと思いつつ、教室へ。このところ一月程 練習していたトリルの指の練習も先週で一応終わり。後は自宅練習になりました。続いて3,2,1の指で 順番に同じ鍵盤を弾いていく練習が始まりました。これって筋トレかしらなんて思ってしまうほど、家では チカラを込めて練習していたのですが、教室で、<脱力の練習です>と教えてもらって、一人赤くなってしまい ました。そうですよね。鍵盤使って筋トレするわけありませんものね。なんでこうマヌケなのでしょう。

ただいま練習中のインベンションの10番、危うく今日おしまいになるところでした。できないながらも、やはり 納得して次に進みたいものです。指が動くようになるのを待っていたら、それこそいつまでも弾き続けなけれ ばなりません。それでも弾けるようになるかどうかなんて分かりません。でも自分でも練習が足りないのは、 よく分かっていますし、もう少し、もう少しと思います。そんなことで粘って、もう一週間だけ練習を継続 することになりました。一週間の進歩なんて無いも同然かもしれませんが、やるだけのことはやってから。

34.メヌエット(モーツァルト)<1分02秒>(L159)

モーツァルトの2曲目。ケッヘル2番の曲です。モーツァルトのことを書いた本を読んでいたら、4歳で、すでに 鍵盤楽器が弾けて、5歳から作曲を始めたそうですね。なんとまぁすごい方なのでしょう。この曲を練習していて感じた ことは、よーく音を聴かないと全体が弾けないなということです。難しい音符がならんでいるわけでは ないのに、集中しないと駄目だなーと感じました。それからもう一つ、本を読んでいて、私にとっては新しい発見が ありました。よく見かけるモーツァルトの肖像画(少し俯き加減の顔を左側から捉えて 描かれたもの)目は大きく見開いているのですけど、ちょっと虚ろな感じがします。どうしてこういう肖像画 なのかと、ちょっと見入ってしまいますね。これは、ピアノフォルテに向かっている時の様子を描いたもの ということでした。ああ、それであの表情も分かる、納得できるという気持ちがしました。

『変貌するモーツァルト』海老澤敏著 岩波現代文庫より

3.10.2003...

「世論は間違うこともある」耳を疑う発言です。 どんどん戦争に突き進んでしまいそうで、小さくても反対の声をだしていかなければと思います。一人 一人は小さくても集まれば声は形になっていくのですから。 集会とデモに集まった人々を見ていたら、已むに已まれず、そんな気持ちで来た人が多かったようです。 私も同じです。土曜日の日比谷公園は、人人で埋まっていました。

さて、レッスン。インヴェンションの10番。どひゃー、ムズカシイ。せめてなんとか形にしなくて はと、それなりに練習はしたのですが、例えれば、ガラスを拭けば、窓枠の汚れが目立つように、ドレスアップ をすれば、いつも持ち歩いているバッグの貧弱さが目立つように、マズイ部分が次々と目に付いてきました。 練習はまだまだ続くことになりました。

35.アレグロ(モーツァルト)<57秒>(L160)

モーツァルトの3曲目。ケッヘル3番、1762年の作品だそうです。飛び切りに可愛いなと感じました。

3.17.2003...

情勢は日を追って悪くなる一方です。人殺しが正義だなんて 狂っています。殺人に加担するのは、本当にいやです。辻褄の合わない言葉を並べて、アメリカの追随に はしる日本、恥ずかしいです。

36.インヴェンション10番ト長調<1分10秒>(L157-161)

2週間前に、打ち切りになるところでした。できたとは言えませんが、今はこれが精一杯。ま、仕方あり ません。でも途中で放り出すのは、やっぱり嫌でしたから。

37.メヌエットの速さで(モーツァルト)<1分15秒>(L161)

モーツァルトの4曲目。この一月、モーツァルトの初期の作品を楽しみました。私には、難しいなとも感じ ましたが、独特の愛らしさに、なんだか母性本能を刺激されて、くすぐったい気持ちになりました。次回は、 シューベルトです。来週は、春休みでレッスンはお休み、ここも休みます。

3.31.2003...

休みあけのレッスン。いつもなら<待ってました>と 朝からウキウキした気持ちになって、いそいそと教室へ出かけて行くのに、今日は、重い足取りで教室へ。 それは練習が足りないからです。ピアノの前に座っても、気持ちが集中しません。仕方なくメトロノームに合 わせて、機械的に練習してみましたが、あんまり続けると味気ないものです。

今日見てもらったのは、インヴェンションの3番と、シューベルトのエコセーズという小さな曲です。結局、 どちらも片手ずつからのやり直しをしてくることになりました。 それも当然の結果なのです。ただ鍵盤を叩くだけ、自分でも何を弾いているのか分かっていないのですから。

桜がちらほら咲き始めました。あそこにもここにもと開いた薄紅色の花を見上げていたら、そのありのままの 生命の美しさに、殺戮を繰り返す人間は、本当にアホで愚かな生き物とつくづく思います。やりきれない気持ち になりますが、だからこそ、戦争はいけないと言い続けるしかないのですね。

4.7.2003...

シューベルトのエコセーズという曲は、とても短いの ですけどリズミカルで可愛らしい曲です。指を広げて和音を弾いたり、1オクターブ音が飛んだり、わずか 16小節なのですけど、なかなか難しいなと感じます。スピードは速めですし、なにより楽しく弾かなくては なりません。

今この時、とても楽しい気持ちにはなれません。結局、義務感みたいな気持ちで弾いてしまいました。 来週はインヴェンションの3番の仕上げです。5番の練習も始まりました。この5番、とても好きな曲です。 素人の遊びにすぎないのですけど、私にとってはピアノは大切なもの。せっかくの時間を無駄にしない ためにも気持ちを集中させて練習しようと思います。

戦争が一刻でも早く終わりますように。不買運動に上げられている商品を見ていたら、私の家でも結構 使ったり食べたりしていました。できる範囲で買わないようにしていくつもり。まぁ、本当に小さな抵抗ですが。

4.14.2003...

一つの国の社会組織が、あんなにめちゃくちゃに されていいものでしょうか。これから、アメリカはイラクで何をするのでしょう。やりたい放題何を するのか、見ておかなくてはと思います。見えるものと見えないもの、よくよく考えなければならない ことばかりです。

さて、レッスンです。インヴェンションの3番は、また持ち越しとなりました。弾けたり弾けなかったり、 運が良ければ、とちらないなんて、ちょっとどころか大いにマズイですね。先生の前では、結局 ボロボロで、<どうして、こうも弾けないのでしょう>なんて、泣き言を言ってしまいました。

38.ポルカ(グリンカ、1804-1857)<29秒>(L163)

ポルカって、もともとはボヘミアから起った舞曲なのだそうですね。どんなふうに踊ったのだろうと 思います。裾の長いスカートを身に着けて、陽のあたる原っぱで踊ったら気持ちいいでしょうね。

4.21.2003...

長いことできなかったことが、ある日、ふと気付くと できるようになっていたなんていうのは、小さな事でもやっぱり嬉しいものです。

インヴェンションの3番、これもまた私には難しい曲でした。問題点の一つは、低音部のメロディが、部分的に聞こえて こないということでした。でもいつのまにか、ちゃんと聴きながら弾いていて、ありゃりゃ、まさか空耳じゃない でしょうねと、それから何回も確かめるように弾いてみました。まぐれではありませんでした。 嬉しくて思わず涙ぐむほど(冗談です)。ま、他にも問題点は、多々ありますが、そんなに一遍に 解決できません。

ですから全体を見れば、それはそれは下手なものです。 やけにスローテンポですし。この曲、最初は曲見知り?していましたけど、一月余り、付き合って、 今ではすっかり好きになりました。

39.インヴェンション3番ニ長調<1分42秒>(L162-165)

4.28.2003...

社会人になってから、会社の同好会で ギターを一年間程習ったことがあります。でもギターは続きませんでした。最初の頃は、それなりに夢中になって 練習しましたけれど、あっ、駄目、これは私にはできない、と悟ってからは、あっさりとやめてしまいました。 何の未練も、後悔もなくです。できないと感じるのは、今のピアノも同じこと。でもやっぱり好きな度合いが違います。 できないから、もっと練習する、なんて考え方も変わります。ね、だから、好きなことをやるのが一番。

40.乱暴な騎手(シューマン、1810-1856)<1分04秒>(L166)

教室では、もっと速くといわれました。で、速く弾いてみたら、見事に落馬。 自分のペースで弾くと、こんなです。今後の課題が、また増えました。

5.12.2003...

夜、家の前の田んぼの蛙がよく鳴いています。中には 虫の声も聞こえます。本当に合唱しているみたいだなと思います。でも、人間にも分る節回しで合唱されたら 、面白いけどかなわないなと、ちらっと思います。しかし、人間も戦争のことばかり考えていないで、ちょっとは、 小さな生き物を見習った方がいいみたい。人間社会は、不安な空気に包まれていますね。

先日、探していたCDをやっと見つけました。ユーリ・バシュメットという人。1953年、ウクライナに生まれた 方だそうです。以前ある本で、グールドに比肩する音楽家と紹介されていて、何も知らない私は、ピアニストかと 思っていましたが、ヴィオラを演奏する人でした。ブラームスのヴィオラ・ソナタ第1番と第2番 を聴いています。ヴィオラの音色も独特で美しいものですね。それにしても、楽器を越えて、音楽って、 こういうものかもしれないなと感じてしまいます。とても深い音楽です。

インヴェンションの5番は、教室では一応おしまいになりました。だいたい2分を超えると、私は集中力が 切れてしまいます。弾くことだけで精一杯、ああ、難しいよ。発表会で弾く曲を、来週までに決めなければ なりません。先生が薦めてくれたのは、好きなのですけど、とても私には弾けないなと思ってしまう曲です。 私が密かに(半分夢みたいに)目標としている曲は、その先の曲ですから、やっぱりこの機会に教えてもらおうかな。

41.インヴェンション5番変ホ長調<2分05秒>(L165-167)

5.19.2003...

今日から、教室ではハノンも小品集の練習も一時中断、 発表会に向けての練習が始まりました。今年、取り組むのはフランス組曲第5番のアルマンド。これは、私には 無理だと思いながらも、まず右手で音を拾っていきました。とても清らかな調べです。甘い空気に包まれてい るような、優しくて温もりがあって、どこまでも透明な光を感じます。すっかり、惹き込まれてしまいました。 この曲を練習できるなんて、本当に幸せです。嬉しい気持ちが込み上げてきます。今年は時間もたっぷりあって、 この先4ヶ月、きちんと練習していこうと思います。

趣味のピアノと言っても、今や生活の一部です。日によっては、ほんの30分くらいしかピアノに触れない時も ありますが、たったそれだけの短い時間でも、目先のことから離れて、別の次元に(大げさではないつもり) 行くことができるなんて、この頃、感じています。そして、こういった時間は、今とても必要です。自分の中で、バランスをとっていく ためにも。

5.26.2003...

先週の土曜日は、近くの小学校の運動会。いろいろな 競技のほかに、毎年その年に流行っている曲を使って、ダンスかマスゲームをやっているようです。再放送 が始まったこともあるのでしょう。今年は、「ひょっこりひょうたん島」のテーマ曲が流れていました。 いやー、懐かしい。これなら全部歌えます。♪波をチャプチャプ〜、雲をスイスイ〜、丸い地球の水平線に何かがきっと待っている。・・・ テレビが漸く各家庭の茶の間に定着してきた時分ですよね。あの頃、水平線の向こうに、私たちは何を 夢見ていたのでしょう。小学生だった私は、外で遊んでばかりで、原っぱに寝ころがって、<あの雲何に 見える>なんて友達とたわいなく遊んでいた時でもありました。

さて、今日のレッスン。しばらく2声ばかり練習していたので、3声になって、少々戸惑っています。 4分音符は、ここまで。8分音符はここまでと音の長さを矢印で楽譜に書き込んだりして、指をゆっくり 鍵盤の上で、音の長さのとおりに上げたり下げたり、まぁ時間はいっぱい有るし、急がない急がないと 教室へ行ったら、フレーズの読み方が甘い、とは直裁には言われませんでしたが、もう少し読み込むように と注意を受けました。でも、そこまではまだ辿り着いていないのです。ああ、やっぱり、♪泣くのは嫌だ 笑っちゃおう、進めー・・・でいくしかないみたいです。

6.2.2003...

両手で弾いているのに、低音部のメロディが聞こえて きません。わずかに音として聞こえてきても、それぞれの声部と密接に絡み合ったものではありません。 飽くまでも単独でぼそぼそと道を探しあぐねて途方にくれているようです。今日は、低音部を集中して練習。 歌いながら練習することは大切です。でも、今はピアノの音を追いかけて、それに歌を合わせているところが あって、自分の内側から歌っていかないと、同じ歌っていると言っても、だいぶ違います。

心も身体もピアノに向かって、ピアノと一つになることができたら、どんなにいいだろうかと思います。 遥かに遠い道のりです。練習をしていって、一歩一歩近づいている気になっても、実は、どんどん遠ざかっているの かもしれません。けれどこの曲は、不思議な力を持っているなと感じます。歌えない私にも、何かを語りかけてくるような 気がしますから。不思議だなと思いつつの練習です。

さて、話は変わりますが、最近読んで、とても面白かった本のこと。 印刷されている昆虫の絵は、作者がフリーハンドで描いたものだそうです。今にも動きそうで、きれいで 可愛くて見ていると楽しい気持ちになります。手塚治虫さんが、16歳のころに書いた昆虫に関するエッセイ集です。 昆虫の世界が実に細かく丁寧に、ユーモアのある文章で紹介されています。読み終えた今、ほのぼのとした 気分に浸っています。

『昆虫つれづれ草』 手塚治虫著 2001年11月発行、小学館文庫。

6.9.2003...

いま練習しているフランス組曲の5番は、ト長調です。 その最初の曲、アルマンドを練習していて感じるのは、健全な明るさです。甘くて優しくて、少々ロマン チックな感じも受けますが、陽気に明るいというのともちょっと違って、肉体も精神も非常に安定している ドライな明るさです。光に例えれば、日中の強い陽射しではなくて、清潔な朝の光。まして夕暮れ時や、 たとえ星空であっても、夜という印象は感じません。この前に練習していた、インヴェンションの10番も ト長調。出来はどうであれ、とても面白いと感じて、のめり込み、そして楽しんで弾いた曲です。

バッハの曲でも短調の曲のほうが、なんとなく惹かれるし、それに聴いているとしっくりします。自分には 短調のほうが合っているかなと思っていましたけれど、そうでもないようです。実際に弾いてみて、少しは 身体全体で音楽を感じていると思うのですけど、その反応を見ると、ト長調は、断然心身共に心地好いのです。 何の調と波長が合うかというのも、こうなると色々な曲を弾いてみてからでないと本当のところは 分らないものですね。でも、ふと思います。合う合わないということなんかではなくて、この養分が不足して いたのかもと。なにしろ透き通った食べ物ですから。

アルマンドがなんとか形になってきたところで、次のクーラントも練習することになりました。さぁ、大変。 けれども実は、とても嬉しいのです。新しい曲は、やっぱりね。活き活きとしていて、これもとても良い曲です。

6.16.2003...

今日も町のピアノ教室では、ポロン、ポロンとピアノの レッスン。陽気のせいもありますが、気合を入れてピアノを弾いていると顔中汗だらけ。汗のしずくが鍵盤に 滴り落ちてしまいます。ハンカチでパタパタ、顔に風を送って、先生の注意されることを、聞き漏らさないように。 でも、このところ毎週指摘される箇所は同じで、あっ、それは先週もなんて、楽譜の書き込みを指差しては、 「全く進歩がありませんね。」と、先回りしたりしています。変化が欲しいのはやまやまなのですけれど、なかなか。

フランス組曲5番は、バッハが37歳のとき、妻のアンナ・マグダレーナのために書いた数ある曲のなかの一つとのこと ですが、だからかもしれませんが、無理がなくて、それでもって十分にピアノ曲の楽しさを味わえることがで きると感じます。アルマンドでは、低音部と高音部が時々絡むような、言葉を掛け合っているようなところが あります。新しく人生を始める二人が、「これから先、長い道のり共に楽しく歩んでいこうね。」と優しく語 り合っているように思えます。良い雰囲気です。高音部の旋律で、こう語れば、低音部ではきっとこんなふう に応える、と、まぁ、想像を逞しくして、勝手な会話を様々に思い浮かべては楽しんでいます。

と、アルマンドでは、ほんわかしたムードなのですが、次のクーラントは、目先ががらっと変わります。 思い切りがよくて、上がったり下がったりのスピード感が堪りません。それに、遠くまでさーっと視界が 開けるようです。ああ、でもこれは、相当の時間がかかりそうです。

6.23.2003...

演奏される一音一音を、しっかりと身体で受け止める ことができた。なんという至福のひとときだったろう。今もなお、その余韻は温かく残っている。

日曜日、紀尾井ホールで行われた、ザ・シナジーライブ2003の最終日の演奏会に行ってきました。この演奏会 の原点は、案内によると、「演奏者が奏でる美しい音の響きに、何も加えず、何も減らさずに人に伝える コンサート」ということですが、紀尾井ホールというコンパクトな会場で、奏でられる音色に耳を傾けている と、水面に小石を投じると波紋が広がるように、本当に音のひとつひとつが波打って身体に伝わってくるのが よくわかりました。

出演者は、一部が日本から、石井彰さん(ピアノ)と川嶋哲郎さん(サックス)という方々。二部がフランス から、ジャン=ミッシェル・ピルクのピアノソロ。なんてきれいなピアノの音なのかと、ため息がでるほど。 口笛を吹きながらの演奏もあったりして、演奏するのが、楽しくてしかたないといった様子でした。この人は、 以前は、ロケットを研究する科学者だったそうですから、なんと、まぁ世の中にはすごい人がいるものだなと思いま す。三部が、イタリアから、アントニオ・ファラオトリオ。またこのトリオの演奏が、ガンガン飛ばすような 感じ、うねるような音は強くて、それでもってとてもクリア。すっかり魅了されてしまいました。

演奏後にCDのサイン会が有って、この機を逃したらと、アントニオさんに握手もしてもらいました(ミーハー ですから)。 ああ、手の温もりを感じて仕合せ。3時から始まった演奏会、7時頃会場を出た時には、心地よい 音楽に満たされて、身も心もすっきり、さっぱり、爽快感でいっぱいでした。ジャズって、すごいなー、生の音って パワーがある。音楽って素敵です。また、行きたい!

6.30.2003...

曇り勝ちの空には、輪郭のはっきりしない太陽が黄色く 鈍い光を放っています。気温はそれほどでもないのに、風がないせいか、肌に空気がまとわりつくような、蒸し 蒸しするお天気です。今日は道行く人の動作も緩慢に見えます。私も今しがた家でさらってきたピアノのことを あれこれ思いながら、のろのろと教室へ。

アルマンドは、今まで無理のない、かなりゆっくりしたテンポで練習してきて、だいぶ楽譜にも慣れてきました。 今日は少しスピードアップ。ぐっと集中すれば、何とか速いスピードにもついていけます。でも、遅く練習を 始めた後半は、やはり練習不足です。同じところでつまずきます。楽譜を見ているようでも、見ていなくて、 一つ一つの音符を曲の中の配役として、認識していないようです。慣れたところは、目を瞑れば楽譜が浮びますが、 そうでない部分はぐちゃぐちゃして、すっきりと音符の並びが浮びません。毎日見ているのに、まだまだ頭に 入っていない証拠です。

次のクーラントの課題は、なにしろスピード感をだすこと。家では、メトロノームを使っていますが、あまり カチカチやっていると気ばかり焦ります。加えて力も入ってしまうので、練習が終われば、<肩凝ったよー> なんて、ぐったりしています。ピアノでもナチュラル・ハイの状態になれることがあるのでしょうか。暑い夏は、こ れからです。

7.7.2003...

アルマンドは、弾いていて気持ちがピタッと寄り添います。 もちろん、あっちこっちでつまずいて、まだまだですけれど。それに比べるとクーラントは、全体にどういうふうに 弾けばいいのか、イメージがつかめません。いまはスピードのことばかりで、ひたすらに、 すたこらさっさと弾かなくちゃなんて思っていますが、それだけでは、どうもしっくりしません。

それでクーラントばかりを聴いてみることにしました。フランス組曲とイギリス組曲。演奏はグールドで。 面白いものですね。ああ、これはやっぱり舞曲なのだと改めて感じます。意外でしたけれど、 フランス組曲のほうが全体的に、少し速いテンポです。どれもグールドは、あっさりと弾いていますけれど、 音の粒粒は本当にきれいです。テンポが速い曲ですから、このクーラント、踊りの終わりは、一陣の風がさっと 吹いたようにおしまい。そんなふうに弾けたらなと思います。いまは練習とはいえ、ただ急ぐだけでは 面白くないですものね。気持ちで踊って自由にならないと。

今日教わった大切なこと。高い音から降りてくる時、指は12312…と1の指(親指)でかえしますが、 その親指に余分な力を入れないこと。ここに力が入っていると、乱れる原因になるので。

7.14.2003...

割れたような音が、調律されることによって、澄んだ音色 に変わっていきます。1年ぶりにまたピアノを調律してもらいました。前に読んだ本(『ピアノと平均律の 謎』)の影響で、今回は調律の様子を見させてもらうことにしました。はじめは仕事の邪魔になるかなと、ちょっと 気が引けたのですが、調律師の方は、こちらの幼い質問にも丁寧に答えてくださいました。ピタゴラスの話から 始まって、図まで描いて、どういうふうに調整していくのかを説明されました。実際の調律の仕事に入られ てからは、おとなしくしていましたけれど、ピアノをまるで命あるもののようにして行われるその仕事振りを 側で見ていると、なんだかお医者さんみたいだなと思ってしまいました。それにしても、知らないことがいっぱい です。もっと、楽器そのもののことも知っていかなくちゃと思います。持ち運べないけれど、まぎれもなく私の 相棒なのですから。

教室では、難所の集中レッスン。アルマンドでは、私の場合、先ずはトリルです。どうも力んでしまいます。 トリルに入る前の音をよーく聴いて、スピードをゆっくりめにして滑らかに弾く練習。この先なんとか克服した いものです。いろんな人がどんなふうに練習していたかを読んでは、「すごーい!」なんてびっくりしたり、 驚いてばかりいても駄目ですね。そんなことばかりでなくて、ちょっと真面目で面白い本のこと、またこの次にでも。

7.28.2003...

毎年参加していた発表会が先週行われて、担当の先生が 演奏されることもあって、ちょっとだけ聴いてきました。小学生の低学年から、高校生くらいまでの数人の演奏 を客席でゆっくりと(自分があの舞台に上がらないというのは、なんと気楽なことでしょう)聴きました。 曲を弾くのが愉しくてしかたないといった子供たちは、肩や腕の力も抜けていて、音も弾んできれいです。

その中の一人、まだ胸の平らな、線の細い女の子の演奏には、ちょっと心打たれました。曲目は湯山昭さんの 「いいことがありそう」。まさしく一心不乱で、音楽と一つになっていることを心底楽しんでいる、そういう ピアノでした。聴いている内に何故か、この子が成長した時、日本はどうなっているのだろうと、この頃の不安な社会状況 に思いがいって、最後のほうでは、その子の輪郭が滲んでしまいました。いつのまにか、柴又の おばちゃんみたいになっている自分に気付き、年かななんて思います。

でも大部分の子供は、やっぱり上がってしまうのでしょう、リズミカルな曲を弾いているのに、身体はガチガチな 様子が見て取れます。紛れもなく私はこのタイプ。よく分かる、よく分かる、早く終わればいいね。なんて思います。 先生が弾かれたのは、ファリャの曲。気合が入った演奏に大拍手。先生の演奏を聴くのは、生徒としてはやっぱり 嬉しいことです。さて私たち大人は、今年は少し趣向を変えるとのことで、9月にサロン形式で行われることになって います。時間はたっぷり、でもないか。本ばかり読んでいないで練習しなくちゃ。その本のことは、またまたこの次にでも。

8.4.2003...

フー、暑い暑い。長い梅雨がようやく明けたとおもった ら、酷暑に猛暑、気温はぐんぐんうなぎ登りです。この頁を読んで下さっている方に暑中のお見舞いを申し 上げます。

さて、レッスン。どうやったらきちんと鍵盤をつかまえて、音を鳴らすことができるか。クーラントは、楽譜の ほぼ全部が16分音符、速く弾こうとすると、力が入ってしまって、すぐに指がもつれます。ゆっくり弾いていたのでは 曲の輪郭が見えてきません。こま数の少ない映画のようで、臨場感がありません。片手で(かなしいですけど、 これが現実です)がんばって速く弾くと、うっすらと曲のイメージがつかめます。

今日も脱力の練習をしました。特に自由が利かないところは、左手で 下の音からいっきょに駆け上がってくるところです。具体的には、低音部の高いレの音を8分音符で打鍵し、次に そこから1オクターブ下がって、こんどは低いレから始まって、16分音符で11個先のソの音まで駆け上がります。 8分音符のレを弾いたら、すぐに脱力をして、駆け上がるところは力を入れない。これを身体で覚えるには、相当の 時間がかかりそうです。

技術の習得の為に書かれた本は、どんなに今の自分と不釣合いと思っても、読んでみたくなるものです。この 間読んでいたのは、リヒテルの先生でもあった、ゲンリッヒ・ネイガウス(1888−1964)の「ピアノ演奏芸術」 という本です。これは日本では、1966年に一度出版されているとのことですが、今年の6月に、改訳本として 出版されました。内容は、

 第1章=音楽作品の<芸術的イメージ>
 第2章=いくつか、リズムについて
 第3章=音について
 第4章=技術についての探求
 第5章=先生と学生
 第6章=コンサート活動について

もちろん、中身は私には難しいものでした。でも例えば、クレッシェンドやディミニエンドの説明で、すぐに音を フォルテで弾いたりしては間違っているということ。楽譜の中でクレッシェンドと書いてある箇所では、ピアノで 弾く必要があるということ。ディミニエンドの場合も、だんだんに弱くなっていくのだから、急にピアノで弾く のではなくて、それが書いてある箇所では、フォルテで弾かなければならないこと。教室で注意されて いることの意味が、やっと納得できた気がします。また、 音の多様性については、音のパレットという表現が使われていると、それだけで イメージが広がるような気持ちになります。とにかく説明は詳細です。具体的に譜例などもあって、実際に音をだしてみると面白いです。 文章は、全体にウイットに富んでいて、音楽に関する読み物として読んでもとても興味を惹かれます。

ネイガウスのピアノ演奏も聴いてみました。聴いたのは、スクリャービンとラフマニノフの曲ですけれど、とても味わいが あります。

『ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記』 ゲンリッヒ・ネイガウス著
音楽之友社 2003年6月発行

8.18.2003...

歌の文句じゃないけれど、あの夏の光と影はどこへ いってしまったのでしょう。先週は雨模様で肌寒い日が続きました。レッスンはお盆休みで、ちょこちょこっと 練習はしていましたが、映画を見たり本を読んだりと結構のんびりと過ごしました。見た映画は、張芸謀監督 の『英雄HERO』、武侠映画です。秦の始皇帝の命を狙う3人の刺客の話ですが、闘いの場面などは、ちょっと笑って しまうところもありますが、カメラマン出身の張監督ならではの、息を呑むような映像美と全編に流れる琴の 音は、時に激しく時に甘く強烈な印象を残します。映画館の大きなスクリーンで見ると、この手の娯楽作品は やっぱり面白い。

あと読んでいて面白かったというよりは、感心してしまったのは、日本のピアノ製作の歴史を纏めた 『日本のピアノ100年』と、調律師の方の書かれた『いい音ってなんだろう』という2冊の本です。前者は 歴史を大きく戦前と戦後のそれぞれ50年に分けて、当時の日本の社会状況、世界の情勢また外国でのピアノ 製作の様子なども織り交ぜて、さまざまな影響を受けながら、日本においてどのようにピアノが作られて いったのかが丁寧に紹介されています。産業史として読んでも面白い内容です。

後者は、ミケランジェリやリヒテルの演奏会で調律を担当されていた村上さん という方のご自身の仕事を通しての自伝的内容です。仕事に対してとても誠実な姿勢を貫かれた方のようで、 それが文章にも表れていて、分りやすく、ぐんぐんと惹き込まれ一気に読んでしまいました。 音作りに関することも大変に興味を持ちましたが、本の最後のほうにある「ピアノのしくみの変遷と音楽史」 という文章で、モーツァルトやベートーヴェンの曲とピアノのしくみとが密接な関係を持っていることを初めて知って、 私にはとても面白く感じました。この夏、これら2冊を読んで、いつも練習している自分のピアノを、 ちょっと大げさに言えば大変に有難く、そしてまた大事にしようと思いました。

『日本のピアノ100年─ピアノづくりに賭けた人々』
前間孝則・岩野裕一、草思社、2001年発行

『いい音ってなんだろう─あるピアノ調律師、出会いと体験の人生』
村上輝久、ショパン、2001年発行

8.25.2003...

農作物のためには、夏らしい夏じゃないと困るけれど、 ここにきてこの暑さは身体にこたえます。夜中の1時でも、室内の温度計は29℃を示しています。市販のゲル状 の氷枕を一年ぶりに冷凍庫から取り出して頭を冷やしてみたら、ようやく眠りにつくことができました。

さて、レッスン。発表会まであとひと月をきって、細かいところのチェック。一曲目のアルマンドはトリル。 ゆっくり慌てず、音楽の流れの中に自然な形で入れていくこと。全然できなかったひと月程前に比べたら、 できる回数が10回に1回、2回と遅々としたものではありますが、わずかに進歩しています。 二曲目のクーラントは、速さより正しく音符を拾うこと。弱い指の打鍵では、かすっているような音が でてしまいます。指の訓練には、やはりハノンの練習が効果的ということで、家では練習時間の半分を ハノンの練習に当てています。特に始めの1番から20番ではどれか一つでも22の変奏を一通りすると、 指が柔らかくなることを、この頃実感します。

やはり地味な訓練をしないと、駄目なんだなーと思いますけれど、それにしてもなんと歩みののろいことで しょう。でもいいのです。なかなか上達はしないけれど、練習していると、できなくて当たり前と開き直りますし、 そうこうするうちに、気持ちだけは楽しくなってしまうのですから。

9.1.2003...

浜松駅から歩いておよそ5分ほどのところに浜松市楽器 博物館があります。先週、ちょっと行ってきました。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、それに日本の楽器が 900点ほど展示されています。楽器の前に備えてあるヘッドホーンを使えば、音色や音楽が楽しめます(これは、 かなりクリア)。クリストフォリという人が最初にピアノを考案したそうですが、そのクリスト フォリのピアノのレプリカが置いてありました。幅は96p、今のピアノがだいだい150pくらいですから、ずい ぶん小さかったのですね。国産の初期のピアノもたくさん展示してありました。

それにスピネットという小型のハープシコードは体験演奏ができるので、私も弾いてみました。 鍵盤はとても軽くて、力を入れる必要が全くありません。でも鍵盤の幅は細くて、長さは短いです から、自分の指が太いなと感じてしまいます。なんといっても、トリルが気持ちよくできるので、すっかり気に入って しまいました。その昔、日本にピアノが入ってきたばかりのころ、これは、見向きもされなかったそうですが、 バッハの曲には、ピアノで演奏するのとはまた違った趣がありますし、この楽器が1台欲しいなと思ってしまい ました。場所もとらないし、いいなー、これ。

9.8.2003...

楽器博物館では1時間毎に、展示してある楽器を 使って10分程のミニ演奏会が行われます。私が行ったときには、ハープシコードでバッハの インヴェンションとト長調のメヌエットが弾かれ、簡単な楽器の説明がありました。弦をはじくのにカラス の羽軸が使われているそうです。もう一回の演奏はダブルピアノを使って。このピアノは長方形で、短い辺のそれぞれに 鍵盤があって、奏者は向かい合って演奏します。弦は箱の中で交差しています。相手の演奏する音が響いて、 演奏はしずらいとのことでした。聴いたことのある曲でしたが、曲名がでてきません。

さまざまな楽器の音色を順々に聴いてみましたが、印象に残ったのは、エオリアン・ハープという楽器 でした。板に弦が張ってありますが、弾く弓が見あたりません。これは風によって弦が振動して音がでる のだそうです。そしてその音が、まるで電子音のようでした。不思議な音色です。楽器の前に佇んで いると、人間は音を求めて、長い旅路を歩いているのだなと感じます。人間の知恵と工夫、たいしたものです。

さあ、弾いてくださいとばかりに通路にピアノが3台置かれています。これは、博物館ではなくて浜松駅の 新幹線の改札を入って、ホームに続く通路のこと。ヤマハのアップライトが3台、どれも蓋が開いています。 どんな音色なんだろうと音を鳴らしてみると、これがまた、それぞれに個性的できれいな音でした。 下手なんですけど、ちょっとだけ弾かせてくださいね、という気持ちで、 ついつい今練習している曲を弾いてしまいました。ま、あんまり歩いている人はいなかったし、あっ、 いたいた。小さな女の子がじっと聴いてくれました。

来週はお休みで、その次はいよいよ発表会。うまくいきますように。

9.22.2003...

台風の影響であいにくのお天気、気温もぐっと下がり ましたが、私にとってはホットな日曜日でした。昨日はサロン・コンサートと銘打って、大人のためのピアノ 発表会が行われました。参加者は先生お二人を入れて14名、ソロで13曲、連弾が3曲。初めて人前で弾くという 方も何人かいらっしゃいました。私はいつのまにか発表会は5回目、そろそろ慣れてもいいころなのに、やっぱり だめですね。上がりました。でも2番目の演奏でしたから、自分の演奏が終わると、ゆっくりと他の人の演奏を 聴くことができました。さっさと弾いてしまうのにかぎると感じます。去年までの発表会では、時間の関係で リハーサルはなしでした。これは辛いものがあります。今年はピアノの音色を確認できて少し安心しました。

ピアノを弾いている時、頭は真っ白でしたが、ふと「私、生きてる」と感じました。相当な 興奮状態です。普段、殊更こんなこと考えませんものね。 長い夏もこれでおしまい。練習は、インヴェンションにもどります。

42.フランス組曲5番アルマンド<3分30秒>(L168-183)
43.フランス組曲5番クーラント<2分18秒>(L172-183)

9.29.2003...

レッスンを終えて、外にでると久しぶりに夕焼け空が 広がっていて、街全体が薄く茜の色に包まれていました。建物も道行く人もちょっと色付いて見えました。

今日からまた通常のレッスン。ハノンの18番をやって、次はピアノ小品集から、バルトークのハンガリー民謡、 初心者のための18の小曲の中の一曲を練習しました。素朴な雰囲気なのですが、どうも私にはピンときません。 今日で上がりにしたいため、真面目に練習したつもり、なのですが、ヘ長調のこの曲、低音部のシの音を♭に するのをすっかり忘れて弾いていました。変な雰囲気だなーとは思ったのですけど。注意されて、ちょっと恥ず かしい気持ちでした。あまり好まない曲は、こういう対応をしてしまいます。楽譜をきちんと見る癖をつけな いと。でも上がりに。バンザイ!

最後にインヴェンションの7番の練習です。まだ低音部のメロディが聞こえてきません。ホ短調のこの曲は、 少し物悲しい気持ちになります。やはり課題はトリル。長いのです、今度のトリル。トリルって難しいです。

時々読み終えるのが寂しく感じる本がありますが、この間読んでいたのもそうでした。リヒテルの通訳を されていて、時には秘書のような付き人のような仕事もされた方の書かれた本です。 リヒテルの人間像がよく伝わってきますし、また著者とリヒテルとの心の触れ合いが、魂のハーモニーの ように感じ取れます。 読み終えた後には、気持ちの良い音楽を聴いたような、爽やかな余韻が残っています。

『リヒテルと私』 河島みどり著、草思社、2003年9月発行。

10.6.2003...

インヴェンションの7番は、4分の4拍子、2小節 程続く長いトリルが2箇所あります。16分音符のメロディに、32分音符のトリルでかぶせていきます。倍の スピードです。難しくはない筈なのですが、はじめはトコトコと軽快に弾いているつもりのトリルも、次第に 息切れして、足取りも重く、段々と間隔があいてきます。 そうなると、歌っている旋律も失速状態です。ここのトリルに求められていることは、メロディを引き立たせる ために、控えめに弾くことです。音のバランスと持続、かつメロディは歌わせる、私にはほんとうに難所です。 でもここを乗り越えなければ、この曲は仕上がりません。練習あるのみです。

小品集からは、今週はハチャトゥリャーンの曲です。<ハチャメチャだ、なっとりゃーん>と言われない ようになんて楽しく練習していたのですが、自分の弾いたものを聞いてみると、伸び伸びしていなくて、 硬いなと感じます。いやはや、小さな曲とはいえ難しいものです。

44.トランポリンの上で(ハチャトゥリャーン)<46秒>(L185)

バッハの曲を練習してきて2年。いつか「平均律」が弾けるといいなと夢のように思っていましたが、意外に 早く練習することになりました。クリスマスにまた発表会があって、それに参加することになったのです。 第1巻の1番、プレリュードです。この曲を、これから先2ヶ月間かけて練習します。本当に嬉しくてたまりません。 しっかり練習するつもりです。

10.20.2003...

“以後、気をつけること!”全く、最近は、この 言葉ばかりを手元のレッスンノートに書き付けています。今回のミスは、カバレフスキーの小品を練習して いて拍子を間違えました。4分の3拍子を4分の4で練習して、なんとなくしっくりしないなと思いつつ、 カバレフスキーは、初めて練習しますし、こういう曲なのかしらとのんびりと鍵盤を叩いていました。 本当におっちょこちょいで、イヤになってしまいます。

インヴェンションの7番は、ながーく続くトリルを克服できないまま終了。メロディについていく倍の スピードのトリルは、弾いているうちに途中で数えることを放棄。これも<今後は、ちゃんと数えて練習する 癖をつけたほうがいいですね>と、やんわりと注意を受けました。<ごもっともです>としか言いようがあり ません。しかし、トリルを除けば、始めのうち、ただ物悲しい曲だなと感じていたこの7番も、弾いていくうちには、 いろいろに展開しているなーと、割と楽しい気分で練習していたのです。まだまだ沢山の課題を抱えたまま 先へ進むのは、悔しいような気もしますが、実際、きりがありません。いつかできるようになるかもしれません し、ずっとできないままかもしれません。とにかく今は、くよくよしたってはじまりません。

45.インヴェンション7番ホ短調<1分45秒>(L185-187)

さて、今日から、平均律の1番、プレリュードの練習が始まりました。なんてシンプルで美しい曲でしょうか。 気持ちが洗われるようです。これは、音の推移を十分に楽しんで練習するようにと言われています。今のところ、 楽譜を眺めているだけでも、大変に楽しく、うっとりしてしまいますが、一つ一つの音を丁寧に丁寧にと思っています。

10.27.2003...

スキップしたような曲はむつかしい。きっと 子供たちだったら伸び伸びと弾くのでしょうね。小品集からは、今週もカバレフスキーの曲。「24の子供の ためのやさしい小品」の10番、「行進曲」。この頃、年齢のせいか、疲労が溜まると腰にきます。 腰痛持ちが弾くとこんなふうになります。覚束ない足どりです。こんなに短いのに、もう大変でした。

46.行進曲(カバレフスキー)<17秒>(L188)

昨日、初台にあるオペラシティコンサートホールに行って、ユーリー・バシュメットとモスクワ・ ソロイスツ合奏団の演奏を聴いてきました。モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番、ヘンデル:パッサ カリア、プロコフィエフ:ロメオとジュリエットよりジュリエットの死、ストラヴィンスキー:ロシアの 歌、ブラームス:アダージョ、ウェーバー:アンダンテとハンガリー風ロンド。ほとんど初めて 聴く曲ばかりでした。ピアノ協奏曲は、あまりピンときませんでしたが、パッサカリアのヴィオラと ヴァイオリンの二重奏は、とても素敵でした。微妙に違う音色が溶け合っていて、陶酔してしまいました。 弦楽器の音色って本当にきれいですね。ピアノとは全く違う楽器だと改めて感じます。割と前の方の席で 聴いていたのに、気になったのは、すり鉢を逆さまにしたような天井の形のせいか、音が上に抜け ていく感じがしたことです。室内楽にしては、ホールが大きすぎたのかなとも感じました。

11.10.2003...

先月末に、12月の発表会でもう一曲弾くこと が急に決まり、曲選びに頭を悩ませました。カンタータ147番を最近好んで聴いていたこともあって、「主よ、人の 望みの喜びよ」などもいいし、「ゴールドベルクのアリア」も一月半あれば、まとまるかもしれないと考え ましたが、最終的に決めたのは、「平均律の2番のプレリュード」です。今日のレッスンまでに、なんとか譜 読みだけは終わらせたものの、後半のプレスト以降は、私には相当難しく感じます。ちょっとオタオタしてい て、果たして弾けるようになるのだろうかと、<頑張ります>とは言ったものの、先行き心配です。冬支度も しなくてはならないし、バイトの充填作業も必要だし、このところ、まとまった読書はしていないし、けれど もそれもこれも、みんな吹っ飛んで、優先順位はまたもやピアノ。いいのかな、こんなことで。

しかし、なんて面白いのでしょう。この2番のプレリュード、前半は規則的な音型の反復で、旋律が進行して いきますが、その反復は、永続的な流れの一部分を取り出して、そこだけ、スローモーションをかけたかの ように、その動きを追っているような感じがします。大きな流れの中にある音の細胞といった感じです。音の 不思議と、音楽の流れの不思議。少しずつ練習していって、途中で中断する時、音が止まった瞬間、身体の感 覚が捩じれたように感じます。ですからどうしても先へ先へと進むことになります。このジクザグの流れは、 何を表しているのでしょうか。私には、脈打って流れる血液のような気がするのですけれど・・・・・・。 短いけれど、力のある魅力的な曲です。不思議な世界が、また始まりました。

11.17.2003...

今練習している二つの曲は、本当に美しくて、音楽の 世界に入っていける楽しさを身体いっぱい感じています。もし自分なりに弾くことができたらどんなにいいで しょうか。一歩でも音楽に近づきたい、そんな気持ちで練習しています。しかし、いくら頭で、ここの部分は 柔らかい音をだしたいし、また、ここでは、張りのある硬質な音色をだしたいと思っていても、今の私に決定的に 足りないのは、手首のバネのしなやかさと指先の力強さです。ここにきて、それをイヤというほど実感しています。

1番のプレリュードでは、分散和音を弾いていく時に、伸びのある音をだしたいと思っていますが、 強張って硬くなっている手首では、一本一本の指が大きく開かずに、鍵盤を叩くことで精一杯の状態です。 掌に音を包み込むように弾くことができれば、どんなにいいだろうかと思います。とにかくピアノの音をよく 聴いてと思っていますが、こうじゃないんだけどなーと思うばかり。練習すればするほど、次第にこの曲の難し さも分ってきて、だんだん怖いような気持ちになってきました。

また、2番のプレリュードも、本当に手強いと感じます。後半のプレストの部分は、流れるように速くは 弾けなくても、それなりの速度をだしたいものです。それであれこれ無い頭を絞って、指にあまり 力を入れずに軽く動かして、音を小さめに弾いてみたら、少しはスピード感をだせるのではないかと、まぁ、 そんなふうに小手先で、ちょこちょこっと練習をしていたのですが、今日のレッスンを振り返って、それは姑息な 手段だということがよくわかりました。ふにゃふにゃした指先からは、頼りなく不安定な音しかでていない のです。指が弱いことから逃げるような練習方法は駄目なのですね。弱気になりそうな気分を振り払って、 真正面から練習するしか方法はないみたい。ああ、現実は厳しいな。

11.24.2003...

発表会も近いので、今日は休日返上。今週も家では 集中的に2番のプレストの部分を練習していました。回数で勝負だ、などとひたすらビー玉を右から左へと動 かしていましたが(25個のビー玉が練習の相棒です)、音の上ではめだった進歩もなく、肩が凝るばか りでした。

全面的に16分音符で埋まっているこの曲の拍子は4分の4、速く弾くプレストの部分は終わりの方のアダージョ の前の6小節です。カノンになっているので、ゆっくりと弾いて、よく左右の音を聴くととてもきれいなとこ ろです。しかし速く弾かなくてはと、気持ちが先行して力任せに弾いてしまいます。こんなに力を入れていた のではまずいぞと思うと同時に、すべってころぶといった状態で、まともに6小節を終えることすらできませ ん。

こんがらかった糸を解きほぐすようにレッスンが始まりました。今日は、この部分をとても細かく練習をしま した。先ず一小節ずつとりあげて、頭の拍を意識的に強めたり、付点のリズムで弾いてみたり、それを片手ず つそして両手で合わせていきます。一つの小節がなんとかできたら次の小節に進むというやり方です。こんな ふうに手取り足取り教えてもらっているのですから、次回までには、もう少しましな状態になりたいものです。 いつも思います。ピアノの先生の仕事は、大変な仕事です。習う方もそれに応える根気が必要です。さーて、気 合を入れて練習しましょう。

12.1.2003...

「孫の写真を見て」と少し年上の友人が小さなアルバム を見せてくれました。そのアルバムには、生後5ヶ月間にわたる愛くるしい赤ちゃんの様子が何枚か収められて いました。その中の一枚、どこか木立の多い公園で撮ったものかもしれません。木洩れ日の中で赤ちゃんを腕に 抱いて友人の娘さんがレンズに向かって微笑んでいます。とても綺麗な写真でした。普通のことの有難さとでも いったらいいのか、その母と子の写真に胸が打たれ、何か尊いような感じさえしました。

1番のプレリュードを練習していると、頭の中で視界がどんどん広がるような気がします。いろいろな色も 感じます。大げさに言えば、夢のような世界が広がります。あまりにも現実世界とは違っていますけれど。 2番のほうも、漸く全体が見えてきました。プレストの部分はまだまだですが、もう少し粘って練習してみます。

12.8.2003...

今日はジョン・レノンのCDを聴きながら書いています。 短いけれど優しい感じのする「オー・マイ・ラブ」が好きです。亡くなってからずいぶんと時間が過ぎました が、今聴いてもとても新鮮に感じます。時代を超えているのですね。ジョン・レノンが現在生きていたらどんな 音楽を作ったでしょうか。情勢がこんなですから、聴いていると少し悲しいような気持ちになってきました。

今日のレッスンも集中的に2番をやりました。見開き2ページという短い曲なのに、中身はいっぱい詰まって いて、特に後半のプレスト部分の前後、ソロで受け渡すところが、その中に幾つも山があり難しいなと感じます。相当に気持ち を入れないと、私には太刀打ちできない曲です。かといって力んでしまっても音楽にはなりませんし、よく楽 譜を見ること、音をよく聴くこと、音符を一通り頭に入れた後の練習が本当の練習で、ここから先がなんと難し いことでしょう。それでも練習はそれなりに愉しんでいます。指が思うように動けばもっとラクですが、ま、 言っても仕方ないことです。あと2週間、やらなければならないことは沢山あります。限られた時間の中でど こまでできるようになるか、技術的なことは、無理は無理なのですから、焦らずにイライラせずに。できるこ とは、とにかく丁寧に弾いていくことしかないなと思っています。来週はこの頁をお休みします。

12.22.2003...

穏やかな冬晴れの日曜日の朝、今年の締めくくりと して発表会がありました。こぢんまりとした会場で、まだ足がつかない子供から大人まで、エレクトーンと ピアノの連弾やハンドベルの演奏もあって、楽しい雰囲気の発表会でした。とは言うものの、まぁ人前で弾く のは、教室で弾くのとは違って、やはり上がります。けれど、これを進歩というのかどうか分りませんが、今回、 私にはちょっとした変化がありました。舞台で演奏する時、今までは、自分の意に反して、指が小刻みに震え、 音がつかめないということが頻繁にありました。しかし今回はどういうわけか指の震えがなくて、演奏中に自分 ながらに、その事実に驚いていました。かといって、スムーズに弾けたのかと言えば、その点はいつもと 同じで、すべってころんで、まぁ、どうしましょう。といった内容でしたが、ほとんど無理やりという 状態で最後まで突っ走りました。

始めの頃は、発表会というと演奏が終わると、半べそのような気分で落ち込んでいましたが、最近はずーずー しくなって、間違ってもあまり落ち込むこともありません。実力以上のものがでるわけもなく、今の私は せいぜいこの程度で、それを嘆いてみても始まりませんものね。それにバッハの曲は、やはり前向きですから、 うじうじするのは似合わないのです。昨日弾いた2曲です。2番は、プレストの部分で、どうしても 指が思うようには動いてくれませんでした。でも練習中は、大変だーと思いながらも、新しい世界を十分に 愉しみました。

47.平均律1巻第1番プレリュード<2分11秒>(L187-194)
48.平均律1巻第2番プレリュード<2分17秒>(L189-194)

今年のレッスンも今日でおしまいです。お立ち寄りくださいましてありがとうございました。来年はどういう 年になるのでしょう。少しでも軌道修正のできる年であって欲しいと思います。良いお年を!