ピアノの周辺―はじめてのレッスン91-100    

ピアノの周辺

【はじめてのレッスン】
91〜100回(01/06/25-01/09/10)

♣home
♠piano.top
6月25日--レッスン91回

体調を崩して、レッスンには出かけるものの集中力なし。いろいろ注意を受けて、がっくり落ち込んだ一日。


7月2日--未熟な技術と歌いたい心

レッスン92回目。指の練習は、ハノンの50番 “ 3度のレガート ”。ドミを1,3の指で、 レファを2,4で、ミソを3,5で、もう一度レファを2,4で(左手は、5,3から始まる) これだけの繰り返し。それぞれ 2本の指を鍵盤にしっかり着地させて、その 2本の指を軸にして、少し左右に肘を自然に振る。 振り子のように、 自然に振れればいいのだけれど、小指に力がなくて、ぐにゃぐにゃ、ふにゃふにゃして、到底、自然な動きに ならない。いとも簡単に先生は、見本を示して下さるが、私には、まだまだ当分は出来そうにない。しかし 慌てず、ゆっくり練習していくつもり。

1ヶ月後に迫った発表会に向けて、“ グルックのガボット ”(ブラームス編曲)を練習している。 一通り暗譜も終わって、細かい部分を見てもらう。ここは少し歌うように、ふわっとなどと、指示されたり するのだけど、未だ指の動きが、こなれていないので、思うような音がだせない。音符を正確に弾くことは、 非常に難しい。難所が幾つかある。せめて、あと 2 週間で徹底的に潰しておきたい。例えば左右のアルペジオ。 左手は、ミ、シ、ソ♯、右手は、ミ、ソ♯、シ、ミ。 左手の方が、沢山の鍵盤を飛び越えるので、右手の動きと上手く 合わない。喩えて云うなら、左手では、卓球の素振りを、右手は、手元で電卓を使って計算をする。ちょっと 極端な喩えだけど、こんな感じ。ここだけ取り出して練習すれば、なんとかなるが、前から繋がってくると 途端にハチャメチャになる。他にも、指が飛んで音を掴えなくてはならないところを、5回のうち3回ははずす。

難所は、先ずその部分を、そしてその前後の小節に徐々に広げていって、最終的には、何事もなかったように スムーズにいくようにすればいいのらしいけど、やっぱり言うほど楽じゃない。でも、これを クリア しなきゃ、 歌いたくても歌えない。先週は、風邪で最低だったけど、もうすっかり好くなった。一時は、とうとう ピアノ が 嫌いになったかなどと思ったけれど、峠を越えたらケロリとしたもので、ピアノはいつも通り、愛しい存在だ。 だから、あとひと月、<元気だして、締まっていこうぜ!!>っていう気持ちで頑張ってみます。


7月9日--放心状態

レッスン93回目。今日は疲れました。レッスンが終わって教室から出てきたら、なんだか膝が、ガクガク して、足に力が入らない。頭も、ボーっとしてしまったし。発表会が近いため、普段のレッスンに比べたら、ぐっと集中するので、 終わると どっと疲れます。でも、時間にすれば、レッスンと云っても、たったの30分なんですけど。あれも、これもといろんなことを やったような。 時間の長さの感覚って不思議ですね。

さて、指の練習は、先週のつづき。3度のレガート。やっと今日、基本の反復練習が済んで、来週からは3オクターブ を上がって下がる。弾いている時に肘が、左右に自然に振れることは、前回書きましたけれど、肩から力が抜けていない せいで、今日のところは、かなり不自然な動きだったみたい。まぁ、そんなにすぐにできるわけもないし。こういう ベーシックな練習は、焦らないで根気よくやるしかありません。

曲の方は、細かい部分のチェック。いくつか登場する難所は、まだ克服できていません。当然、その部分を重点的に。 滑らかに弾けないアルペジオは、少し力を抜き気味に弾く。音をはっきり弾こうと思うと、途端に力が入るから、軽く さっと弾く。教室で指導を受けている時は、たまにできたりするのですけど、難しいものです。全体としては、 まだ、ゆったりとした感じがだせません。それもそうですよね。本人が今の所、ちっともゆったりした気分ではないの ですから。フレーズのおしまいの部分を、気持ちを込めて丁寧に弾くように注意を受ける。家で練習していても、そう ですけど、気持ちが全部でてしまうから、音楽は恐いです(音楽に限りませんけどね)。この頃、家では、片手練習と部分練習と、 そして曲全体を弾く練習を、 3 : 3 : 4 の割合でやっています。さしたる進歩もなくて、ピアノを弾くのって難しいなーなんて、ため息もでますが、自分と の駆け引きみたいな ところもあって面白いですね。やっぱり。


7月16日--スピード・アップ

レッスン94回目。練習を始めて 2ヶ月半。ようやくここにきて、曲の目鼻がついてきました。弾き難かった 部分も片手練習と部分練習を集中的にすることで、以前よりは、いくらかマシになりました。 今日のレッスンでは、フレーズの山の出し方、そしてフレーズの終わり方の指導を受けました。隣りに先生は立たれて、 身体全体を使って指揮をされます。気が付けば、音を伸ばすところでは、私も背筋をぐっと伸ばしています。 フレーズの終わりは、本当に丁寧に弾いてみます。そして、ちょっと息をします。この息継ぎ、先週、無茶苦茶 くたびれてしまったのは、弾いている最中、殆ど息をしていなかったからだと思います。何しろ夢中でしたから。溺れていた も同然でした。

そして、今日の課題は、スピード・アップ。これが私には最大に難しいことなのです。テンポを上げれば、 曲としても締まってくることは、 分っているのですが、ゆっくりしか弾けないのです。少し速めに弾くと、すぐに指がもつれてしまいます。 キース・ジャレットの本を読んでいたら、その音楽人生の中で、最も影響を受けた本の一冊ということで、 『 ピアノ・テクニックへの新しい道 』 という本のことが書いてありました。

“どれだけ きみが その音を聞きたいか という渇望に比べれば、 きみの指が どれだけ動くか ということは、 それほど問題じゃない”

天才は天才の次元で、影響を受けたのでしょうけれど、凡人である私は、私の次元でこの言葉を考えてみます。 ピアノをはじめて、まだ日が浅いのですから、意のままにならない指を前にして、ああ、やっぱり能力がないと嘆くより、 ピアノからでる音、 自分がだす音、そして将来的には、だしたい音に、どれだけ耳を傾けるかの方が余程大事なのだと思います。 「 渇望 」 という表現もすごいと 思いますが、それにしても、<ピアノが弾ける>って、何を指していうのでしょう。

現実にもどると、今は、あまりにもスローテンポです。本音としては、暑さでへばってしまっていますから、 なるようにしかならないよなどと、ちらっと開き直ったりもしています。 しかし、こんなこともキース・ジャレットは語っています。"楽をしている時に何かを学んだことがありますか? " どひゃー、始めたばかりの人間が、 ああだ、こうだと言っていてはいけないのですね。やっぱり練習、練習なのです。

*『 キース・ジャレット、インナービューズ(その内なる音楽世界を語る) 』 山下邦彦/ティモシー・ヒル:編・訳、太田出版


7月23日--気持ちのいい速さで

レッスン95回目。教室に着いて、少しピアノをさらっておこうと思って、流れる汗を タオルで拭っていたら、隣りの部屋から、私の前のレッスンを受けている人のピアノが聞えてきました。私の 後にレッスンを受ける人は、この 2 年間で、高校生の女の子二人、そして小学生の男の子と替わりましたが、私の 前の人は、ずっと同じ方です。以前、先生が言われていました。とにかく、熱心な方なのだそうです。一貫してジャズを 勉強されている男性の方です。今日は、知っている曲でしたので、耳を澄ませて聴かせてもらっていました。 “C ジャム・ブルース” という曲です。この曲は、ちょっと思い出が有って好きな曲なのです。聴きながら私も遠い将来に弾いて みたいなーなんて思いました。そう考えただけで少し元気がでました。何しろ、このところの異常な暑さ(朝の9時で、 部屋の温度は連日32度) でバテ気味でしたから。

さて、今日のレッスン。相変わらず指の練習は、 3 度のレガート。3 オクターブを行って 帰ってくると、まだまだ腕の筋肉が張ってしまいます。しかし、遅遅とした歩みですが、これは毎日やっています から、ほんの少しずつですけど、確かに進歩しています。でも時間にすれば、練習を始めて まだひと月という短いものですから、 たぶんもう少しかかります。 しかし、これは焦っても仕方のない練習なので、今の今は、この程度と落ち着いたものです。

曲の方は、先週はスピード・アップが課題でしたので、それなりに練習しました。でもだんだんおかしな具合になって ゆきました。やっぱり納得するところまで、つまり弾き込んでいる状態には到達していないので、速く弾くと、やはり無理があります。 ただ急いでいるだけの 弾き方になってしまいます。弾いている時の楽しさや、こんなふうに弾きたいという思いは 置き去りの まま、とにかくゴールを目指して用意ドン! になってしまうのです。

しかし、これは間違っていました。弾き方が遅いと自覚している為に、意味を取り違えてしまったのでした。先生は、 スピードについては、自分の気持ちのいい速さで弾いて、一向に構わないと言われます。(良かった。そうじゃないと 大いに困るところでした。)ただ、これは練習方法として、少し速めに弾くことも、曲全体を把握していくには、 効果があるということなのです。 要するに、練習を重ねて自分のものにできないと駄目なのです。気持ち良く弾ければ、楽しいことですけど、それはやっぱり 難しいことですよね。上手く弾きたいという気持ちは、この際置いといて、自分の弾く音をよく聴いて、 心を込めて弾けるように、あと 2 週間ありますから、落ち着いて練習するつもりです。速く弾かなくてもいいんだと 思ったら、とても気が楽になりました。ちょっと間延びしてても、愛敬でカバーです。いやー、これは無理ですね、 あと40年ほど若ければね。


7月30日--集中

レッスン96回目。今日は、最終チェック。とにかく曲として、終わりまで弾ききろうという 思いが先にでて、音符を無視する悪い癖がついてきました。躓きそうな指の動きを素っ飛ばして弾いてしまいます。はっきりと 目につく、いや耳につくのがアルペジオ。低い音を掴んでいないために、その結果、音の厚みがでてきません。きちんと 音を出すようにとの指導を受けました。先ずは片手、そして両手でゆっくりと。又ここからかなんて、一瞬ぼやきたくなりましたけど、 こういうところは、一人では きっと見逃してしまいます。指の実際の動きは、鍵盤をかすっているだけ。それで、 頭の中では、出ていない筈の音をキャッチしてしまうのですから恐ろしいものです。最も、こういうことを多くの練習生がやってしまう そうですけど。気持ちを落ち着かせて集中すれば、音は掴めるのですから、なにも慌てることはないのです。そうなのですけど、 ああ実際は。 ぶつぶつ云っていないで、練習ですね。

同じ曲をずっと練習してきて、最近ようやくピアノって、いろんな楽器の役割をしているんだなーとうっすらと 気が付いてきました。シンバルが響くような音や、ハープのような弦をつま弾く音。音の様々が、これはこの楽器の 音色などと想像できて、なるほどね、面白いものだなーと思います。だからといって、勿論、まだ弾ける訳ではありませんが。

“グルックのガボット”、この曲の好きなところは、あまりロマンチックじゃないところ。だから、ありったけの 感情を投影させる必要はない、と自分で勝手に解釈しています。淡々と弾ければいいなと思っています。当日は、ただ弾くことだけに 集中するつもりです。


8月6日--くたくたの発表会

昨日は、ピアノを習いはじめて3回目の発表会。舞台に立つ前から、ああ、帰りたい、なんて気持ちがよぎりました。
“全身に力が入っちゃった。”“心臓に悪い。”“終ってほっとした。”“−−−−−”これは、聴きに来てくれた 友人の感想です。これで、どんなでき具合かは、察していただけると思います。そうなのです、又もやしっかり上がってしまいました。 私の弁明は、本当はとてもいい曲なの。せっかく来てくれたのに、ごめんなさい、というものです。

それでも先生に、次ぎは何を弾きたい?と聞かれて、バッハとジャズを勉強したいですなどと、次ぎというよりは、 今後の夢を話しました。 発表会は懲り懲りですけど、ピアノはずっと弾いていきたいですからね。

昨日、弾いた曲です。“♪グルックのガボット”、大変にお粗末ですが、 よろしければどうかお聞きになってみてください。


8月12日--気になっていた本

週末、どうしても読みたい本があって、上野の東京文化会館・音楽資料室に行きました。貸出しはしていなくて閲覧のみですから、 時間に余裕がないと 読むことができません。この本の存在価値は、前に聞いたことがありましたし、また 『 ピアノ レッスンズ 』 ノア・ アダムス著、大島直子訳、中央公論社の中にも少しでてきます。とても気になっていて、一度は読んでみたい本でした。 前に一度、立ち寄った時、書架に、その 背表紙を見付けて、本当に嬉しくなりました。しかし、その時は読んでいる時間が無くしかたなく諦め、時間ができたら必ず 読みに行こうと決めていました。

『 楽しみつつマスターできる、 ピアノの技法 』 チャールズ・クック著、堀内敬三訳、音楽之友社。昭和29年3月が第一刷ですから、 もう昔の本です。 すでに絶版で、古本屋や住んでいる市の図書館で探しても見付からないものでした。著者のクック氏は、執筆当時36歳。 「 ニューヨーカー 」 という雑誌の記者で、アマチュア・ピアニスト。特に 惹き付けられた部分をメモしました。

●練習は量より質。毎日続けること。

●練習する曲一つ一つについて、特に難しいと思う処に記しをつけ、それらの部分を根気よく熱中して、知的に そして仮借なく――それを打ちひしぎ、叩きつけ、組み伏せ、圧倒し征服するまで――それを完全かつ永久に 最弱の部分から最強の部分に変じるまで練習すること。

●その難しい部分を練習の始めに稽古する(クック氏は平均25回、練習したそうです)。

●自分の出した音を、あたかも他の人が出した音でもあるかの様に傾聴し、批判する。

●ピアノ曲には、難しくなくて美しい作品が沢山あることを知っていくこと。

●ピアノを弾くという事は、精神的な習慣と肉体的な習慣との合成物。その習慣がついたら、それが無意識の 中に働くところまで、完全に自分のものにしなければならないこと。

●初見、暗譜、音楽を聴くことの重要性。

●練習していく時には、曲の調、拍子、速度を知っておくこと。

●和音の進行を旋律の進行とは別に注意深く調べること。そして一つの作品の中の基本的な和音の順列を 骨組みとして、どういうふうにその和音が進行していくかを特に心に留め乍ら演奏する習慣をつけること。

●旋律をひろい出して弾いてみること。

●音楽を低音部から上の方へと考えるようにすること。

●自分の知覚を指の先に集めること。

半日かけて読み終えると、心持ちが暖かくなり、ムクムク元気がでてきました。実際に、こんなに楽しく練習していた 人がいたのですから。 非常に情熱を持って書かれたこの本は、希望を持ってピアノを練習していこうという勇気を与えてくれます。 想像していた以上の喜びです。 練習回数を数えるのに、クック氏は、玩具の算盤みたいなものを使ったようなことが書いてありましたが、 私はビー玉を使うことにしました。


8月20日--空気の精

レッスン97回目。灰色の雲の切れ目のその彼方、淡いブルーの空が高く広がっていて、 白い刷毛のような雲も薄く見えます。地上を渡る風にも、ちらっと秋の匂いがするようです。さて、今日から また普段のレッスンの再開です。始めは指の練習。この間からの続き、ハノンの50番。3度のレガート。 課題はアクセントをつけてリズミカルに。実はこの練習、まだ肩や腕の力が抜けていなくて、とてもくたびれて しまうので、一日一回がやっとです。2回3回とやると指まで強張るので、やりたくてもできないのです。 でも、諦めていません。ある日突然2回やっても平気なんてことになるかもしれないのですから。一応、今日で おしまい。次回からは、49番の1−4、2−5の指の間をひろげる練習です。

次ぎに練習曲。ピアノ スプラッシュは、“成功するよ”。拍子は4分の2。シンコペーションが時々 出てきます。左手の伴奏は、完全5度。完全5度というのは、例えばドから数えて5番目のソ、このドとソ。 或いはラとミ、ファとドなど。完全協和音程といって、とても強い音なのだそうです。意志的な曲にはピッタリ。 無理矢理、元気出しちゃおうか、なんていう感じの曲でした。割と簡単でしたので、今回でおしまい。 次回は、“イエスタデイズ ドリーム”。

ブルグミュラー18の練習曲は、15番の“ 空気の精 ”。拍子は8分の3。この曲は、16分音符の3連符と 8分音符(スタッカート)の型が印象的です。例えばこんな音です。高い方の鍵盤で、レシ♭レ(3連符)レ(1オクターブ下がったレ、 3連符の出だしのレと同じ)、もう一回今度は、全体に1オクターブ下がって、同じく レシ♭レレ、指使いは1351。イントロの 部分と、曲の要所要所に、この音型がキラリとでてきます。この音型は鍵盤をはっきりと叩かないで、 撫でるように弾いてみると、音が生きてくるようです。それに短いながらも流れるように歌うところも あって、強弱も幅広く、きれいな曲です。空気の精って、音楽のことを指して云っているのかな、なんて思いながら、 とても気に入って練習しています。

休みの間に、ピアノの調律をしてもらいました。タッチがあるところにくると、ひっかかるような気が していたのですが、それも直してもらいました。偶々、今年も違う方にしていただいたのですが、 非常に丁寧に仕事をされる方でした。そして調律後の音が、とてもきれいになっていました。びっくりするほど。


8月27日--手の表情

レッスン98回目。打鍵の練習は、ハノンの49番。今日は右手を。ミド(6度)ソミ(6度) 指使いは、1、4、2、5(親指、薬指、人差し指、小指)。以下 ファレラファ と順次続けて上行する。帰りは、 5、2、4、1で戻ってくる。家で練習している時、どこで力を抜けばいいのか分らず、結果、蟹の横這い 状態に。1で打鍵したら、直ぐに4に重心を移す。ここでは、右手の練習だから、手首、肘は時計と反対回りに 回転するように。そして滑らかに。そうです、この滑らかに羽根が舞うような動き (一つの表情としての動き) になるまでには、きっと 時間がかかるのでしょう。私はいままで 打鍵の練習のことを、いつも<指の練習>というふうに書いてきましたけれど、 文字通り指先だけのこととして、捉えていた傾向があったようです。指で鍵盤をタッチするにしても、まず肩、腕、二の腕、 手首をしなやかにして、 そして、手のひらの中に音をキャッチしていくんだなーとなんとなく感じるようになりました。

さて、練習曲。「スプラッシュ」の“イエスタデイズ ドリーム”、この曲は、先週とは打って変わって、なんとも 歯切れの悪い、否、良く云えばどこか幻想的な、うーん、私にはやっぱり捉え所のない曲でした。解決のつかない音の組み合わせで、 この一週間、練習している間も、なんだかずっと不安な気持ちになっていました。それはそれで面白かったということで、 今日で上がりです。次回は、“ブルー アイス”。この説明を読んでみますと、現代曲は、既成の概念にとらわれません。 とあります。そう、云ってもね。これ、とっても変な曲です。まぁ、ボチボチ練習してみます。

「18」の“空気の精”、イントロの部分、左手の伴奏は、8分音符が半音ずつスラー付きで下がってきます。 そのスラーが、右手に気を取られていると、ブツブツ切れてしまいます。慎重に音色を聞いて進めていけば、ちょっと 速度は遅くなりますが、なんとかいきます。最初は、ゆっくりからですからね。慌てない慌てない。右手の3連符と8分音符 (スタッカート)の音型は、 何しろこの曲の大切なポイントですから、力まずに飽くまでも軽やかに、キラリと。ああ、難しいぞ。でも、 きれいな曲なのです。今まで練習してきた曲は、大部分、曲の終わりがピアニッシモでした。そうすると、そっと 弾きますね。この曲は、スフォルツァンド(特に強く)でフィニッシュです。意識せずとも、弾き終えた時には、 指は、鍵盤から遥か高い処に位置しています。これも手の一つの表情だなと気付きました。


9月3日--ピアノの蓋を開ける時

レッスン99回目。打鍵の練習は、今週は左手。鍵盤を高い音の方へ上行するにしても、低い音に下行 するにしても、手首、肘の回転方向に変化はありません。右手の回転方向は、時計と反対。左手は、時計回り。手を 鍵盤の上で左右に移動させながら、尚且つ、手首、肘の回転をそれぞれ逆の方向に動かすのは、まだまだ難しい。 上行も下行もしないで、しばらく立ち止まって練習したい気分です。まぁ、気長にいきましょう。

さて、練習曲。「スプラッシュ」の“ブルー アイス”、拍子は 2分の3。2分音符を1と数えて、1、2、3。要するに、 相対的に音の長さが合っていれば、結局同じでしょ、なんて思って、 曲の中に出てくる最小の音符が8分音符なので、それを<1ト>の<1>に数えて練習していたら、随分と間延び したものになってしまいました。教室で、拍の数え方をしっかり教えてもらい( 2分音符を、あくまでも1と数えるのです。) 、声に出して1、2、3.1、2、3.を繰り返しました。併せて楽譜に記入してある指使いも換えたので、 昔、昔の映画で見た初期のロボットのような動きをしてしまいました。でも、音の並びは、思っていたほど違和感はなく、 まぁまぁ面白いかな、と感じ始めていますから、たぶん大丈夫。

「18」の“空気の精”、曲の後半、カンタービレの指示がある部分、ト短調からト長調に転調して、伸びやかな 雰囲気に変わります。この部分にも、この曲の代表的な音型が2個所でてきます。喩えて云うと、水の滴がポチャリと 水面に落ちる時のような感じ。まとまった音なのだけれど、揺らめきを感じさせるような、落ちた滴のその後に 水の輪が広がっていくように、優しい音が広がればと思っていましたが、ボットンの域を出ませんでした。 この曲の速度は、Vivo(生き生きと活発に)、練習している内に、知らずと元気がでてくる曲でした。今日でおしまい。

気持ちが、どうしようも纏まらない時、それでもピアノを弾きはじめると、静かに心が落ち着いてきます。 自分と向きあう時間です。ピアノの蓋を開ける時、自分の心の蓋もひらくようです。なんて、我ながら気恥ずかしいことを 書いていますね。さて、長いことダラダラと続けてきましたこのページも、いよいよ来週でラストです。


9月10日--交差

レッスン100回目。台風15号の影響で、断続的に横殴りの雨が降ったりして、すごいお天気です。 仕事で出かけるのなら、仕方ないから、というところでしょうけれど、なんてたって手間暇かけて遊びに行くのですから、この お天気もなんのそのです。

さて、打鍵の練習は、このところずっと同じハノンの49番。やはり、まだまだ肩、肘、手の力が抜けなくて、 指も突っ張ったようになるので、 次回は付点のリズムで練習することになりました。変奏で練習することは、とても大切な事のようです。初見用の教本を見ていますと、 いろんな リズムが沢山でてきますね。他の教本に手を出す時間はないのに、楽譜売り場に行くと、ついつい買ってしまいます。

練習曲は、今週は 一曲。「スプラッシュ」 の “ブルー アイス” のみ。先週は、用事が有ってピアノの蓋を開けたのは土日だけ。 偶には、こんな 週もありますが、やっぱりピアノを弾く時間が取れないのは、なんだか変です。しかし、4日間、ピアノに触らなかっただけ なのに、身体っていうのは、正直にできているというのか、恐ろしいものだと実感しました。指が縺れて 動かないのですから。毎日毎日練習して、やっと辛うじて動くのですね。

拍子の1、2、3を数えるのに、今回は、メトロノームを使いました。普段は、 メトロノームは、あまり使いません。と云いますか、まだ使いこなせないのです。しかし、今回は、 同じ拍子を刻んでくれるのは、とても効果がありました。ある程度練習して、 拍子を身体で覚えたら、使うのを止めて弾いてみます。そうすると、やっと音が聞えてくるのです。この曲の最初の和音は、 レ(♭)ミ(♭)ソド、次ぎは、ラ(♭)シ(♭)レソ 、面白い音ですよね。ちょっと深い音色です。現代曲も、なかなか味わいがあります。いつも最初は、あれれ、なんて感じる のですが、結構、楽しく弾くことができます。そんな訳で、今日でおしまい。来週は、“インテルメッツオ”。「18」は、 9番の“朝の鐘”を練習します。

∇∴ ∴ ∴∇

「 ピアノを始めてみませんか。」 3年前の秋、ある方が私に云ってくれた言葉です。人との出会いって、不思議なものですね。 互いの軌道が擦れ違う時、たとえ交差する時間が、ほんの一瞬でも、とても 大切な言葉を投げかけられる時があるのですから。私の場合も、恐らく その方と出会っていなかったら、 ピアノを弾くことはなかったと思います。 そして、音楽のことを今のように考えることもなかった筈です。

しかし 実際に、一人で教室に通う段になると、始めてのことですし、何にも知らないのですから、 正直云って、続けることができるだろうかと、とても不安になりました。 そこで、HPにして書いてしまえば、後には引けない筈と、いささか不純な気持ちで、このHPを始めました。 たとえ誰も読んでくださる方がいなくても、それはそれでいいとしよう、と思っていました。 しかし、続けていく内には、読んでくださる方もいて、お便りもいただき、話し相手にもなってくださいました。 これは、全く 計算外の喜びです。

楽譜を読んでいくことは、本当に難しいことだと感じます。楽譜を読み解いて、 そして自分が理解した上での音色が出せるようになるまで、どのくらいの 時間と勉強が必要なのか、それこそ長い長い訓練と知識の吸収が必要なのでしょう。それでも、 いつか音楽をわかるようになりたいと思っています。 レッスンの記録でしかなく、それも拙い文章を読んで下さった方に、お礼を申し上げて、当初の予定通り、 取り敢えず100回となりましたので、暫くHPの更新をお休みすることに致します。


最後まで読んで下さいまして、本当にありがとうございました。

2001年9月10日、小田 真理