秩父から白泰山、十文字峠周回
場 所 埼玉県
日 時 2009年10月18日(日)〜19日(月)
コース 秩父大滝村栃本広場P-白泰山-白泰山避難小屋−四里観音避難小屋(泊)-十文字峠−柳避難小屋-入川−川又−栃本広場P
メンバー 単独
天 気 1日目、2日目共晴れ
装備 避難小屋泊まり装備+昭文社・山と高原地図「雲取山・両神山」+GPS
備考 自宅-大滝村栃本P 片道98km(正丸峠経由)
1日目: 16km、2日目:28km(内、林道/舗装路12km)合計44km
このルートに限り、国土地理院の地形図に記載のルートは見ないほうが良い。
特に股の沢、入川沿いのルートが大きく異なっています。市販のガイドブックをご持参ください。

年に数回は地元埼玉の山を歩いてみたいと思っている。
奥秩父となると石楠花の季節が素晴らしいのだが、
その時期は山スキーもピークの時期で
なかなか秩父の山には足が向かない。
盛夏は暑くて、そのうえ虫が多いので嫌だし。
そういうわけで、地元の山はほとんど秋が
私の定番となってしまった。

2007年は南天山〜滝谷山〜帳付山周回、2008年はヒルメシ尾根から
和名倉山(白石山)と、自分としては意欲的な山歩きをしてきたが、今年は
以前から興味があった古(いにしえ)の「信州往還(秩父側の呼称)」を
十文字峠(じゅうもんじとうげ)まで歩いてみることにした。
ちなみに、この道を信州側の人々は「三峰道」と呼んでいたらしい。
ついでに、復路を股の沢(またのさわ)にとり荒川源頭域の
様子も知りたかった。



ルート(GPS軌跡)


【1日目】

前夜、大滝村の栃本広場(広い駐車場とトイレ完備)で車中泊。
計画段階では、車を川又(かわまた)のバス停に置くか、
自転車を持参すべきか、色々悩んだあげく、自転車を持ち込む
優位性も見出せず、安全第一で栃本広場に駐車した。
その分帰りの歩きが長く辛いものになることが想像された。
(十文字峠や白泰山往復だけなら、林道(舗装)の先、
標高1,120mの登山口が利用できる。路肩に数台
止められるスペースがあった。)

朝6:40、帰りのルート確認の意味もあり昭文社マップの通り
栃本集落へいったん下り、両面神社(りょうめんじんじゃ)下の
登山口から登り始める。



登山口(標高870m)

良く手入れされた杉林が続く。

まもなく古びた趣の両面神社の鳥居を左に見て通過する。



両面神社(950m)

標高約1,000m、「十二尾根」の標識、辺りに古ぼけた東屋があった。

更に杉林の歩きやすい道を進むと、舗装された林道にぽっこり
飛び出した。その向かい側に、又「白泰山登山口」の看板。
単なる往復ならここに駐車するのが、大幅な時間短縮になるわけだ。
この時点で8時06分、1時間以上も歩いてきた自分を少し
惨めに感じた瞬間だった。

8時50分 一里観音(いちりかんのん)到着。

このような「里程観音(りていかんのん)」は、
十文字峠へ至る間4里まで設置されている。
ちなみに、五里と六里に相当する観音は、長野県
南佐久郡川上村にあるそうだ。
ただし、六里観音を信州側は一里観音と称しているようだ。
真偽の程は、いずれ自分の目で確認したい。




里程観音

この道は、信州と秩父を結ぶ交易および三峰神社詣での
道路だったわけで、基本的には急な登りも下りも無く、
歩きやすい道が続く。登山道と根本的に
異なるのは、すべてのピークを巻いて進むこと。

一部、北面を巻く処はザレて道筋が薄くなるので、
気をつけなければならぬが、総じて歩きやすい。

10時22分 白泰山(はくたいさん)分岐。
ここからコメツガとシャクナゲの原生林を15分ほどで駆け上がると、
そこが白泰山の頂上(1,793.9m)だった。
林に囲まれ全く眺望は無い。



三角点と看板があるだけの白泰山頂上

すぐ分岐に取って返し、先を急ぐ。
すると、ほどなく白泰山避難小屋に着いた。
小屋の脇には「中津川」への標識があり、その根元に二里観音があった。
ここから中津川への道は、興味のあるところだが、おそらくヤブ道だろう。

又、同じ稜線に「秩父槍」なる山があるらしい。
探したがそれらしき山はなかった。
名前負けしているんだろうな、と勝手に判断する。

白泰山避難小屋は写真の通り、窓や戸は金属製のため中は暗い。
ただ、不釣合いな程大きな薪ストーブが印象的であった。
何も残置物は無く、きれいに掃除されていた。水場は無い。


白泰山避難小屋。右が栃本、左が十文字峠方向

小屋のすぐ前に「のぞき岩」と呼ばれる眺めの良いところがあるらしいので
向かってみた。今回の山行きでは、ここが唯一眺望のあるところ
なので、見逃せない。陽当りも良いので、景色をおかずに昼食とする。



のぞき岩からの展望(南西方向)、盟主甲武信ヶ岳とその周辺の山々


紅葉もまぁまぁだ

ここから岩ドヤと言われる辺りまで岩稜地帯となる。
前半はザレた北面を、後半は南面を巻く。
上を見上げると大きな岩が覆いかぶさってくる、そんな処だ。

赤沢山(1,818.9m)は当然ピークを踏まないで北面を巻く。
トレースが薄いので要注意だが、大きく下ることも登ることもないので、
そのつもりでいれば、ルート・ファインディングで大きなミスはしないだろう。

赤沢山(あかさわやま)付近を通過すると、やがて三里観音が現れる。

更に進むと、大山手前で右(北)から中津川林道の枝線(奥秩父林道)が
上がってきて乗り越すところに出た。
(最近この林道が通行可能と知った。いつか歩いてみたいと思う)
登山道はその林道に乗って左へ進み、
大山を大きく左(南面)から巻くつもりらしい。
左へ進むと林道はまもなく終り、普通の幅の登山道になった。

大山を大きく回りこみ再び稜線に戻ると、まもなく標識が現れた。
直進が十文字峠、左へ2分で四里避難小屋と書かれていた。


四里避難小屋

四里避難小屋は、写真の通りガラス・サッシの窓で明るく広い。
中もきれいで気に入った。誰もおらず、今夜は私一人だと覚悟した。

早速、小屋に向かって左にある水場に向かう。
ちょっと下りが滑りやすいので要注意だ。

水を汲んで戻ると上から人の声がした。
どうやら、今夜は一人ではないらしい。心細い思いをしないで済むからありがたい。
二人増えて今夜の宿泊者は、三名となった。

彼らは川又から秩父往還(甲州往還)道を雁坂峠(かりさかとうげ)まで登り
笹平(ささだいら)避難小屋で1泊、今日
甲武信ヶ岳(こぶしがだけ)を踏み、十文字峠を回ってきたという。
秋の日没は早い。暗くなると、外で小動物(おそらく)がゴミを
漁る音が小1時間続いた。その音の主を確かめることもなく、
まもなく三人共寝入ってしまった。


【2日目】

最低気温は10℃近くあったようで、暖かい朝を迎えることができた。

6:00 今日の行程は長いので朝食を食べず、お二人に別れを告げる。

奥秩父らしい苔むしたコメツガとシラビソの混合林を登っていくと、
四里観音があった。更に1分程で川又(股の沢)と十文字峠の
分岐に到着した。十文字峠は昨年訪れているので、スキップしようと思っていたが、
やはり峠を踏まないと今回の旅は成立しないのではと思いなおし、分岐に
荷物をデポし水平移動で十文字峠へ向かう。


川又、十文字峠分岐付近

20分かかって十文字小屋/峠に到着する。
シャクナゲの季節には素晴らしい処だと思うが、今日は小屋には
寄らず、踵を返す。



十文字峠に立つ十文字小屋。冬支度は万全のようだ。

股の沢の下りは水に困ることは無いが、気の抜けないものだった。
GPSに入れた国土地理院のルートは全く過去のもので役に立たず、
昭文社のマップとにらめっこで慎重に下る。トレースは概ね明瞭だ。

真ノ沢(しんのさわ)吊橋に着いたときは本当にホットした。
これで今回の旅の7割は終わったと思った。


場違いなくらい立派な真ノ沢吊橋

真ノ沢吊橋を過ぎて次の小尾根を越えると、9時50分 目の前に吊橋と
「柳避難小屋」が現れた。四里観音避難小屋から3時間50分。
ここまできたらもう終わったも同然。
と、その時はそう思ったが、残りもそう楽なルートでは
無いことを、その後思い知らされた。



柳避難小屋(左の建物は無人測候所)

柳避難小屋は四里避難小屋と同じくガラス・サッシの明るい小屋だ。
ただ、ここは少し違う。

利用者の大半が常連の釣り客らしく、残置物がすごく多い。
食べ物以外は、ありとあらゆるものが残されている感じだ。

中に人はいなかったが、シュラフが干すように
ぶら下がっていたので、持ち主は釣り中なのかもしれない。

陽当りの良い小屋の前のテーブルで遅めの朝食とした。

朝食後川又へ向けて再び歩きだしたが、予想に反し気が抜けない道が
赤沢吊橋を渡るまで続いた。

入川(いりかわ)を高巻くように道は続くが、いくつもの子沢を横切るたびに
滑落しそうなヶ所を通過させられた。

その苦労も、赤沢(あかさわ)吊橋を渡り昔の森林軌道跡に変わると
ようやく終わった。ここは休むのに最適のきれいな渓だった。


赤沢吊橋



森林軌道跡の水平道と埋没しつつあるレール。

赤沢吊橋を渡ったところで、単独男性とスライドする。
ここから長〜い水平道の歩きが始まった。

足指の関節が痛くなってウンザリしだしたころ、
入川観光渓流釣り場に到着した。一般車両はここのゲートで止められるので、
500円払って駐車させてもらうしかないようだ。

そこから更に30分歩いて川又に着いた。見慣れた風景だが、
更に60分かけて栃本広場まで歩かなければならず、気が重くなる。
昨夜四里避難小屋で同宿した二人に遭遇できるかなと思ったが、
残念ながら会えなかった。


山の斜面にへばりつくような栃本集落

栃本の関所跡を左に見ながら左折し、栃本広場への車道を歩く。


史跡: 栃本の関所跡

途中から標識に従い車道をショートカットする。
もう1回ショートカットすると、
そこが標高970mの栃本広場。
ここを基点に付近をハイキングするのは、
良いアイデアだと思う。

栃本広場


2日間良く歩いた。GPS表示で44km。
舗装道路の歩きが長くて閉口したが・・・・・。

今回の収穫は、この辺の避難小屋の程度の良さが確認できたこと。
そして、このコースの魅力はと問われれば、私は次のように答えたい。
1.目一杯の森林浴と水量が豊かな渓(たに)
2.静かな山歩き
こういうルート、たとえ眺望が少なくても私は嫌いではない。

次回は、雁坂峠(甲州往還)を絡めるか、三国峠(中津川林道)を
絡めた周回路を計画しようと思う。


【タイム】
 1日目
 06:40 栃本広場(P)発
 07:05 両面神社近く登山口
 08:50 一里観音
 10:22 白泰山頂上
 11:00 二里観音&白泰山避難小屋&のぞき岩→発11:35
 13:30 三里観音
 15:22 四里観音避難小屋
 
 2日目
 06:00 避難小屋発
 06:39 四里観音
 06:40 十文字峠・川又分岐
 07:00 十文字峠・小屋
 07:21 分岐帰着
 09:40 真ノ沢吊橋
 09:50 柳避難小屋→発10:20
 12:23 赤沢吊橋
 13:30 入川渓谷観光釣り場
 14:00 川又バス停
 15:10 栃本広場帰着



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