ランカウイへ
ランカウイ
ランカウイ島の風景    −ポストカードより−



◆ ◆ ◆ ランカウイってどこ? ◆ ◆ ◆


「南の島に行きたいねー。」

お正月休み、地元のファミリーレストランで山と積んだパンフレットを繰りながら、

私と彼女の意見は一致しました。

彼女とは幼稚園からの友達で、中学校の頃からいつか一緒に海外へ行こうと約束していました。


南の島から連想されるもの。

透き通るような青い海、白い砂浜、ヤシの木、茜色の夕焼け、満天の星空・・・

日本でのせせこましい日常を忘れるには十分すぎるほどの魅力が

そこにはあふれているような気がしました。

そしてもうひとつ、私たちが「南の島」に行きたい理由がありました。


それは偶然同じテレビ番組を見ていたからで、その中で紹介されていた

「生花の散りばめられたジャグジーに入った後は心ゆくまでマッサージ」

のシーンに、2人とも心を奪われていたからでした。

幸か不幸か2人ともそれがどこだったのかは覚えておらず、

わかっているのはただ「南の島」っぽかった、ということだけでした。

そんな単純な私たち小市民にとって「南の島」といえばハワイ。行き先はハワイでほぼ決定でした。

実際に出発する2年前のことです。



◆  ◆  ◆  ◆




その日から、旅行代理店の前を通る度に

「ハワイ・花のジャグジー・ハワイ・マッサージ・・・」とうわごとのように呟きながら

パンフレットを集める日々が始まりました。

今回の旅行の目的は、なんといっても「のんびりリゾート」でした。

彼女も私も、忙しい観光ツアーにだけはしたくなかったのです。

そしてなんといってもジャグジーとマッサージは外せません。

自然とポイントは「どのホテルに泊まるか」になっていました。


ですが着々と旅行資金と有休の準備が進み、憧れを現実のものとして考える段階に入ると

どうしても無理が生じてきました。ハワイはやっぱり高いのです。

せっかく憧れの南の島へ行くのに、日数を短くして予算の全部を旅行代金につぎ込むよりも、

ゆっくりできて少しくらいの余裕があった方がいいに決まっています。

そう思ったときから私の中の「ハワイへ!」という気持ちはだんだん薄れていきました。

そして友達には内緒で、ハワイ以外で彼女を納得させられる「南の島」を探したのです。


そんなとき目に付いたのがアジアのビーチ、ランカウイでした。

ランカウイはマレーシアに属する島で、リゾート地化されたのはまだ最近なのだそうですが、

近くで名の知れたタイのプーケットなどよりも遙かに海がきれいということでした。

しかも数あるパンフレットやガイドブックのどれを見てみても、

紹介されているホテルの写真はハワイのものよりずっとリゾートチックで、

まさしく花の浮いたジャグジーの写真もついていて、おまけにマッサージもありました。

そしてなんといってもハワイより格段に安かったのです。

こうして友達に相談する前に、私の心はすっかり「ランカウイ」に決まっていました。



◆  ◆  ◆  ◆



そして去年の夏、またもやファミリーレストランで、

今度は「ランカウイ」のパンフレットを山と積みながら、

私はまず友達に花の浮いたジャグジーの写真を見せました。

「これどう?実はハワイじゃないんだけど・・・。マッサージもあるんだよ。」

思惑通り、彼女もその写真をすっかり気に入った様子で、

「ふーん、どこなの?」と聞きながらも、その口振りはもう同意しているようでした。

もともとのこだわりは「南の島」だった上に、

私と同じでかなり融通の利く性格の彼女のこと、あまり心配はしてなかったものの、

予想以上にあっさり「3泊5日(?)ランカウイの旅」が決定しました。


そしてすぐさま、リゾート気分を満喫させてくれるべきホテル選びが始まりました。

といっても、私たちの視線はその写真を見たときから一点に釘付けでした。

ベルジャヤ・ランカウイ・ビーチ&スパリゾート

ここには2人してあれほどこだわってきた「花の浮いたジャグジー」が無かったというのに、

それでもかまわないくらいに魅力的な「水上コテージ」があったのです。


そのホテルは客室がすべてコテージタイプで、

水上コテージ以外にもジャングルの中に立つコテージがありました。

でも、水上コテージ以外なら別のホテルにしようと決意を固め、

迷うことなく早速その場から旅行代理店に電話すると、

20棟くらいある水上コテージのうちの2/3は常に予約されているという中で、

めでたく残りの1/3にひっかかることができました。


というわけで、私たちは「ランカウイへ行きたい!」というよりはむしろ、

「水上コテージに泊まりたい!」という理由でこの旅行を決め、

ランカウイ島が果たしてどこにあるのかを知ったのはこの時、出発の3ヶ月前だったのでした。



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