| 伏 見 (ふしみ) 1 |
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| 川面に映る月桂冠大倉記念館 |
幕末には「鳥羽・伏見の戦い」の舞台にもなりました。
また伏見は、昔は「伏水」と書かれていたくらい水のきれいなところで、
今では伏見城の近くにある御香の宮(ごこうのみや)の水が日本の銘水100選に選ばれ、
その名水を使った月桂冠、黄桜などの酒造メーカーが集まる京都の酒処として有名です。
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電車を降りて東に向かうと伏見城、西に向かうと大手筋(おおてすじ)商店街があります。
大手筋商店街は1kmはあろうかという東西に長い商店街で、いつ行っても賑わっています。
ファストフード店やパチンコ屋など最近できた新しいお店もあれば、古くから続いていそうなお店もあって、
ふらふら覗きながら歩くだけでも半日は過ごせそうなところです。
商店街を抜けて左に曲がると、今度は「竜馬通り」と名付けられた
「寺田屋(てらだや)」に続く小さな商店街が始まります。
寺田屋はもちろん幕末の「寺田屋の変」で坂本龍馬が刺客に襲われたあの旅籠で、
今でも宿泊することができます。
寺田屋のある通りに出ると、目の前には宇治川の支流が流れていて、
その川端はここを商売の船が行き交っていた頃を偲ばせるような、風情のある公園になっています。
川の両側に柳の木が揺れていて、それが水面に映って同じように揺れているのを眺めながら、
いい気分で川沿いを歩いていくと、程なく「月桂冠大倉記念館」の裏側にたどり着きます。
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川に面して立っているこの記念館は、酒蔵をそのまま資料館にしたもので、
川端に座って眺めていると、大げさではなくタイムスリップしたような気持ちになります。
ほのかに漂うお酒の匂いに誘われて正面へ廻ると、杉玉が吊り下げられた入り口があります。
その時は友達と一緒だったのですが、閉館時間の4時近かったせいか、人気もなくがらんとしていました。
右手の受付で入館料300円を払うと、なんと早速月桂冠のお酒1合がお土産としてもらえます。
そして見学の順路に従って進んでいくと、
お酒造りの過程が、たまにテレビなどで耳にする「お酒を造りながら唄う歌」をBGMに、
実際の道具を展示しながら説明されています。
次の部屋では、月桂冠創業当時から現代までのお酒のラベルや時代毎の写真などが展示してあって、
今のものと比べると随分変わっていておもしろかったです。
その部屋には外に通じるドアがあって開けてみると、まだ新しそうな日本庭園につながっていました。
雰囲気がいいので出てみたところ、小石を敷き詰めた中につくばいや飛び石があって
なかなかの風情なのですが、意外だったのはこんなところで「切支丹灯籠」を発見したことでした。
それは膝丈くらいの灯籠で、一見普通の灯籠なのですが、
よくみると天使のようなレリーフが刻まれていました。
謂われなどはわからなくて残念でしたが、京都で実物を見たのは初めてでした。
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中へ戻ってあちこちで写真を撮っていると、
案内係らしい4・50代のおじさんが近づいてきました。
私はてっきり「もう閉館ですから」と追い立てられるのだと思って愛想笑いをしたら、
意外にも「写真撮りましょうか?」と声を掛けて下さったのでした。
しかも、私たちが撮ろうとしていた場所だけでなく「ここも記念になりますよ」と言いながら、
オススメらしい場所まで案内してくれて、そこでも写真を撮って下さいました。
その後も、もう4時は回っていたと思うのですが、
順路の最後にある利き酒コーナーまで案内してくれださり、
月桂冠の大吟醸と、ここだけで限定販売しているという「レトロ」というお酒、
そしてプラムワインを一通り試飲させていただき、日本酒党の私には至福のひとときでした。
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お酒をいただきながら一つ一つのお酒についても説明して下さり、20分近く立ち話していたでしょうか。
ではそろそろ、と出口を出た私たちになおも声がかかりました。
振り向くとさっきのおじさまが笑顔で手招きしています。
戻ってみると、閉館時間を過ぎて片づけられた「月桂冠大倉記念館」の古めかしい木製の看板を
わざわざそれを出して下さっているのでした。
「ここで写真を撮られましたか?」と聞かれて首を振ると、
「記念ですからね」と看板の横でまたもや写真を撮って下さいました。
なんと親切な方がいるのでしょう!世の中捨てたものではありません。
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利き酒効果も手伝って上機嫌な帰り道、
月桂樹の植えられた月桂冠の社屋ビルを脇に見ながら、
「ああいう人がいる限り、月桂冠は大丈夫よね」だの「あの人の名前を聞いとくんだった!」だの
「私、あの人のファンになっちゃおう!」だのとわめいている私に、
優しい友達は温かい眼差しで応えてくれました。
以来機会がある度にこの「大倉記念館」を世に広めている私です。
お酒好きな方はもちろん、そうでない方も、
かのロマンスグレーなおじさまに会いに行ってみて下さい。