私は後妻?
入学式はちょうど日曜日で、その頃まだ仕事に就いていなかった私は、
とくにお祝いをするわけでもないのですが、週末を利用して実家に帰ることにしました。
大学の、しかも男の子の入学式なんて付いていく保護者は少ないと思うのですが、
その日は母が仕事で父は暇を持て余していたので、
弟を車で送りがてら、私も父と一緒に式に出席することにしました。
その日は桜も咲きかけたいいお天気で、私もおニューの春色のスーツを着てでかけました。
学校の門をくぐると、やっぱりどこの大学も同じ様なもので、早速サークルのビラ配りをしていました。
私も数年前を思い出しながら笑顔を振りまいていたのですが、結局ビラは1枚ももらえず終い。ナゼ?
代わりに弟がもらったビラを大量に預かり、父と一緒に式場の父兄席へ向かいました。
共学の総合大学だけに、1階の学生席も2階の父兄席もほぼ満席。
私と父はたしか端の前の方に座ったと思います。
弟がどこにいるかはもうわからなくなっていました。
◆ ◆ ◆ ◆
式が始まるまでしばらくの間、周りでは知り合いらしい母親同士が何人かでおしゃべりを始めました。
私も父と、何でもない話をしていました。
するとどうもその母親軍団の熱い視線を感じるのです。
弟の入学式に姉が来るのが珍しいのかな。
そう思って気にせずにいると、ひそひそ声が聞こえてきました。
「ねえねえ!」「まっ、ほんと!若いお母さんねえ・・・」
って、私?私?私のことなの?・・・いくらなんでもそれはないでしょう、ねえお父さん、
と隣を見るとそれは父にも聞こえていたらしく、「俺が若く見えるのかなあ」とニンマリ。
どうもなんか感違いしているらしい。
そんなことがあって式の間中、軽いショック状態だったというのに、
式場の外で弟を待っている間、今度はすれ違った夫婦の会話が聞こえてきました。
「再婚かしらね」
だーかーら、違うんだってば!!私が後妻にでも見えるというの?この若さで?
帰り道、意地でもサークル勧誘のビラをもらおうと父から離れて一人で歩いてみましたが、
みんなどうしていいのか困ったような顔をして、やっぱり1枚ももらえませんでした。
卒業してすぐの春だったというのに、私はもう学生には見えなかったのでしょうか。
こうなったら卒業式にも乗り込んでやる!