みたらし祭
写真はもうしばらくお待ち下さいね。



**** 土用の丑 ****

土用の丑の日。毎年この時期になると思い出すのは学生時代のバイト。
ウナギが名物の和食レストランだったのですが、
私の仕事はテイクアウトのウナギ弁当とお寿司の販売だったので、
いつもは夕方出勤なのに、この日は朝からパートのおばちゃん達に交じって声を張り上げていました。
その代わり、賄いにもウナギ丼が出されて、
運が良ければ帰りには売れ残りのウナギ寿司もこっそり頂けて、
まさにウナギ三昧の一日でした。

今年の土用の丑の日は日本のどこやらで最高気温40℃以上が観測され、
京都でも野球部員10人が練習中に熱中症で倒れるという恐ろしく暑い一日でした。
新聞をめくりながら、目は自然と涼しげなものを選っていたらしく、
「真夏の風物詩」と銘打たれた下鴨神社の「みたらし祭」というのを見つけました。


**** 夏祭り ****

境内のみたらし池に足をつけて無病息災を祈るというこのお祭りは、
下鴨神社としては5月15日の葵祭に次いで有名なお祭りで、
毎年新聞などで目にしてはいたのですが、
京都在住9年目にしてまだ一度も行ったことはありませんでした。
見ると、土用の丑の今日が当日祭で、朝の5時半から夜11時までやっているというので、
運動を兼ねて、会社帰りに自転車で行ってきました。

下鴨神社の参道は「糾(ただす)ノ森」の中にあって、
いつもはカップルかウォーキング中の中高年しかいないような暗い砂利道なのに、
今日は食べ物やゲームやらの露店がズラリと並んでいて、
浴衣を着た家族連れや、夏休みが始まったばかりの子供たちで大賑わいでした。

露店が出ているなんて思わなかったし、私みたいな物好きか、
おじいさんおばあさんくらいしかいないだろうと思っていたので、この賑わいようにはびっくりしました。
25日は天神さんの日でもあるのですが、見るといつもは天神さんの境内で串カツを売っているおじさんがいました。
今夜はこっちの方が遅くまで開いているので儲かると踏んだのでしょうか。


**** 行列 ****

門をくぐるとロープが張られていて、「お参り」と「お帰り」のコースに分かれていました。
池の場所を覚えていなかったので、この先にあるのかと言われるままにお参りのコースを進んでいくと、
突き当たりにはご本殿があり、お賽銭箱が折り返し地点になっていました。
ナルホド、神社の方でも今日は書き入れ時らしく、道理で夜11時まで気張っているはずです。
折り返し地点を過ぎると急に行列が始まり、
ロープに沿ってうねうねと進んでいく様子はまるでUSJでした。

境内はたくさんの提灯が灯ってとても明るかったのですが、
ふと空を見上げるとおぼろかかった三日月が浮かんでいて、
世界文化遺産になるような古めかしい神社の屋根と、空に届きそうな森の木々とが同じ視界に入って、
かえって明かりを消してほしいくらいの風情でした。


**** 有料なんです ****

行列もいよいよ最後の「うね」になると、係の人がビニール袋を配り始め、
それをもらってスノコの上で靴を脱ぎます。
みたらし祭初参加の私でも、池に足を付けるというからには、
ひざ丈のスカートに素足でサンダルを履いて、タオルを持参するくらいの用意はしていました。
マットの上を素足で進んでいくと、「入り口」にはテントが張られていて、
そこには「お池 100円」と書いてありました。

なんと、お池に入るには100円いるのか!!
一瞬どこに来たのか忘れそうになりましたが、係の人が叫ぶには、それはローソク代とのこと。
別に払わなくてもよかったのかもしれませんが、
前の人から順番に、まるで入場料のように100円を払ってはローソクをもらって入っていくので、
もう来ないかもしれないし、私も100円払って中に入りました。


**** いよいよ ****

すると、確かいつもはロープが張ってあって立入禁止のはずの
みたらし川に下りられるようになっていて、
小さな赤い太鼓橋の下をくぐってみたらし池に出るようになっていました。

あちこちから「冷たぁ!」という歓声が聞こえてくるなか、
順番がきてワクワクしながら足を水に浸すと、果たして日中の暑さがウソのような冷たさです。
しかも橋の下は洞窟みたいに真っ暗で、探検でもしにきたような気分。
その先ではローソクの火がポツポツと増えていき、とてもとてもきれいでした。

いろんな事件の影響か、幅狭な川のあちこちに警備のおまわりさんが立っていてジャマなくらいでしたが、
子供たちを見つけると、「おぼれんように気ぃつけや」、「これからもっと深かなるで」と、
気さくに声をかけていて温かいかんじです。

前にいたおばあさんが「スソ濡れまっせ」と言われていたので、
私もひざ丈のスカートをさらにたくし上げると、
目ざとく見ていたおまわりさんに「おネエちゃんは大丈夫やで」とつっこまれました。
池まで行くと、水はちょうどひざ下まできて、冷たくてとてもいい気持ちでした。

池の周りにはロウソクを立てるところがあって、
細長い竹串にささっているロウソクを手で抜いて、そこに立てるのですが、
普段ロウソクを持ち慣れない私は、ロウが手に垂れてきたらどうしようとヒヤヒヤするわ、
近づくとほかのロウソクの火が熱くて熱くて早く立てなければと焦るわ、とにかく必死でした。
そこへいくと隣のおばあさんは慣れたもので、熱がるでもなくゆっくりとロウソクを立てて、
しかも煙も出ていないのにその辺の空気を手のひらでかき寄せて、せっせと頭にこすり付けていました。


**** 帰り道 ****

池から上がって足を拭くと、今度は「ご神水」が待っていました。
それはどこからやってきた水なのか、流しそうめんの台のようなものを通って
前の方からどんどん流れてきていました。
それを1列に並んだ係の人が柄杓ですくって、陶器のお椀に入れて次々と出し、
それを反対側に並んでどんどん頂いていくというシステムのようです。

これには「お心ざし」と書かれていて、前の人たちをみると10円の人がほとんどだったので、
もう来ないかもしれないし、さっきお賽銭を投げなかった分、ここで10円献上することにしました。
ご神水はよく冷えていておいしかったです。

ここまでがコースのようで、並び始めてから25分が経過していました。
入り口のテントを見ると、混んできたらしく入場制限されていました。
帰り道の露店もまだまだ賑わっていましたが、
「んなもん買わへんで!」と子供を引きずって歩く頼もしいお父さんの後をついていったおかげで、
割とすんなり通り抜けることができました。
見てみると周りはほとんどが子供なのに、露店ではグズっていても、
あんな絶好の水遊び場で、ふざけて水を掛け合ったり走り回ったりする子は1人も見かけませんでした。

最後に、みたらし祭というからには「みたらし団子発祥の地」としているお店がやっぱりあるのですが、
ここは門前の一番良さげな場所に陣取っていて、やっぱり行列していました。
もう来ないかもしれないし、3本くらい買って帰ろうかとのぞいて見ると、
あっさり「10本1000円」でした。
ちなみに普段は5本から売っているようです。
1本100円もするみたらし団子を口にするには、親を連れてこなければなりません。
今度は親と来ようとこっそり誓って、神社を後にしました。




【行き方】 京阪出町柳駅下車、徒歩スグ。または市バスで「糾ノ森」下車。


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