晴明神社
晴明神社
星マークに注目です!



◆ ◆ ◆ 信者多数。絵馬必見。 ◆ ◆ ◆


東寺を過ぎたあたりから国道1号線と合流する堀川(ほりかわ)通りは、

車が朝から晩までひっきりなしに往来する京都のメインストリートのひとつです。

「堀川」というからには昔はお堀だったのかもしれませんが、

今ではとぎれとぎれに細い空堀が残っている程度で面影はありません。

堀川通りには七条の「西本願寺」二条の「二条城」、

そして今回訪れた一条の「晴明神社」など多くの史跡が集まっています。

晴明神社は「一条戻橋(もどりばし)」の西側にあって、

ビルとビルの間でひっそりと何気なく存在しているので、

知らなければうっかり見過ごしてしまうくらいです。



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堀川通りに面した鳥居をくぐると、新しくなる前の「一条戻橋」の一部が保存されています。

「戻橋」の名前の謂われを簡単に言うと、

父親の死に目に会えなかった息子がこの橋の上で父親に呼びかけたところ、

父親がしばし生き返ったのでこの名前がついたそうです。

以来、戦地へ赴く兵隊さんはこの橋を通り、お嫁入りの行列は今もこの橋を避けて通るそうです。



そして晴明神社に祀られている平安時代の陰陽師(おんみょうじ)、

安倍晴明(あべのせいめい)」とこの一条戻橋も深いつながりがあって、

ここには彼が操った式神(しきがみ)が封じ込められていたということです。

陰陽師というのは陰陽道という天文学を基とした一種の占いのようなものを扱う人のことで、

晴明は平安時代のナントカ天皇のご落胤という高貴な生まれにして陰陽道の権威でもありました。

加持祈祷が盛んに行われ、怨霊や怨念が信じられていた当時、

式神と呼ばれる悪鬼を自在に操って魑魅魍魎を退治し、

星の動きによって人の運命までも占ってしまう晴明は貴族たちのスーパースターでした。



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とはいえ、どうして私が彼を知っているかというと話は高校時代にさかのぼります。

当時の私はどっぷり少女マンガにハマっていて、

友達ともしょっちゅうマンガの貸し借りをしていたのですが、

借りた中にあった「王都妖奇譚(おうとあやかしきたん)」こそが

「安倍晴明」を主人公にした物語だったのです。

そのマンガの晴明は、男だてらに銀色のロン毛をなびかせて光源氏もかくやというほど美しく、

少女マンガのヒーローとしてはハマりすぎるほどハマっていました。

結局最後までは読んでいないのですが、

私が彼について知っていることはそのマンガを読んで覚えている程度のことなので

先に紹介したことはあまりアテにはなりません。



そして京都に出てきて数年たったある日、

バスに乗っていて何気なく外を見ていたところ偶然「晴明神社」を発見したのでした。

「晴明」と聞いて思い浮かんだのはマンガの主人公。

実在の人物ということは知っていましたが、まさかその人の神社があるとは思いませんでした。

でも神社には一目見て両者が同一人物であるとわかる証拠があったのです。


それは星マークでした。



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一つ目の鳥居をくぐると、細い路地を挟んで二つ目の鳥居があり、

その正面に神殿、左手に社務所がありますが、

パッと境内を見渡すとこの神社の明らかにほかと違う点に気づきます。

星マークなのです。

瓦も提灯も絵馬もお札も何もかもに星マークがついているのです。

これは正確には五芒星といって「晴明桔梗」とも呼ばれている魔除けのマークで、

当時から使われていたのだそうです。なんかハイカラですよね。

私なんかはミーハーなので、どんなにありがたい御札も「グッズ」に見えてしまいます。



さて、正面の神殿の賽銭箱の脇には「この方もお参りに来られました」と貼紙があり、

大槻ケンヂ氏、菅野美穂氏、千秋氏、そして「世界妖怪協会会長」の京極夏彦氏が寄進された

一口2000円の銅板が飾ってあります。

ちなみに今は平成15年に行われる一千年記念祭の準備中で、

寄進すると記念に星マーク入りの提灯とステッカー(共に非売品)をいただけるそうです。

これまたなんともミーハー心を引き付けるではありませんか・・・。



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私はこの京極夏彦氏をここで初めて知ったのですが、

どうやら彼はただの「会長」ではなく作家でもあり、その小説の中に安倍晴明が登場するらしいのです。

そのファンが多くここを尋ねていることは絵馬を見れば明らかでした。

そう、この神社に来たら絵馬をひとつずつ拝見することをオススメします。

なぜ、ってとにかく普通じゃないからです。



「京極先生の小説がもっともっと売れますように」

「京極先生、これからもがんばってください!」などなど、

「会長」を励ます読者からのメッセージと、

私もハマった「王都」ファンからのメッセージが3分の2を占めていました。

「王都」ファンの場合、呼び名は決まって「晴明サマ」。

やはりあのマンガのイメージなのでしょう。

メッセージも「晴明サマ、会いに来ました」「好きです」「必ずまた来ます」、

と晴明サマ本人に向けた黄色い声と、作者に向けた応援のメッセージが多かったです。

だから絵馬の3分の2は願掛けというよりは来訪記念のようなものでした。



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しかし残りの3分の1。これこそ晴明神社の本質を知らしめるものでした。

それは本当はこんなふうに紹介することさえ憚らなくてはならないものかもしれません。

もちろん「大学に合格しますように」「就職できますように」、

「家族が健康でありますように」といった、

どこの神社にもある普通のお願いもあります。でもこれはどうでしょう。


「潜在能力が開花し、晴明様のような超能力者になれますように」

「毎日陰陽師になるための修行をしています」

「晴明様に嬉しいご報告があります。呪いの第1段階をクリアしました。」


どの絵馬も住所・名前入りなのです。

そう思ってみると、星マーク入りの絵馬が風に揺られてカランカランと鳴る音が

妙に不気味に響いてきます。神殿に飾られている八角形の鏡も今、光ったような気がします。

ここは晴明の屋敷跡。今も私の周りを目に見えない式神たちが飛び回っているかもしれないのです。

この神社は夜も明かりはついていますが、門が閉ざされていて入ることはできません。

でもこの神社ほど夜が似合う神社はないというくらい「闇」のにおいがするのです。

もし訪れる機会があったなら、なるべく生温かい風の吹く、

どんよりと曇った日を選んで行ってみてください。

遠くに雷鳴が聞こえればなお雰囲気が出てくると思います。


すっかりその雰囲気に魅了された私は今、

星マーク入りのお守りを部屋に祀って拝みながら、

やっぱりお札ももらってこればよかったなどと思っています。



【行き方】
行き方 京都駅から市バス一本。Bのりばから9号系統で「一条戻り橋」下車。徒歩3分。



※参照 「王都妖奇譚」(岩崎陽子作・秋田書店)


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