スキーヤー・父
日曜日に雪が降って辺り一面銀世界になったことがありました。
それは久しぶりの大雪で、弟と2人、家の前の道を少し往復しただけで、
1mくらいの雪だるまが作れたくらい積もっていました。
私たちが雪遊びを終わって帰ると、父が屋根裏に上ってなにやらガチャガチャやっています。
しばらくして騒々しく下りてきた父を見ると、
肩にスキー板をかつぎ、手にはスキー靴とストックが持たれていました。
そしてなにやら嬉しそうに外へ出ていきました。
窓から外を見ていると、父は近所の誰もいない駐車場でスキー靴を履き、スキー板を装着しています。
まさかお父さんっ・・・!!
その駐車場の出入口にはわずかに10度くらいは角度のついたスロープがありました。
スロープというか、距離にして1mもないくらいのただの坂です。
いくら積もっているとはいえ、積雪量よく見積もって20〜30cm。
そんなところでスキーをするなんて、子供の目にも無謀でした。
そして案の定、スキー板の方が長いようなその坂を、1回、2回滑るか滑らないかで、
父はスキーを外して帰ってきました。わずか4・5分の出来事でした。
玄関に座って靴を脱ぎながら父がぼそっと一言。
「あーあ、スキー靴の金具が割れちゃった。」とつぶやきました。
私が3才くらいの時に家族でスキーに行って以来、
長いこと手入れもされずに屋根裏で眠らされていた父のスキー靴は、
思いがけない時に引っぱり出されて相当驚いたらしく、早速イカレてしまったのです。
「まぁたいらんことするからだわ!」母に一喝され、さらにしょぼくれる父。
でも、これしきの雪で近所でスキーを履いてしまう父、私はかなり好きかもしれません。