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憲法改正論議

 2005年の年が明けた途端、憲法改正論議が姦しくなって来た。今次の国会の代表質問に対する小泉首相の詭弁を弄した不真面目不誠意極まる答弁の有様を見ていると、いずれ始まる憲法改正審議の光景が浮かんで来る。そして、国会は恐らくこんな調子で進むのだろうな、という困惑と懸念が湧いて来る。困ったことである。

 自民党は4月にも新憲法草案を提議する方針のようである。中曽根元首相も私案を出しそうである。一見、全面改訂の様相を呈しているので、自民党は憲法改正論ということになる。一方、与党の公明党は現憲法を基調として憲法第9条に新たに条文を付け加えるだけの「加憲論」のようである。

 自民党は、明らかに「自衛隊を軍隊化」し、「海外での軍事行動を可能」ならしめるように目論んで憲法を改正しようとしている。戦後60年余の間には米ソの冷戦状態の中で数多くの国際紛争や戦争が起きて来たが、その間、アメリカの大統領は何人も登場し、国際間において現憲法で何ら不都合は生じていない筈である。

 ということは、「現憲法はアメリカによって作られたもので日本が自主的に作ったものではない。戦勝国から与えられた憲法である」と言って改憲を主張する議員もいるが、極めてよく出来ている憲法であると言える。その思いは私だけでなく、私の身辺にいる裁判官や弁護士、法学者などが皆「現憲法は実に良く出来ている」と誉めていたことにも現れている。憲法学者の土井元委員長や憲法に明るい福島委員長率いる社民党も同じ考え方であるようである。

 それなのに、何故、小泉さんは改憲をそんなに急がなければならないのだろうか?何故、ブッシュ大統領のときだけ改憲論が騒がしくなるのだろうか?その答えは、現在のイラク派兵を歴史的に正当化するための改正論議でしかないと推察せざるを得ない。特に、小泉首相は、本来ならマスコミや世論からこっぴどく叩かれても然るべき、時の総理大臣として歴史に残る大失敗を犯している。

 昨秋の訪米のとき、閣議決定どころか誰にも諮(はか)らず、小泉首相個人の見解だけで「12月14日以降のイラク派兵」をブッシュ大統領に約束した。これは、議会制民主主義を冒涜した独裁ファッショ政治に匹敵する重大な行為である。小泉首相は、このような独断専行の過ちを冒したという弱みを持っているにもかかわらず、何故か、この件についてマスコミは殆ど触れようともしていない。更に、野党から叩かれてブッシュとの約束が反古(ほご)にでもなったら事であるので、国民を代表する野党議員の意見をも無視し、閣議決定だけで自衛隊のイラク派遣一年延長を決めた。

 改憲の要は、この憲法違反の事実を早く正当化する必要があり、早く自衛隊派遣を合憲状態にしなければならないという事情があるからに外ならないのではないか?そういう意味では、政治的にはかなり追い込まれた状況にある訳であるが、これらの件について何故かマスコミが論戦を張らないために日本国民の耳目に触れることもなく、日本国民の人の良さというか、ノンポリのお陰で小泉政権は持ちこたえていると言える。

 この点については、議会制民主主義を踏みにじった小泉首相の責めを問うべき立場にありながら、何の行動も起こさない民主党も同罪であるとしか言い様はない。もっとも、右から左までの幅広い議員を抱えている民主党は、党として意見を一本化してまとめることは至難の業だろう。下手に動けば、憲法改正に足を踏み込んだために抜き差しならぬ立場に追い込まれ、党を割ることさえ危惧される。となると、党の意見を曖昧なままにするしか術のない民主党に多くを期待することはできない。

 従って、社民党や共産党にはこの点をもっと強く突いて頂きたいと期待している。特に、「侵略のための戦争を永久に放棄」した第9条が何故に不都合なのか?むしろ、世界に誇るべき理想的条文である筈なのだが・・・。そういう理由で、今、憲法を改正しなければならない理由は極めて薄弱と言える。どの条文が現代の国際情勢や社会情勢にそぐわないのだろうか?

 私個人としては、憲法よりも先に「天皇は直系男子を承継者」とする皇室典範を早急に改正すべきだと考えている。宮内庁の要職にある者が秋篠宮に「早く第三子をつくりなさい」と言ったというニュースをテレビで見たが、それ以後、このニュースは一度も放送されていないようである。雅子妃が高齢であるために次子が産めないとでも考えたのだろうと思うが、どうもイラク派兵問題同様、この件も報道規制がなされているように思えてならない。それにしても、宮内庁にまでもとんでもない役人がいたものである。


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