∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 以久遠氏 Beauty,Business & Favorites   巻頭   <76>VOL. '05-04/ 2005.04.01 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

事象        

 文字は、音や情景などの事象を記録するための手段である。即ち、火の無いところに煙立たずではないが、文字の前には必ず事象があるということを忘れないでいただきたい。例えば、「ゴーッ」という音を文字で表現すると「轟音」と書く。そして、「ゴーッ」という文字を目にした途端、頭の中ではかって見た目の前を列車が轟音を轟かせて走り去る光景を思い浮かべる訳である。

 ところが、「ごーっ!」と平仮名で書かれていると、とっさにはそのイメージが湧いて来ないという小さな混乱が起こる。つまり、文字をイメージ化するためには片仮名の「ゴーッ!」は地面を揺るがす轟音で、平仮名の「ごーっ!」は空気を揺るがす轟音といったように一定のルール付けが必要になるのである。このルール付けが知識の基礎となる。

 世の中には、現場を見ようとしない目と、音を聴こうとしない耳を持った人たちが大勢いる。文字至上主義型の人たちである。彼らが豊富な体験と豊富な知識と論理的思考法に秀でておれば良いが、多くは文字に頼り過ぎる傾向があり、文字を見て事象を思い浮かべることで全てを理解したつもりでいる人たちである。実際は、現実の事象を忌避しなるべく遠ざかろうとしている人たちである。

 彼らは概して頭の中で音も情景も何もかも文字化して解釈しようという傾向があり、事象よりも文字を優先しようとする。文字の字面から全てが理解できると思い込んでいるのだろうが、これが大きな錯覚であることに気づいていない。結果として、何でもかんでも文字にして報告することを要求する。

 しかし、事象の全てを文字だけで表現しようとしても限界があり、また報告させた方にしても文字表現以上のものを理解することは出来ないことを知らねばならない。やはり、「現場は語る」ではないが、自分の目と耳で現象に直面する積極的な姿勢が大切である。事象は文字とは比較にならない膨大な量の情報と時には警告を発信している。判断はそれからである。

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