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1月18日、169回国会、所謂「ガソリン国会」が開幕した。ガソリンの暫定税率の期限切れを前に、今、道路特定財源問題が沸騰し始めている。福田総理は169回という数字が示しているように「一番難しく苦しむ」国会、あるいは「一路苦しい国会」の総理という一番損な役回りに巡り会ったようである。冬柴国交大臣や伊吹幹事長やその他大勢の道路族議員は「開かずの踏切」がどうの…、「歩道橋」がどうの、「地方財政」がどうの、と苦し紛れの言い訳染みた主張ながらも幾らかは国民を納得させる展開になりつつあったが、23日になって突然、民主党が、本来、道路建設や維持管理費用に使途が限定されている筈の道路特定財源が、地方公務員宿舎建設(8000戸)費用や公務員用車両購入費、更に野球道具や囲碁等のレクレーション費用に使われていることを暴露した。
これには、国民も黙ってはいないだろう。国会が「ねじれ」ていなければ、暫定税率問題も自民党の「シャンシャン」国会で多くの国民の耳目に触れることもなかったであろう?そういう意味では、先の参議院選挙によって第1党が与党から野党へ移った効果は大きい。
道路特定財源の「暫定」税率というのは田中角栄総理が編み出したものだが、それが何度も更新されて34年間も続いていたことには驚いた。特に自民党政権の長かったこの時代はわが国の超高度成長時代で、様々な独立行政法人が省庁の子会社・孫会社の如く設立された。高度成長時代の遺物のようなそれらが、これまで一度も見直されることもなく、単なる官僚の天下りの受け皿に成り下がって悠々と存続し、延々と膨大な無駄を生み続けているのが現在の姿である。
その結果、膨張し続ける国家予算を賄うためには税収だけでは不足し、最も手軽な「国債発行」という手段に手を染めたことが、昭和53年には50兆円弱くらいしかなかった国債残高(昭和58年110兆・平成6年207兆・平成10年296兆・平成15年457兆)を一挙に現在の国・地方併せて1000兆円と言われる膨大な借金にまで膨らませた。今にして思えば失政以外の何物でもないが、世界一の高度成長に浮かれ借金の怖さに思いが至らなかったのだろう。
これは、慢性的な円安と世界一の低金利と株式・証券市場の低迷を招き、今に影響している。端的に言えば、円安による原材料の高値仕入れ、超低金利による国内資金の海外流出、円安による禿鷹ファンドのターゲットとなっているのである。この国債問題については、「孫子の代にツケを廻さない」政策が講じられるよう監視しなければならない。
勿論、その当時はそれなりにガソリン税に「暫定税率」を付加した理由は存在していたとは思う。しかし、高度成長時代は既に終焉を迎え、高速道路建設も見直されて9000数百kmを残すのみとなり、道路公団を民営化したことは、「暫定税率」はその役割を終えたと判断するのが妥当である。にも拘らず、冬柴国交大臣がさらに「10年延長」し「59兆円の財源で1万数千kmの道路」を建設しようと拘泥しているのは、近い将来に行なわれる衆議院選挙を意識しての人気取りであろう。こんな政治家が大臣でいるから日本という国が弱体化する。
もともと、「有料道路や高速道路というのは一定年限に限って有料とされ、建設資金が回収された時点で無料化(一般道路化)される」という前提で建設されたものである。従って、当然、年限が来れば、無料道路となり、維持管理は一般財源からの支出で賄われる筈であった。それがいつの間にか、「有料道路・高速道路が新たな有料道路・高速道路と接合された場合、新道路の償還期限まで有料を継続する」と法律が改正され、いつ無料になるのかが曖昧になった。そして更に「無料化」は削除され有料一本となった。これによって、欧米では無料か極めて低額な利用料金が、わが国では未来永劫に渡って高額料金が継続することになり、地方産業を育成するどころか、むしろ阻害する因となったのである。
この原因は、恒久的形態の道路公団を作って高速道路の建設・管理を任せたことにあると言える。公団に天下りした官僚が、年限が来れば公団収入が減るような自ら首を絞めるような政策・方針を掲げる筈がない。当然、彼らは道路族議員と官僚を抱き込んで、年限のあるものは延長あるいは無期限にすることを画策する。更に民営化という名の下に高速道路の利用料金を経営の基盤とする「日本高速道路株式会社(正式には、東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社)」まで作って「高速道路の無料化」を幻にしてしまった。高速道路を無料化することが過疎化や地方の第1次産業の活性化に寄与することが期待されていた筈であったが、全く愚政の極みと言わざるを得ない。
自民・公明及び一部の野党の道路族議員は「暫定税率の10年延長、59兆円の道路建設・維持管理」という理由を挙げて暫定税率を維持しようとしているが、彼らの腹の中は「利権の温存」以外の何物でもあるまい。伊吹幹事長らは「開かずの踏み切りを解消するための財源はどうするのか?」「歩道橋建設の原資はどうするのか?」といった一見綺麗事に聞こえる詭弁を並べて反論しているが、これは「空から落下する航空機パーツの事故から守るための設備も道路特定財源で作るような話」で、論外である。通学通園・通勤の安全に関わるような、一般国民の安全に関わるようなものは特定財源で賄うものではなく一般国税で賄うべきものである。
このような長期一党支配の遺物のような無駄な利権・歳出は、厚労省や防衛省で明らかになったように、外務省や総務省などの各省にも山ほどある筈で、その見直しのために設けられた大臣が渡辺喜美行革大臣の筈である。だが、「同じ穴の狢(むじな)」に改革を期待する方が無理な話で、案の定、大した実績も挙がっていない。参院与党である野党には、道路特定財源に止まらず、存在理由が不明あるいは役割を終えた独立行政法人や種々の特別会計・特定財源等々各省庁の利権等を白日の下に暴き出して国民の前に明らかにして欲しいものである。
私は、数年前、高知県を最後に全国47都道府県全てを踏破した。特に2006年までに開通していた高速道路については鹿児島から北海道までほぼ全域に渡って走破した。春夏秋冬、それぞれの季節に時々の香りや風景を楽しみながらガラガラに空いた立派過ぎる有料高速道路を走るのは心地良いものだが、その度に「この高速道路の建設目的は何だろうか?」と不思議に思ったものである。
大分から宮崎県北部の延岡に走ったとき、大分県内は東九州自動車道が快適だったが、宮崎県に入った途端くねくねと曲がりくねった山道には苦労した。せめて東九州自動車道が延岡まで延びていたら、と恨めしく思ったことを覚えている。延岡から宮崎市までは海岸沿いの国道を殆ど高速道路か自動車専用道路のような感じで快適に走ることができた。東国原知事は「宮崎にも高速道路が必要」と主張しているが、現在の国道を改善整備して無料の「時速80km」制限の高性能国道を作る方が余程県民のためになるのではないだろうか。
同様のことは島根県や和歌山県等にも言える。要は、高速道路のように高価で高性能の道路ではなく、無料で走れる制限時速80km程度の程々の性能の3車線道路の方が地域への貢献度は大きいと思う。将来、どうしても高速道路にしたいのであれば、片側3車線の道路を造って置けば、将来中央の2車線を高速道路にし、左端の道路を一般道とすることも出来る、といったことも考えられる。何が何でも高速道路を、というのは地方財政の現状から見ても無理があるし、投資効果的にも一考の余地がある筈である。
当時、限界集落という言葉はまだなく「過疎化」という言葉で表わされていたが、高度経済成長で若者は3K(汚い・酷しい・危険)の仕事を嫌って挙(こぞ)って故郷を離れ都会へ就職した。高度成長の陰で、第1次産業の後継者不足が問題化し地域産業の消滅が危惧されていた。限界集落化の兆しである。IT産業の登場によって3K産業(格好良い・稼げる・感動がある)が生まれ、最近は第1次産業の3K産業化の動きが出て来て微かながら第1次産業への回帰現象が見られるようになったらしいが、喜ばしいことである。
車というのは手軽なだけに、老若男女を問わず人の活動範囲を大幅に広げる。そのためには必然的に「道路建設」と「道路の維持整備」が必要となる。車社会というのは人間の移動を容易にし、同時に産業製品、生鮮品等の配送距離を伸張し、地域産業の育成に貢献したことは間違いないが、中国の安価品が輸入されるに及んで、一挙に地方の工場が衰退し産業の空洞化現象が起こり、それらが更に過疎化を進展させただけでなく「所得格差」をも深刻なものとした。
一方で、大量廉価輸送の鉄道を衰退化させ、地方私鉄やJR支線の廃業をもたらした。地球的規模でのエコロジーが叫ばれている今、皮肉なものだが、ヨーロッパの各国では鉄道のエコ性が見直され始めている。幹線高速道路網がほぼ完成した現在では、今後の道路建設はエコロジーとCO2を抜きには考えられない。もう一度、高速道路建設と地方私鉄やJR支線の再活用のいずれが良いか、よく検討しなければならないだろう。あと10年間、暫定税率を延長して59兆円という大金を掛けて高速道路を造るという硬直した考えをゴリ押しするのは頂けない。
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