以久遠氏 Beauty,Business & Favorites     ビジネス@   VOL-11/1999.7.1

公的文書私的文書  

 最近、得意先から会社宛に来る請求書や納品書などの文書の宛名を見ていると、部署名ではなく、個人名の宛名が非常に目に付くようになった。

   ○○会社 ××部 甲野乙太郎殿、あるいは○○会社 ××部 甲野乙太郎様

という具合で、特定の個人宛に直接送付されて来る。中には、封筒の宛名だけでなく、請求書の表書きにまでそう書いて来るのもある。これでは個人が買ったのか、会社が買ったのか判然としないし、公私の区別も曖昧になる。飲み屋の請求書ならまだしも、会社が買った商品や備品などの請求書にまで書いて来るのは如何なものか。

 仮に、会社宛に来た請求書を、宛名の当事者が机の引き出しに入れたままにして、支払いがなされなかったときの責任はどちらにあるのだろうか。請求を受けた会社の責任なのか、請求した方の請求書の出し方のミスによるものなのか、法的には責任の所在に疑義が生じるだろう。

 また、こんな宛名で来るから、郵便を受け取った庶務担当者も困る。会社宛の書類とは思っても、一見、私信のようにも見えるので、人情として開けては不味かろうと余計な気を廻してしまうことにもなりかねない。庶務担当者は頭を悩ませながら、結局は、封を閉じたまま、宛名に書かれた本人に直接渡してしまうことになる。管理職も誰も見ていないために、それが重要な文書であったりすると、思わぬ大問題が発生することになる。

 従って、会社の業務としての文書や書類であれば、

   ○○会社 ××部 △△課 御中

と、会社宛の文書であることがハッキリと分かるように書かなければならない。宛先は、相手の名刺を確認して、部署名を正確に書けばよい。昔は、このように部署名だけ書くのが当たり前で、個人名の宛名の請求書なぞは全くなかった。当然、それらの文書は全て部署の責任者が受け取っていた。それがいつの頃からか、個人名で来るようになった。どうしても個人名を書きたいのであれば、

   ○○会社 ××部 △△課 御中
         ご担当 甲野乙太郎様

とでも書けばよいだろう。御中を書き加えることによって、会社宛ということが明瞭になる。

 従って、上述したような間違いを防ぐためには、原則的には、会社名の宛名の郵便に私信がある筈がないのであるから、庶務を担当する人が、会社宛に来た文書を全て開封し、その後、部署の責任者に渡すようにすればよい。責任者から本人に廻るようにするのである。

 開封してはならないのは、親展と配達証明付き郵便と内容証明の郵便だけであると思っておけばよい。私信であれば、

   ○○会社 ××部 気付け 甲野乙太郎殿、または○○会社 ××部 甲野乙太郎殿 親展

と書くのが常識である。

 このように書いてなければ、勝手に無断で開けられても仕方がない。秘書課の人間であれば、社長宛に来た文書と言えども、親展等を除き全て開封して中身を確認した上で社長に渡すのが常識である。

 一般的にはどの会社も、郵便業務は総務部門の仕事である。総務で開封する会社もあるようだが、膨大な郵便をいちいち開けるのはひと仕事であるので、殆どは封のままで当該部署へ配付する。そして、その部署で開封するのが多い。もしも、配付されて来た郵便の中に他部署宛のものが間違って入っていた場合は、開封せずに転送すればよい。間違って開けた時には、一言、その旨お詫びを言っておくことを忘れないように。


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