以久遠氏の Beauty,Business & Favorites   巻頭   VOL.13 1999.12.01号 since 1998.12.15

徳本財末    

 「徳とは本(もと)なり、財とは末なり」という言葉は、中国春秋時代の思想家であり儒学者である孔子の言行録、「論語」の中に出て来る一節である。原文は、

    君子は先ず徳を慎む。徳あればここに人あり、人あればここに土あり、土あればここに財あり、財あれば

     ここに用あり。徳とは本なり、財とは末なり

と書かれている。意訳すれば、「徳望高き人の周りには、いつの間にか人が集まって来る。人が集まれば生活の場が出来る。そして、そこに仕事が発生し、結果として富が生まれる」という意味である。

 逆説的に言えば、「富を得ようとするなら、先ず徳を磨け」という教えである。孟子の言葉にも同じような意味の「先義後利」というのがある。「義を先にして、利を後にしろ」という意味である。徳を磨くためには、「霧の中を行けば、覚えざるに衣湿る」という言葉もあるように、徳望の高い人の日常生活に出来るだけ触れることである。日々の言行に接することによって、知らず知らずの間に自らの徳が磨かれる。

 春秋時代といえば、今から2000数百年もの大昔であるが、この言葉は、今尚、キラりと煌(きらめ)いている。武士道には、「利によって行動が変わるような人間は信用できない」という言葉もある。 

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