Profile of Mr.IKUO                VOL.16 / 2000.03.01号

---未知との遭遇--- Big Island, Hawaii     温度差高度差酸素不足

 先月は、一ヶ月の間に高度差4200m、温度差40度、酸素60%の世界を体験し記念すべき月となった。富士山よりも高く、北海道と沖縄の温度差よりも激しい体験は、勿論、国内でできることではない。

 上旬から中旬にかけてハワイ島の最高峰4205mのマウナケア山頂の「すばる望遠鏡」を見学に訪れた。気温30度の世界と、4200mの高度と酸素60%の世界である。下旬には零下10度の厳寒、大雪の札幌である。環境変化の余りな大きさに、さぞや、わが肉体も驚いたことだろう。

 高度1000m毎に気圧が0.1気圧ずつ減圧し、温度は100m毎に0.6度下がるそうだから、マウナケア山を上り下りするだけで、温度差24度、気圧60%、即ち酸素60%の世界を体験したことになる。実際には、すばる天文台の中の通気孔フロアーの急峻な鉄製の階段手すりが、素手では握れないくらい冷たかったので、恐らく零度か零下だっただろう。平地とは30度くらいの温度差があったことになる。これが常夏の島、ハワイなのである。

 マウナケア山頂の北面にはそこかしこに氷塊のように固まった残雪があって、凍えるような寒さであった。しかも、酸素は平地の60%しかない。身体をちょっと動かすだけで目の前が暗くなり、息が切れる。酸素不足の状態になり、体調がおかしくなる世界である。

 コナ海岸のカメハメハ・ホテルを出発した時は素肌にアロハシャツが爽快だったが、マウナケア山を登るにつれて、セーターを着、手袋をはめ、頂上に着いた時にはダウンジャケットを羽織っていた。

 下旬に、函館と札幌に行った。前日の天気予報では「札幌大雪」と出ていた。道南の函館空港に着いてみると、一面の銀世界。雪の少ない函館では久し振りの大雪だそうである。吹雪に煙る五稜郭を積雪を踏み分けるようにして見物した。札幌のホテルが満室で千歳に宿泊。翌日、目が覚めると、窓外は景色が見えないくらいの吹雪であった。

 結局この日、札幌は今年一番の大雪で、前夜から1日で55cmの積雪を記録した。前夜から駐車していた車が雪に埋もれて数個の小山を築いていた。盛岡に単身赴任していた時以来の光景である。この日の夜、札幌から千歳空港へ向かう高速道路の脇に立っている表示板が「-8℃」を示していた。これも盛岡の零下15℃以来である。

 未知の世界へ旅することは楽しいものである。恐らく先月のような短期日の間に、こんな過激な環境を経験することは二度とあるまい。しかし、世界の各地には埋もれた未知の世界がまだまだ沢山あるだろう。


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