以久遠氏の Beauty,Business & Favorites      ビジネス座談-1-      VOL.19/2000.06.01号

  個の時代

 今や既に、我が国は物余りの時代に入っている。歴史的に見れば、文化の発展は個人の欲求を際限なく膨らませ、それを満足させることによって発展して来た。「これは便利だな」とか「こういったものがあったらいいな」というNEEDS 欲求から始まり、物の種類や量が豊富になるにつれて、「こういうものが欲しいな」というWANTS 欲求に段々エスカレートして来ている。

 そういう意味で、 21世紀は個の欲求が益々尖鋭化する時代となる筈である。インターネットの急速な発展と普及は、個対個、あるいは組織対個人というような、更に「個の時代」の加速的な訪れを確信させる。I T(情報技術)革命はピラミッド型の組織を破壊しようとしているのである。その良し悪しは別にして、一人の天才が大きな仕事を成し遂げることの出来る時代が到来しているのである。

 フラットな組織は決断のスピードは速まるが、人材の育成という点ではピラミッド型の組織に劣る。これまではピラミッド型の組織は育成という面では合理的で都合がよかったが、急激な変化の時代では陳腐化の速度も速く、人の育つのを悠長に待っているだけの余裕はないのかもしれない。

 これをマーケッティング的に言えば、「消費者がこういうものを求めているようだから、そのようなものを作れば売れない筈がない」というメーカーの自己過信型のプロダクトアウト思想の時代から、「消費者の求めているものを作れ」と、マーケットの中に入って消費者の一員として商品を開発するマーケットイン思想の時代へ変化していると言うことが出来る。

 個の欲求の時代とは、超隙間マーケット時代の到来ということである。社会的には価値観の多様化と尖鋭化ということであり、人間性的には個性と感性の肯定ということになる。善悪優劣が分かり難い時代が来ているのである。そのような時代に求められる人財とは、現状の姿を冷静に分析し問題提起が出来、「かくあるべし」という将来を見据えた改善案や改革案を提案できる課題解決型の人ということになる。

 これは、言われたことを言われた通りにさえしておればよい、というサラリーマン的な発想と行動しかできない現状安住型の人に期待することには無理がある。やはり、独創性即ちオリジナリティー能力の高い人間性の豊かな人でなければ、現状を変えることは出来ないのである。


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