社会が変革するとき、新時代に備えてハードやソフトの新旧交代が起こる。過去のように、緩やかに変革が進行する場合は、結果を確認しながら修正を加えて変化に対応することが出来たが、コンピューター時代を迎えて、産業も一般社会もこれまでの10倍くらいの速さで変化している。
特に、1995年のWindows95からWindows98を経て、今、Windows2000とWindows NTの時代、即ちインターネットの時代に入ってからの変化は驚くべきスピードである。半年前に売り出されたパソコンが、新しいソフトの出現によってあっという間に陳腐化する。耐久テストも、検証実験も、利便性も、全てがコンピューターによってシミュレーション的に実験されているに過ぎないのである。
全てがコンピューターに依存する風潮に、「これでいいのだろうか?」という一抹の不安が脳裏をよぎるが、良くも悪くもたった5年ばかりの間に、インターネットは工業生産方式から、金融社会、一般社会の生活習慣や社会機構まで大幅に変えてしまったことは事実である。そして、インターネットの普及はあっという間にITの世の中へ引き込もうとしているのである。
今、まさにわが国はIT 時代の幕開けを迎えている。多くの企業がIT 時代の中での自社の位置付けについて迷い模索し続けている。自らの企業が存続し永続的に発展するためには、何を捨て、何に重点を置いて何を構築すべきか。何を導入すべきか。流通は?物流は?商流は?組織は?これらはどう変わるのか?管理すべきものは何か?あらゆるものに「?」が付けられ見直されようとしている。
社会が急激に変化するときに必要とされるのは、企業の向かうべき針路を的確に舵を取るパイロットである。問題がベールに包まれているとき、決断に迷いが生じ、対策が採れなくなる。過去、誰も経験したことのないITとは、グローバルマーケットをターゲットに置いている点で、これまでのマーケッティングの領域を急拡大している。解決すべき課題や決断すべき課題が、日を追うごとに山積し始めたのである。この課題を如何に解決するか?企業や経営者の不安と迷いに針路を導く新しい需要が起きているのである。
この「課題を解決すること」が、今流行りのソリューション(SOLUTION)という言葉である。日本語に訳すと、「解決」「解析」「解明」という意味であるが、「分離」という意味もある。従って、ソリューションビジネスとは、「現象を解析し分離して、未来の仮説の中において最適な統合(INTEGRATION)を図る」ビジネスということになる。つまり、課題解決を提案し実行するビジネスである。
このように、ソリューションビジネスとは極めて専門的な仕事で、しかも多岐の分野にわたるので、個人の範囲を超えることになる。発想の確かさ、見通しの確かさ、解決プランの確かさ、といったことが求められる。確かさを得るためには、問題点の正確な洗い出しと正確な現象把握が求められる。目と耳と口の世界である。
正確な解決プランを作るには、正確な確認行為が要求される。即ち、ある意味では職人技の世界であるが、高度な理論と正確な予見力が必要となる。そういう意味からすれば、IT時代とは専門家の時代なのである。商品で言えば、カスタムユーズであったり、特定機能の更なる高度化ということになる。商品の機能がユーザーのソリューションになることが必要なのである。システム的には、多くのプロフェッショナルな人々や企業が集まって課題を解決することになるだろう。
そこで、問題を解決できないで困っている企業へ解決の手伝いをするには、営業マンにどんな能力が求められるか、ということになる。こう問えば、もうお分かりの筈である。
お客さんが困っていることを正確に聞き取る能力と、それを解決する方策を的確に提案できる能力ということになる。正確に聞き取るためには集中力と理解力が必要となるが、理解力には幅広い知識が必要となる。集中力とは「聞く集中力」である。
相手の話を聞くということは、一心に聞くことに徹することである。虚心坦懐という言葉があるように、「心に邪な考えや先入観を予め入れずに、相手の言い分を心を広くして聞く」ことが本当の「聞く」という姿勢である。「聞」という字の旧字体は「聴」であるが、「聴」という漢字をよく見て頂きたい。
この字が示しているように、聞くという行為は耳だけで行うものではない。心と目で聞かなければならないのである。しかも、「心を一つにして、何一つ見落とさないように」一心不乱に眼を集中して相手の話を聞かなければならないのである。目も口ほどにものを言うという言葉もあるように、相手の話を正確に聞くためには、目も欠かせないのである。
相手の話を熱心に聞いているように見えても、実際は「次はどう反論しようか」ということを考えて聴いている人の方が多い。自分に都合のいいように聴いているだけで、相手の話を「一心に聴く」状態にはなっていないのである。いわゆる「お喋り」であってはならない。相手が喋っている途中で、話の腰を折って勝手に喋り出すことなど論外である。
そして、解決案を提案することになるが、提案するためには深い知識と相手を納得させる説得力が必要となる。納得させる説得力とは、相手に決断させるテクニックと言うこともできるかもしれない。ソリューションビジネスとは、喋ることよりも聞くことのほうが大事なビジネスである。