以久遠氏 Beauty,Business & Favorites   ビジネス-2-   VOL. 27 / 2001.2.1号

ブランドノーブランド

--市場を占有する--    

 営業において、「市場占有」という概念は非常に重要なことである。市場占有率に「2:1」の法則があることは前に述べたが、商品が市場を占有する割合には一定の法則が見られる。即ち、最終的には「40%、20%、10%」という「2:1」の占有率に落ち着くということを忘れてはならない。

 ブランドについて、ブランド企業という言い方をすることがあるが、ブランドとは「商標」や「銘柄」を意味するものであって、原則的には商品についてのみブランドという概念があることを理解しておく必要がある。しかし、最近では企業名やデザイナーの名前を商品名にするケースが見られ、市場占有率とは関係なくブランド品と言われるようになった。

 しかし、全く知名度の無い商品名でもブランドとして認知されることを知って置かなければならない。一般的には、市場占有率が10%を超えれば市場(マーケット)からブランド品という評価を受け、10%以下の場合は逆にノーブランド品という評価を受けることになる。即ち、10人のうち一人が知っているか、知らないかという線が分かれ目となるのである。従って、既存マーケットに参入する場合、先ず最初は「シェア10%」を目指すことになる。

 ところで、ブランド品かノーブランド品かの評価によって、何が変わるか、ということを認識しておく必要がある。経営的にも営業的にも非常に重要な事柄である。

 商品をマーケッティング的に見る場合、極端な言い方をすれば、ブランド品は市場から盲目的に信頼を受けるが、ノーブランド品はその逆で「まず疑って掛かられる」ということになる。従って、営業的に見れば、ブランド品は商品が顧客を呼びネズミ算的に販売量が増えることになる。即ち、労せずして売れ行きが増大して行く訳であるから、営業コストが掛からないという大きな効果をもたらす。

 言い換えれば、カタログや宣伝だけで商品が売れるということは営業マンの資質をさほど問わないということをも意味する。ここで大事なことは、コストが掛からないから改めてコストを掛けなくてもよいということではない。ブランド評価を維持するコストというのは当然掛かる訳で、そのためのコストまで削ってはならないといことである。

 反対にノーブランド品は、営業マンが商品を持って説明して廻らなければならない。たとえ商品が良くとも、営業マンが悪いために信用を失ってしまうということもある。左程に、顧客の信用を得るための営業は煩雑さを伴う。もともと、商品のノーブランド評価ということは、商品はおろか企業そのものについても知名度や信頼度が低いということを意味するのである。

 従って、ノーブランド商品を販売するには、販売コストとブランド構築コストと知名度信頼度向上のコストという三つのコストを掛けなければならないということである。もちろん、そのために優秀で有能な営業マンと優秀な品質が前提となることは敢えて言うまでもない。では、どうやって市場を押さえるか、どのくらいの占有率を取ったら良いのか、そしてそれをどうやって維持していくか、ということになるが、ここでは市場占有率について述べよう。

 市場を押さえる最も簡単な方法は、市場が求めていて市場に無い商品を新たに提供することである。既存マーケットへ後発として参入することは、現存商品よりも品質、性能、機能が良くなくてはならない。同等品であれば、必ず熾烈な価格競争を引き起こすことになる。価格競争を起こさないためには、マーケットが潜在的に求めている世の中に無い特許製品を開発して投入するのが一番である。

 世の中に無いということは、市場を新たに創造することになるかも知れないし、あるいは既存市場に置換作用を引き起こすことかも知れない。この場合、新規マーケットを創造することになり、市場占有率は100%から始まることになる。しかし、市場の拡大スピードが生産能力を超えて速ければ、新規参入者が雨後の筍の如く現われ、占有率は見る見るうちに低下する。このような美味しいマーケットには、砂糖に群がるアリのように必ず競争相手が現れるのである。

 そして、競合メーカーが乱立し市場占有率(マーケットシェア)は40%〜50%のところまで低下し落ち着く。必然的に、2位のシェアは20〜25%となり、3位は10%前後に落ち着く。即ち、一社で70%とか80%のシェアを独占し続けることは殆ど至難の業(わざ)なのである。

 ところが、市場を50%以上押さえる方法がある。それはOEM という方法である。順位が4番以下の複数の先とOEM 生産をすることによって、ブランドシェアは40%であっても、製品の実質シェアは50%以上という状態を確保することは可能なのである。このように、OEM を単なる「相手先ブランド商品」と考えずに、戦略的にOEM を捉えて有効に使うことを念頭に置いておく必要がある。

 OEMとは、Original Equipment Manufacturing の頭文字を取った略語で、「相手先ブランドによる生産」と呼ばれている生産方法であるが、家電品などではごく日常的に行われている。当然、注文主側の仕様で生産され、注文主の商標で販売される。即ち、注文主はメーカーとなり、メーカーと同等の責任を背負い込むことになる。


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