以久遠氏 Beauty,Business & Favorites    VOL. 29    2001.4.1号 [ 毎月1日更新 since 1998.12.15]

九種の将軍   

 紀元220〜280年の中国、晋の統一までを三国時代と呼ぶ。呉(ご)(しょく)(ぎ)の三国間の争いを書いた吉川英治の名作「三国志」で一躍有名になったが、最も小国の蜀の王である劉備玄徳(りゅうびげんとく)が、山の中に引っ込んで晴耕雨読の隠遁(いんとん)生活を送っていた諸葛亮(しょかつりょう)孔明を三顧の礼をもって丞相(じょうしょう:首相)に迎えた話は有名である。孔明は魏と呉に「蜀に孔明あり」と名を轟かせ、劉備玄徳と共に蜀漢を建立した名軍師として名を成した。孔明の名言あるいは孔明に関わる名言としては「君臣水魚の交わり」とか「心戦を上とし、兵戦を下とする」などがあるが、標題の「九種の将軍」というのも有名な言葉である。

 孔明は将軍たるものとして、将軍には、仁将、義将、礼将、智将、信将、歩将、騎将、猛将、大将の九種のタイプがあると言っている。新渡戸稲造が著書「武士道」の中で「武士道の根幹は、にあり」と述べているように、人を束ね統率する資質は中国においてもわが国においても大差ないことが分かる。

 将軍には様々な役回りの者が要る。参謀もいれば第一線で戦う猛将、騎将もいるのである。孔明は智将、仁将、義将、智将、信将、大将であり、孔明の手足であった関羽、張飛は猛将、義将、騎将であると言える。ただ、どの種類の将軍にも必要な資質というものがある。それは「使命感」であり、「公私をわきまえた無私の精神」であり、「詩心(ロマン)という寛大な心」を有していることである。公私混同などもっての外で、無私の心で夢を語り、部下と一緒にその夢を実現しようとする行動力がなければならない。

 この三つを備えていることが将軍の資質的条件と言える。将たらんと欲すれば、常日頃から自らには厳しく身を慎む訓練を積まねばならない。部下の手前だけ取り繕ってみても直ぐばれる。「上、三年にして下を知り、下、三日にして上を知る」の名言の通りである。一つでも欠けていることが分かれば、兵士の心も部下の心もその時から去って行く。

 紀元240年ごろと言えば邪馬台国の時代であるが、その頃に活躍した蜀の名軍師孔明の言う将軍のタイプである。貴方はどのタイプの将軍を目指すか?

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