以久遠氏の Beauty,Business & Fasvorites    ビジネス座談   VOL-2/1999.01.01号

信用は利益を運ぶ 

 信用は、人を運んで来る。そして人は、商談と利益をもたらす。ビジネスとは信用に尽きる。信用なくして本当のビジネスはあり得ない。この信用は、ビジネスという戦場の中で長い時間をかけて培われる。一年も二年もかけて得た信用も、失うには一瞬の時間があればよい。しかし、一度失った信用を再び取り戻すには、数倍あるいは数百倍の時間と労力がかかる。時には、一生かかっても取り返すことが出来ないこともある。

 信用を失う原因は大抵営業マンの裏切り行為である。揉め事が起こると、「会社の方針が変わったから」とか、「上司が認めて呉れないから」といった言い訳を言う人がいる。会社や上司に原因があるのだから自分には責任がないという転嫁論法である。従って、営業マンには「裏切った」という意識が全くないか、極めて希薄である。このように言っておけば、お客さんは納得するだろうと思っているのである。しかし、お客さんの方は間違いなく、「営業マンに裏切られた」、「あの営業マンは約束を破った」という受け取り方をする。

 お客さんは、会社と取引しているのでもなければ、上司と商談しているのでもない。目の前の営業マンを信用して商談しているのである。従って、「この営業マンは、今後は当てには出来ないな」、「この会社はこういう教育をしている会社だな」と考える。その結果、取引は段々細ることになる。この現象に鋭敏に感付くか否か、そして速やかに原因究明の行動を起こせるか否かが管理者の優劣となる。

 これは、営業という業務に必然的に付随している責務感が、その営業マンに欠如しているために起こる。今風に言えば、マーケットイン思考とは程遠い営業スタイルということになる。その営業マンが、相手の気持ちになって商談を進めようという気持ちをいくらかでも持っていれば、外の結果になっただろう。不用意な一言が、会社と自分の信用の両方を失わせたのである。

 以後、お客さんは取引の大小や重要度を考慮して、出入りの営業マンの誰に相談しようかと考えるようになる。こうして、必然的に、その営業マンの取引は徐々に減少することになる。取引額は、信用の度合いに正比例することを知らねばならない。シャープの創業者の早川徳次翁が、「商人は、信用、資本、奉仕、人材、取引先の五つを蓄積すべし」と、信用を真先に挙げているのは流石である。信用の大切さは時代を超えて、今もなお真実である。

 営業マンは、一朝一夕にトップセールスマンにはなれないのである。営業マン諸君は、日々、自分自身の信用と、お客様へ何が提供できるか、を着実に蓄積して昨日の自分とは少し違う自分になって頂きたい。


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