以久遠氏の Beauty,Business & Favorites 巻頭 VOL. 41 / 2002.04.15号 【毎月15日更新 since 1998.12.15】

失敗という言葉からは暗いイメージが伝わって来る。失敗は過去をイメージさせる。しかも「敗北して失う」という字面(じづら)が暗い。それに比べれば、経験という言葉は明るく活動的である。経験は現在と未来の双方をイメージさせるからだろう。
ある人がある場面で「経験しろ」と言い、場面が変わると、同じ人が手のひらを返すように「失敗するな」と言う。よく見る光景であるが、冷静に考えればこれほど矛盾した言い方はない。何故なら、「失敗するな」という言葉をそのまま裏返せば「経験するな」と言っているに等しいからである。失敗とは、経験の別名であることを知らねばならない。
無駄を減らし効率を求める効率至上主義の世の中になったためか、失敗を咎める風潮があるが、「失敗を咎(とが)める」ことが即ち経験を否定していることに外ならない。確かに、失敗は一時的には失うものは大きいかもしれないが、失敗という事実を体験することによってしか得られないものがあることを知らねばならない。失敗は人間を強くし大きくするし、大きなものを産み出す。
古人が「失敗は成功の母」とか「可愛い子には旅させろ」と言っているように、失敗や未知の世界から得るものほど貴重なものはない。人は失敗という未知の世界を経験することによって学ぶのである。創造の種は苦難の中にあり、失敗することによって得られる。
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