以久遠氏の Beauty,Business & Favorites 巻頭 VOL. 45 / 2002.08.15号 【毎月15日更新 since 1998.12.15】

人間関係には様々な形がある。男と女、夫と妻、親と子、年輩者と若者、師匠と弟子、先生と生徒、経営者と社員、管理者と部下、貸し手と借り手、メーカーと販社、官庁と民間企業、役所と市民、趣味の仲間、友人などなど…。親分と子分のような任侠、強弱の関係、先達と弟子のような師弟関係、上下関係が発生すると壊れる平等な関係もあるし、夫婦のようにお互いが助け合ってひとつのものを作り上げている補完の関係もある。これらの一見複雑に見える人間関係も、それを成り立たせているものは誠実さの上にある信頼感というお互いの認識である。
信頼感とは、お互いの自尊心を尊重する心であり、お互いの現在を肯定する心である。この信頼感がなくなればいかなる関係も成り立たなくなる。従って、当然、決して使ってはならない言葉というものがある。これらの言葉を口にするだけで信頼関係は一瞬にして壊れ、一度壊れた関係を修復するには大変な時間と労力を要する。また、その反対に出来るだけ使わなければならない言葉もある。長い人間の生活の歴史の中で色々な場面に応じて極めて自然に濃(こま)やかな表現の言葉である。
また、どんな人にも、立ち入られたくない私的な部分という領域がある。親切心が仇(あだ)となるお節介の領域であり感情の領域であるが、自尊心の礎となっている個人的尊厳の領域で、その領域へは他人はもとよりたとえ親と言えども立ち入られることを拒む。
使ってはならない言葉とはどんな言葉であろうか?それは、相手の自尊心を侮辱する言葉であり、相手自身の存在自体を否定する言葉であり、平等な関係の中では上下関係を顕わす言葉であり、上下関係の中では逆に平等な関係を顕わす言葉である。いずれも「あいつは自分を何様だと思っているのか」と感情を逆撫でする言葉である。感情を逆撫でする言葉は、得てして売り言葉と買い言葉に発展する。
出来るだけ使わなければならない言葉とは、挨拶の言葉であり、感謝の言葉であり、労りの言葉であり、誉める言葉である。、世の東西を問わず、これらの言葉には沢山の表現がある。例えば、別れの挨拶言葉をとってみても、「バイバイ」、「またね」、「さようなら」、「お元気で」、「またお会いしましょう」等々ある。
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