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標題の「細口巨耳(さいこうきょじ)」という耳慣れない言葉は中国の諺「巨口細耳(きょこうさいじ)」をもじったものである。中国では、声高に威圧的になったり自分の主張ばかりが強いことを「巨口(きょこう)」と言い、人の意見に耳を貸さなくなることを「細耳(さいじ)」と言って、功なり名を遂げた人が自分自身に対する戒めとしている言葉だそうである。
賢人孔孟を生んだ中国においても、謙虚で控え目であった人がひとたび王侯にまで上り詰めると、いつの間にか人が変わったように傲慢になり、自分の命令や言い分を通そうとして他人の進言や忠告に耳を貸さなくなる人が多いとみえる。自信が嵩じて慢心となる訳で、中国に限らず、古今東西、よくある話である。そうでなければこういう箴言(しんげん)は生まれない。
生まれながらの王侯貴族ならいざ知らず、どうしても成り上がり者というものは自らの判断力や政治力というものに過大なる自信を持ちがちで、それが知らず知らずの内に、他人の進言を聞こうとしなくなり排他性を帯びた言動に変わる。権力者の排他的な言動は他人の発言を封じ込め、徐々に周りの人々から自由な発言を奪い取る。
そして、いつのまにか、権力者の周りにはヨイショマンとイエスマンだけの取り巻きだけがはびこり、物言わぬ集団が出来上がって行く。権力者は裸の王様となって実態が見えなくなる。気が付いたときには既に手遅れで、組織は言われたことだけしか実行しないという自発的な挑戦力を有しない風土と化し、殆ど死に体となっている。
組織がこのような病魔に犯されないためには、長たる者は常日頃から自らの発言に気を配って「巨口細耳」とならぬよう気を付けなければならない。これは思うほど簡単なことではなく辛抱のいることであるが、リーダーは常に「細口巨耳」でなければならない。
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