石原都知事の都立銀行設立構想どうも石原慎太郎都知事の発想がユニーク過ぎるのか、彼の考えることは悉く潰れてしまっているが、話題性には事欠かない人である。彼の東京都立銀行構想もなかなかユニークで面白い。どういう結末になるのか不明だが、興味を惹く話題である。
近年の都市銀行や信用金庫などの金融破綻が東京都の中小企業の存立と発展を阻害しているどころか、むしろ健全な企業を廃業に追い込んでいる。民間の金融機関からの資金が当てに出来ないのであれば、本来の資金供給事業を担うために東京都が設立者となって銀行を興して都内の中小企業の救世主を目指そうということのようである。そういう中でのこのユニークな発想が各分野に現状を打開するインパクトを与えることは間違いない。しかし、石原都知事にしては発想が小さいように感じる。どうせなら、もっと気宇壮大な発想を期待したい。
東京都金融機関構想というその考え自体は都民にも都内の商工業者にとっても利益をもたらすという点では是認できる政策である。彼の発想の原点にあるのは、都民や都内の商工業から集めた税金を中小企業に廻して運用しようというものだと思うが、そうであれば、貸付をすればやはり金利が発生する。お金を借りれば金利を負担しなければならない、という点においては現在の金融機関と何ら大きく変わるものではない。従って、高度成長下であればともかく、現にデフレが進行している中で、そう簡単に皆が借金するだろうか?という懸念が湧く。
そういうように考えれば、石原都知事が目論むように簡単に行くかどうかは極めて危ういという気がする。逆にこの都立銀行構想そもそもが、東京都の殆んど破綻している財政をいくらかでも好転させるために、商工業を活性化させるために資金を貸し出して法人税の増収を目論んでいるのであれば、外にも方法があるだろうと思う。
例えば、同じ都の資金を出すという点から見れば、ベンチャー投資の方が大きな効果が期待できるのではないか。東京都が多くの中小企業に出資し巨大な株主となる訳である。都内に沢山の法人が設立されれば、法人都民税収入が増えるという効果も期待できるし、雇用も拡大出来るだろう。そうすれば必然的にベンチャー企業育成にもなり、その受け皿となる上場場所として東京都立の証券取引所を設立して新しい証券市場を造り上げる。
東京都の証券取引市場が発展すれば、各地のベンチャーたちが東京へ上って来る。こうして従来の商工業も上場会社となり、一方では新規企業が興って、競争が激化し企業の新陳代謝が始まり、市場が活性化する。そうすれば、東京都は上場利益も獲得できるし、配当も受け取ることが出来る。雇用も自然と拡大して行くことになる。
この方法であれば、借入金のように利益に関係なく一定金利を負担しなければならないという固定的な負担が発生しないので、ベンチャー企業も利益がでたときにだけ配当金を負担すればよく、都の資金を受け入れるために新株を発行することに対する抵抗感もなくなるだろう。特に、都内に限らず商工業的な小企業や零細企業の最大の問題点は後継者が居ないことであるので、この問題の解決にもなる筈である。
こう考えると、都内中小企業の活性化と都財政再建策としては、銀行設立よりも都立証券取引所を作った方が効果が大きいように思う。