トップへ  プロフィール  基礎へ  基礎講座へ  研究概要へ  相談へ


基礎となる考え方

.安全と危険
「電磁波は危険」、「電磁波は安全」といった時の、「安全」と「危険」について。  
 *そばとアレルギー
 *ツナ(マグロ)・ハンバーガーも危険?
 *何がリスクか? アメリカ 1996年報告 
 *何がリスクか? 日本2000年調査
 *電気スタンドの選択
 *ガス調理器か電磁調理器か?
 *電磁波は見えないから危険−1?
 *電磁波は見えないから危険−2 ?
 *自然安全人工物安全100%確認危険



 

 


2.電磁波の定義・用語の解説
「電磁波」は「電磁界」といったり、「電波」と表現されたり、電磁波は「電界(電場)」と「磁界(磁場)」に区別されたり、「電離放射線」と「非電離放射線」の二つに分類されたりします。 
言葉(用語)からして、複雑です。こうしたことも解説します。       

3.各種略語・専門用語集
「できるだけ平易な解説を」と、本講座では考えていますが、どうしても避けられない面があります。 
これらの用語を解説します。

 *その他の用語解説:リスクという言葉を考える 


4.疫学の基礎
電磁波の健康影響を語る時、必ず出てくる疫学を解説します。 疫学の用語集もあります。

5.動物実験の結果の評価

6.誰が評価すべきか?

7.疫学の困難さ

8.電磁波の熱効果:電磁界曝露基準の考え方

9.疫学で対象とした曝露の全体を把握しているか?

10.提案:「電磁波問題の問題点 もっと科学的に物事を考えよう!」 


---

安全と危険


電磁波の健康影響を論議する時に、論議の的になるのが「安全性が科学的に確認されていないので、現状の電磁波は危険である」という主張と、「危険性が科学的に検証されていないので、現時点では問題ない、安全である」という主張とがぶつかり合うことである。

危険である

安全性の立証はない

危険性の立証はない

安全である

↓↓↓

100%危険である

 

リスクと利便で判断

 

リスクと利便で判断

100%安全である

 

 

「100%安全ではない=危険である」、「100%危険はない=安全である」という論理では、残念ながら電磁波の健康影響の結論を出すことはできない。 「明らかに法的な規制を行う必要があるような危険性」は色々とこの世の中に存在する。 しかし、電磁波ではなくとも、100%の安全が保証されたものはあるのだろうか?
 
 現在の生活が、電気に依存していることを勘案すれば、安全性が100%保証されていないので、電磁波は危険である、といって、電磁波を根源から絶つべきとし、われわれは電気が発明されていなかった江戸時代の生活に戻ることができるであろうか? 「電磁波の健康影響・基礎講座」では、すべての電磁波から、ヒトは逃げることができないと、説明を行っている。 
 
 われわれは、電気文明の利便さと、それに伴うリスクを十分に考慮すべきであろう。 その為には、電気文明に伴う電磁波の健康影響に関して、冷静に、公正な立場で、幅広い、科学に基づいた情報、最新の研究状況などを知るべきである。
 
 電磁波の健康影響は、工学の知識、医学に関する知識、動物に関する知識、などなどが関連する学際的な分野であり、理解するのも容易ではない。 一市民が簡単に、十分な理解を行うことは至難である。 本講座はそうした役にたつ事ができれば幸いと考えている。 

頁トップへ戻る

---

*そばとアレルギー

我々が普段食しているそば、信州そば、深大寺そば・・・・・私もそばは好きです。
でも、この「そば」にアレルギーをもつ人がいるようです。 またそばは日本だけではなく、世界中で食されているようです。
このそばにアレルギーを持って困っている方のサイトを見つけました。

************* ***************

そばアレルギーに関するホームページを公開しておりますので、ご案内申し上げます。
そば好きの方にも有用な情報もあるかと思います。
むしろそば好きの皆様にこのようなアレルギーがあることを広く知っていただきたいと願っております。
http://member.nifty.ne.jp/takumi_k/allergy.htm

***************    ***************


「安全と危険」の論議で言えば、こうしたアレルギーを持つ人がいるから、「そばは危険な食物である」と断定してよいか、疑問になります。 電磁波の危険性の論議においても、同様のことは、言えることです。

頁トップへ戻る

---

 

ツナ(マグロ)・ハンバーガーも危険? 

 

医療21 No.712002124日】(2年目) 
      
http://biokagaku.com/iryo21/ にあった内容を、一部引用して紹介します。 
興味のある方は、全文を入手して読んでください。

***************
    ****************
●ツナ(マグロ)・ハンバーガーの危険性 

魚を食べることは健康に良いという。しかし米国のメリーランド州ロックビル市にある厚生省の研究者達は、「レストランの比較的新しいメニューであるツナ・ハンバーガー(tuna burgers)が米国ノースカロライナ州のヒスタミン中毒症の増加に関連している」と報告している。

ヒスタミン中毒は魚を食べて細菌から放出されたヒスタミンによって2時間以内におこる病気で、少なくとも次の2つ以上の症状が現れる。 

これまでノースカロライナ州では、平均して毎年2件のヒスタミン中毒の症例が報告されていた。 しかしながら、1998年7月から1999年2月までの間に、合計22件のヒスタミン中毒のケースが報告された。 そのために研究者達は報告された症例を調べたり、特にこれらのヒスタミン中毒に関連した食べ残された魚を実験室でよく調べた。 

その結果, 中毒患者22人中、18人がツナ・ハンバーガーを食べ、2人がツナを含んでいるサラダを食べ、そして2人がフィレ(fillets)を食べたことが判明した。  

Reference; Karen Becker et al., Histamine Poisoning Associated With Eating Tuna Burgers, Vol. 285, No.10, pp1327-30.(引用元の文献名が元ネタで、漏れてます) 

*********    ***************    *************

こうした中毒の危険性があるからといって、ツナ(マグロ)は食わないことにしたりすることができるのでしょうか?
電磁波の健康影響も重要ですが、こうした食生活のリスクもより重要ではないでしょうか?

 

頁トップへ戻る

---

 

何がリスクか? 1996年アメリカの報告 


面白い記事を紹介します。 RISK IN PERSPECTIVE,  AUGUST 1996, というパンフレットで、HARVARD CENTER FOR RISK ANALYSIS が発行しているものです。
色々な生活環境における健康に影響すると思われる因子を挙げて、電話アンケートで各人が、各因子をどの程度危険と感じているかを調査した結果です。

結果は
男女共に60%以上の人が危険と感じている因子は、喫煙と 周囲に撒き散らす煙草の煙の2因子。
男女共に40%以上の人が危険と感じている因子は、オゾン、残留農薬、空中に飛散している塵芥、環境変化に伴う気温の上昇、建物の中のラドン(放射性)の5因子。

男女共に30%を越えて危険と感じている因子は、 環境中の電磁波、医療用のX線の2因子。
参考用に、男女共に危険と感じないもの(5%以下)は リラックスする為の音楽。
殆ど全ての因子で、男に対して女は10%程度より危険と感じている。

この研究によれば、電磁波以外にもっともっと緊急的に解決しなければ、ならない危険因子が多いと言えます。
こうしたこともアメリカでは研究されています。 こうした研究は色々な規格を策定する時に、規格が一般の人の不安を解消するか否かの検討の時に、利用されるようです。

この記事は1996年のものなので、5年を経過した現在は、変化しており、今調査を行えば、電磁波に関しては携帯電話の電磁波などが因子として上げられているかも知れません。

頁トップへ戻る

---

何がリスクか? 日本2000年調査


 日本能率協会のマーケティング・データ・バンクでは、2000年11月に「健康ニーズ基本調査2000」の概要を報告しています。

これによれば、何に健康不安を感じているかがしめされています。 トップはO157で85%の人が不安に感じています。
以下同様に、添付のグラフから数値を読み取っていくと 
2位 食中毒などを起こす細菌 68% 
3位 食品に含まれる農薬などの化学物質 67% 
4位 食品に含まれる食品添加物など 67% 
5位 遺伝子組み換え食品 62% 
6位 ダイオキシンの害  61% 
以下 食品の衛生管理、住まいの中のごみやダニ、水道水の安全性、10位 環境ホルモンの害、
そして タバコの煙の害、食器や食品の容器に含まれる化学物質、紫外線の害、大気の安全性、放射能汚染、寄生虫など、輸入食品などが 30%以上で続きます。

18位 住まいの内装材から出る化学物質(シックハウス症候群)29% 
そして 
19位 電気製品からでる電磁波 28% となっています。 

この研究は1998年にも同様な調査を行なっており、家電製品からでる電磁波は1998年には35%であったので、この調査では「電磁波は沈静化」していると特記されています。

電磁波の健康への影響を気にすることは必要ですが、その他の健康影響はもっともっと気にする必要がありそうです。

頁トップへ戻る

---

電気スタンドの選択

照明器具の選択に関して、「蛍光灯スタンドは電磁波が出て危険な」ので、「電磁波の少ない白熱電球の電気スタンドを使用する方が良い」という一部の声がある。
確かに白熱電球からは低周波の磁界の漏洩はほとんどない、そして蛍光灯の場合は、点灯回路に使用されているコイルの部分から低周波磁界の漏洩がある。

それでは、白熱電球は安全か? 低周波磁界の漏洩はないにしても、白熱電球は非常に温度が高くなり、下手に電球や電球の傘の部分に触ると火傷をしたり、電球スタンドが倒れたりすれば、そこに燃えやすいものがあれば火事になる恐れもある。
家電製品PLセンターの20023月号のインフォーメーション(事故報告書)に、この問題に最適な事例が紹介されていた。

**** *********** 引用  *************  ***********
家電製品PLセンター インフォーメーション 20023月度 から
http://www.aeha.or.jp/plmenu.htm
 

[
事故相談]: 
白熱灯スタンド型照明器具で指に火傷をした。
相談内容: 昨年11月に購入した白熱灯スタンド型照明器具(外国製)を枕元で使用していた。1ヶ月前の夜11時ごろ、左手が触れて薬指に2.5×0.5p大の火傷をした。治療費と薬代などを要求したい。

調査結果: 調査対応中 
メーカーから同型のスタンドと取扱説明書を取り寄せ確認を行った。スタンドは40Wの白熱球を使用、高さ約40pで右図のタイプだった。取扱説明書の注意表示としては「シェード(カサ)や電球は高温になるので手を触れないでください。火傷の原因となるので完全に冷えてから…」と数箇所に記載されていた。
************ *************  ***********

蛍光灯スタンドからの低周波磁界漏洩に関しては、正確な実測データなどは手元にないので、判断はしにくいが、電磁波を気にして、蛍光灯スタンドから白熱電球に変えると、今度は上記のように火傷の危険性が発生する。

家電製品PLセンターの20025 月号のインフォーメーション(事故報告書)に、その後の経過が報告されており、白熱電球の温度は、
白熱電球に特有な高温140℃になっていたと。 この様な高温部に触れれば火傷をおうことになる

したがって、電気スタンドの選択は、ランプからの光に対する好みの問題もあるが、危険因子として「電磁波」だけを考えて選択するのは賢いとはいえない

頁トップへ戻る

---

 

ガス調理器か電磁調理器か?  

 

電磁波とは無関係な産経新聞の記事で、ガスは着衣に着火する恐れがあるという東京消防庁の実験結果です。この着衣着火で一昨年に全国で149名が死亡しているそうです。 

プロパンガスや都市ガスなどのガス業界は電磁調理器の電磁波の危険性を旗印にして、ガス器具への巻き返しを図ろうとしています。  
電磁調理器からの電磁波漏洩が大丈夫とはいえないにしても、 (この電磁調理器の電磁波の漏洩量は、ICNIRPの参考レベルなどに比べると、基準値を超える恐れがあるなど、それなりの漏洩です、詳しくはこちらへ) 

従って、ガスの安全性と、電磁調理器の安全性を、きちんと考える必要があります。
 
こうした利便と危険性を 如何に考えるか? そのための資料として、新聞から切り抜きました。 

    作成: 2003−1−11 

産経新聞 2003−1−8の記事から 一部を引用。 詳しくはこの新聞記事を読んでください。 

*********** 引用  *************   ***********     
ガステーブル燃焼実験 東京消防庁 
炎見えなくても着火 綿素材衣服危険 発火条件300度超す  

炎が見えなくても鍋の周りは危険。 料理中にガステーブルなどの火が衣服に燃え移る「着衣着火」の防止を目的に、束京消防庁消防科学研究所がガステーブルを使った燃焼実験を全国で初めて行ったところ、 鍋の周囲に火が見えないにもかかわらず、高温のために綿素材の衣服で、近づくと着火する危険性があることが七日、分かった。 

実験は「着衣着火」防止を目的に昨年、数回にわたって実施。 

その結果、いずれのガステーブルも、鍋の側面下から上に約三センチの高さで綿素材が発火する条件を満たす300度を超えることが分かった。 
「着衣着火」が原因の火災は増加傾向で一昨年は、全国で148人が死亡している。 
********** 引用 終わり  **************    ************* 

頁トップへ戻る

---

 

* 電磁波は見えないから危険−1 ?

よく「電磁波は目に見えないから、危険である」という論法を耳にします。 確かに目に見えないので、危険性の感知や対処が困難なことから、そのように言うことも出来ます。

 しかし、では、目に見えないものは危険なものでしょうか?
すべての目に見えないものは危険であり、避けるべきと、断定してよいでしょうか? 
目に見えなくて、身の回りに充満しているもので、ヒトの生命維持になくてはならないものがあります。 「空気」です。 
空気は目に見えないから、危険である という人はいないと思います。
空気には場合によってはインフルエンザいのウイルスがあったり、何か体に悪い物質が含まれていたりするかも知れませんが。 

電磁波のリスクを考える時に、冷静に考えて見ましょう。

 

頁トップへ戻る

---

 

電磁波は見えないから危険−2 ?

よく「電磁波は目に見えないから、危険である」という論法を耳にします。 確かに目に見えないので、危険性の感知や対処が困難なことから、そのように言うことも出来ます。 これは今に始まったことではなく、昔からあるようです。

http://www10.plala.or.jp/misamatsuda/media-rumor.html#03
 のWEBにあった情報です。
この論文の書かれた年月は明記されていない。1997年頃かも知れない。

********  **********   *************  ******

普及初期におけるメディアの噂・携帯電話と電話を事例として・
                    松 田 美 佐

 もちろん、一方では電波(電磁波)という目に見えないものによって気づかぬ間に体が蝕まれるのではないかという想像も見られる。日本でラジオ放送が正式に開始されたのは1925(T14)322日のことであるが、同年の東京朝日新聞の記事には電波に対する畏怖や危惧の気持ちがさまざまな形で現れている。(山本ら,1984:110-112)例えば、

「世界中の無線放送はどんなにかおびただしい数か知れないが、それらから放送する強弱いろいろな電波が、吾々の前後左右上下から、ほとんど絶えず通りぬけているのかと思えば、あんまりいい気持ちはしない。神経衰弱めいた頭になるのも、そんな所為じゃないかなどと、妙な愚痴さへ出てくる (T14.8.22)

******************    **********    *********

頁トップへ戻る

---

 

*自然にあるものは安全で、人工物は安全が100%確認されるまでは危険とみなすべき?


作成: 2006−9−27

 

「自然にあるものは安全で、人工物は安全が100%確認されるまでは危険とみなすべき」という論調がある。
さて、この論は正しいのか?

必ずしも正しいとはいえない。

最近のアスベストと中皮腫瘍の問題を見てみる、 アスベストは「天然の贈り物」「奇跡の鉱物」といわれたが、自然にモノにもリスクが存在することをまざまざと見せ付けている。

頁トップへ戻る

---

電磁波の定義・用語集


 「電磁波」といったり、「電磁界」といったりする。 これらの簡単な説明を行う。
 詳細は「電磁波の健康影響・基礎講座」を参照。

*電界:
 電界とは、厳密な電界の定義とは異なるが、例として、静電気等のある場所で塵芥などが引き付けられるような力が働く場所、そういう目には見えないが、電気の力が働いているということが出来る。 電界、磁界はそれぞれ独立して測定が可能で、固有の単位を持っている。
 
 静電気でも、家庭に来ている商用周波数電力の電気でも、上空にたまっている雷の基になる電気でも、電気あれば、電流が流れなくても、そこには電気の働く場としての電界がある。

電界は独立して測定が可能で、固有の単位を持っている。電界の強さ(電界強度)の単位にはV/mが用いられる。

1,000 V/m = 1 kV/m (キロボルト、小文字のk

0.001 V/m = 1 mV/m (ミリボルト、小文字のm 0.001 mV/m = 1 μV/m (マイクロボルト、ギリシャ文字のμ)


  

*電場:
 電界と同義語。 工学系では電界という言葉を、物理系では電場という用語が好まれて使用される。

*磁界:
 磁界とは、厳密な磁界の定義とは異なるが、例として、磁石がある場所で釘等が引き付けられるような力が働く場所、そうした目には見えないが、磁気(磁石)の力が働いているということができる。 電界、磁界はそれぞれ独立して測定が可能で、固有の単位を持っている。

 磁界は馬蹄形磁石といった磁石のある場所にも存在するが、電流が流れると、そこには磁界が発生する。 これを発見したのは1820年デンマークのエルステッドである。 どんな微小な電流が流れても、そこには微小な磁界が発生する。
人間の体も電気で動いており、その流れる電流によって磁界が発生している。 これらは脳磁図や心磁図として医療目的で利用されている。

磁界強度HはA/mで示されるが、Tをコイルの巻数として、AT/mで表されることもある。


       
      

       エルステッドの電流による磁気作用の発明を称えるデンマークの郵便切手
電流が流れている電線とその下に磁気コンパスを描く。

*磁場:
 磁界と同義語。 工学系では磁界という言葉を、物理系では磁場という用語が好まれて使用される。

電磁波
 電磁波とは電界と磁界が相互に密接な関係になっており、 電界が磁界を誘導する、その磁界がまた新たな電界を誘導する、これを繰り返す形で伝播していく波もしくはそうした力が働いている場のこと。 電磁波としては測定が不可能で、電界もしくは磁界としてどちらか一方を、または電界と磁界をともに測定を行う。 
 
 電磁波には、X線などの放射線、紫外線、可視光線(目に見える光)、赤外線、マイクロ波などの電波、低周波電磁界などが含まれる。

 「電磁波」と言えばこれだけ範囲が広い。 単純に「電磁波」と一言で言えるものではない。 周波数もしくは波長、どの領域の電磁波を話題にするのかを、その都度規定しなければ、正しい議論は出来ない。

電磁界
 電磁波とほぼ同義。 

 50Hz、60Hzと言った低周波電磁界になれば、電界と磁界を両方とも個別に、お互いに独立した存在として考えなければならなくなるので、電磁「波」という「波」の感覚からは乖離するので、電磁波よりは電磁界が好ましい用語となる。 低周波電磁界からX線までの全てのパートの電磁波を統合して論議する時は、電磁波よりは電磁界が好ましい表現となる。 

電磁場
 電磁界と同義語。 工学系では電磁界という言葉を、物理系では電磁場という用語が好まれて使用される。

波長・周波数
 電磁波は繰り返す波として伝播するので、1秒間に繰り返す回数を周波数という。 電磁波は光速(1秒間に30万Km)で伝播する。 ひとつの波の長さは、30万Kmを周波数で割れば得られる。 この波の長さを波長という。従って周波数と波長は相互に換算することができる。 周波数・波長が異なれば、生体への影響は異なる。

 1秒間に1回振動を繰り返すことが1サイクルであり、単位はヘルツ(Hz)で表す。
1000Hz=1kHz、 1000kHz=1MHz、 1000MHz=1GHzである。 1000倍になるたびにキロ(k)、メガ(M)、ギガ(G)という単位を用いる。 キロは小文字のk メガとギガは大文字のM, Gを用いる。

*電波:
 主に電気通信手段として使用されるマイクロ波などのパートを指す。 日本では電波法で10Hz以上、300GHz以下の周波数帯域をさす。

直流:
 乾電池から供給される電気のように、流れる方向が常に一定である電気の流れ。 

*脈流: 
 電気の流れが常に一定の方向であるが、時間的に変化している場合の電気の流れ。

*交流: 
 電気の流れる方向が時間的に変化をしている場合の電気の流れ。 ある瞬間はAからBに向かって電気が流れ、次の瞬間はBからAに向かって電気が流れること。 

*時間変動: 
 時間変動磁界というように使用される。 交流と脈流を含んだ言葉で、時間的に電界や磁界の大きさが変化する場合は、「時間変動」という。 

*静電気:
 摩擦などで発生する電気。電気の方向が一定である。 直流電気ともいう。 

*静磁界:
 馬蹄形磁石から発生する磁界の強さは時間変動がなく、常に一定である。 変化がない「静的」なということで静磁界(静磁場)という。 直流磁場(直流磁界)とも言う。

*高周波: 
 交流の中で、比較的周波数の高い部分をさす。 

*低周波: 
 交流の中で、比較的周波数の低い部分をさす。 
 
 高周波と低周波の明確な定義はない。 60Hzを主に考えている電力技術者にとっては1kHz以上が高周波である。 携帯電話の電波で900MHzなどを扱っている通信技術者にとっては1MHz以下が低周波である。 

低周波電磁界
 送電線からの磁界などの場合は周波数が50Hz程度と低くなる。 周波数が50Hz では、波長は6,000kmという長い波になる。 これだけ長い波ではひとつの波が6,000km先に到達した時には、エネルギーが少なくなってしまい、電磁波はほとんど消滅してしまう。 これでは、相互に密接に連携した電磁「波」というよりは、電磁界という言葉が好ましくなる。

 電界と磁界が独立した場(界)として、両方ともに考えなければならなくなる。 多くの場合、磁界が問題になるのは低周波電磁界においてである。

*電離放射線:
 電磁波の中で、X線などの放射線や紫外線の中でも波長の短い紫外線は「電離放射線」と呼ばれる。 可視光線やX線を光子の放射と捉えた場合、それぞれの光子の一つ一つのエネルギーが大きい。 このため、生体の細胞・分子等に直接的、あるいは化学的に不安定な物質を作り生体成分に影響を与える間接作用により、DNAの損傷迄起こす力がある。

 しかし、我々の生活環境には放射性物質が存在し、常日頃放射線に暴露しながら暮らしているように、暴露量が少なければ、生体への悪影響は検出困難なレベル以下であるか、人類が誕生して以来、自然界に存在する微量に存在する電離放射線に対して、ヒトは耐性ができていると考えることができる。 これらの電離放射線に関しては、古くから国際的な環境基準・暴露基準等が定められている。

非電離放射線
 紫外線の中でも波長の長い紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波などの電波、低周波電磁界は「非電離放射線」と呼ばれ、分子等から電子をもぎ取ったりするだけのエネルギーは持っておらず、直接的な効果はない。 電離放射線に比べれば非電離放射線の危険度は低い。

遠方界と近傍界:

 電磁界は電界と磁界が相互に密接な関係にあるものであるが、そのように密接な関係になるのは、電磁界の波源から、ある一定以上離れた場所においてである(アンテナの種類や大きさなどで異なる、例:2波長の距離、3波長の距離、また約6分の1の波長の距離となる)。 これを遠方界という。 

遠方界では電界か磁界かいずれかを測定すれば、他の界は換算して得ることができる。

この一定値より近い場所では、電界と磁界はお互いに独立した関係にあるとみなす。 これを近傍界という。 近傍界では電界と磁界をともに測定しなければならない。 

 

*均一電磁界と不均一電磁界
全身を均一な電磁界で曝露した場合と、不均一な電磁界に曝露した場合では影響が異なることはうなずける。 例: ヒトは全身、雨でずぶぬれになれば、風邪を引く恐れがある。 しかし、洗面器の水で手の先を洗っただけでは、風邪を引くことはありえない。

ヒトにとって不均一でも、ラットにとっては均一磁界かもしれない。 ラットにとっては不均一磁界でもシャーシに取り出した細胞にとっては均一磁界かもしれない。
多くの電磁波曝露基準は「全身均一に電磁波に曝露した場合」を想定している。 不均一な電磁界への曝露の場合は「空間的な分布を測定して、平均と計算する」ことになる。

ここに、細胞に均一磁界を当てた電磁波の影響実験がヒトにそのまま外挿できない理由がある。 ラットに均一に電磁界を当てた実験結果がヒトにそのまま外挿できない理由がある。


*基本波と高調波 
 色々な波形の電波(電圧でも、電流でも良い)は、その波形を分析すると多数の周波数成分によって構成されていることがわかる。 この解析は数学のフーリエ級数で考えることが出来る。

 例えばIH電磁調理器は22kHzという動作周波数で磁界を発生させ、その磁界が鉄などの鍋に誘導させて、鍋を加熱させている。 発生させている磁界には、22kHzより高く、22kHzの整数倍の周波数の磁界も同時に存在している場合が多い。

 この基本動作周波数である22kHz成分を「基本波」とよび、22kHzを「基本周波数」という。 2倍の44kHz、 3倍の66kHz4倍の88kHzをそれぞれ2倍、3倍、4倍の「高調波」と呼ぶ。

     

図1 パルス的な波形          図2 基本的な正弦波形

 

フーリエ級数で展開をすれば、図1のようなパルス的な波形は、図2に示す基本的な正弦波の波形の組み合わせであることがわかる。 逆に色々な周波数を組み合わせると任意の波形を作成することができる。 音楽のシンセサイザーと全く同じ原理である。


周波数スペクトトル:
 音楽では周波数が一定な単音だけではなく、色々な周波数の音が同時に、低い音から高い音まで、含まれている。 音楽と同じで、電波(電磁波)も、図2にある一つの周波数だけからなるとは限らない。 

 複数の周波数の電磁界が同時に存在し、電磁界の波形が図1のようなパルス的な波形であれば、同時に多数の周波数の電磁界が存在することになる。 こうした同時に複数の周波数成分の測定を行なうことを周波数解析といい、それで得られた個々の周波数成分を周波数スペクトラムという。

      図3 周波数解析の例   図1のパルス波形はこうした色々な周波数成分から構成されている。

 

図3にある基本波、357次高調波の大きさの割合を示す。 基本周波数(10kHz)の大きさ1とした時に、3次高調波(30 kHz)の成分は0.6であり、5次高調波(50 kHz)の成分は0.5、 7次高調波(770 kHz)の成分は0.4であることを示す。

*磁界の単位
 磁界は独立して測定が可能で、固有の単位を持っている。 磁界の強さ(磁界強度)の単位はA/mである。  
1,000 A/m = 1 kA/m
 (キロアンペア、小文字のk) 0.001 A/m = 1mA/m (ミリアンペア、小文字のm) 

 これらの強さは磁束密度で表すことも出来る。 磁束密度の単位はT(テスラ、大文字のT)。
0.001 T = 1mT
(ミリテスラ、小文字のm 0.001mT = 1 μT(マイクロテスラ、ギリシャ文字のμ) 0.001μT = 1 nT (ナノテスラ、小文字のn) 

磁界強度から磁束密度は以下の式で換算できる。
磁束密度(テスラ)= 4 π x 10-7 x 磁界の強さ(A/m)  従って、1 A/m = 1.2 μT となる。 



      



*ガウス (G と書く)
 磁界の単位。 正確には磁束密度の単位である。 非常に古くから用いられている。 現在ではテスラを用いることになっているので、学術論文や公式的な文書では用いない。 1ガウス=1,000 ミリガウス 
ドイツの電磁気学の研究者であるガウスの名前に因む。

ガウスメータ: 
磁界測定器のこと。 ガウスという用語は磁界の単位としては使用できなくなっているが、長い過去の習慣の延長線上で、ガウスメータという言葉もまだ生きている。

*テスラ (T と書く)
 現在使用されている磁界の単位。正確には磁束密度の単位である。 ガウスとの換算が可能で、10.000ウス=1 テスラである。
1
 テスラ =1,000 ミリテスラ mT)、 1mT1,000 マイクロテスラ(μT) 。
従って、 1mT 10 ガウス   1μT 10 ミリガウス となる。
アメリカの電気工学者であったテスラに名前に因む。

*電力密度:
 電磁界の強度を考える時、電界は電圧(交流100Vなど)、磁界は電流(交流10Aなど)と対比して考えることが出来る。電圧と電流をかけたものが電力(500Wの消費電力など)である。 空間にある電磁波も、その空間に存在する「電磁波の電力の大きさ」で表現することが出来る。 

電磁波の発生源からある一定以上の距離がある場所では、 
電力密度 = 電界強度(単位はV/m)の二乗/377 磁界強度(単位はA/m)の二乗 377 である。

電界強度/磁界強度=377の一定の関係にある。 
この377空間インピーダンスと呼ばれる。 
電力密度の単位としては、W/m2 や mW/cm2 が用いられる。
1 W/m2 = 1,000 mW/m2 = 1,000 mW/10,000 cm2 = 0.1 mW/cm2
で相互に換算が可能。 
 例:10 W/m2 = 1 mW/cm2となる  

頁トップへ戻る

---



各種略語・専門用語集


「できるだけ平易な解説を」と、本講座では考えていますが、どうしても避けられない面があります。

英文字の略語集   随時 更新の予定 

BEMS:  Bio Electromagnetics Society の略語
世界で唯一の電磁波の生体影響を論議する専門学術学会。 本部はアメリカ。 日本人研究者も参加。

ELF: