*アマチュア無線に関連するコーナ


   研究のトップへ戻る


アマチュア無線の場合は、無線局から発信される電波による曝露に関して電波防護指針に適合することの確認作業が義務づけられています。
これに関連する項目を紹介します。

1.小型磁界ループアンテナに関する注意点
2.
 アメリカのアマチュア無線連盟ARRLの注意
3
アメリカのアマチュア無線機器メーカであるMFJ社のループアンテナに関する使用上の注意から
4.Wikpediaでの「アマチュア無線」に関する項目
5.短縮ダイポールで1kWの出力 

 

 

 

---

 

1.小型磁界ループアンテナに関する注意点

作成:2007−7−21

1)はじめに
小型磁界ループアンテナの使用時の留意点を電磁界曝露の観点から簡単にまとめて見ました。

アマチュア無線家は電波防護指針に適合していることを自己証明する必要がある。
ダイポールアンテナ、垂直アンテナ、八木アンテナに関してはJARLが標準的な電磁界曝露評価法を定めている。
こうしたアンテナを使用する場合は、JARLの指針に従えばよい。

小型ループアンテナの場合は、JARLの判定法に記載はない。
アメリカのARRLの曝露評価でも、ループアンテナの近傍の電磁界の解析結果の例が示されているに過ぎない。


多くの小型ループアンテナを使用するアマチュア無線家は自分で、何らかの形で、アンテナの近傍の電界・磁界強度を測定・評価を行う必要がある。
アメリカの小型ループアンテナのメーカであるMFJは、小型ループアンテナの使用に際しては制限を加えるべく、注意・警告を発している。

日本のアマチュア無線家で小型ループアンテナを使用している場合の、電波防護指針への適合を如何にしているのか????
以下は、筆者が解析した結果の一例である。まだ一例に過ぎない。

2)解析結果の例

使用した解析ソフト:EZNEC+ ver. 4.0
対象としたアンテナのサイズと形式:各エレメントの長さが1mの四角いループアンテナ
対象周波数:14.05MHz

アンテナの形式はあるアンテナ解析ソフトに標準添付された形式をベースに、このEZNECに入れ替えた。
主ループは 各エレメント長さ1m 直径10mm 10セグメントに分割して解析
チュニングのコンデンサーは 31.247PF コンデンサーの容量によって敏感に共振周波数が変わる、非常に敏感である。

マッチング用の小型ループは各エレメント長12cm 直径2mm 3セグメントに分割して解析
アンテナはXYZ軸の原点を中心に、YZ面にループ面を形成 
電磁界の強度はX軸方向のみ計算を行った。
その他の軸方向では解散は割愛 後日時間があれば実施可能

解析の条件は 自由空間、エレメントの損失はなしと仮定

給電点のインピーダンスは Z38.23J11.19オーム 50オームに対してSWRは1.45
遠方界の利得は0.57dBi
給電点に流れる電流は 電力10Wの時 0.51A
主ループの給電点に近いエレメントに流れる電流は 電力10Wの時 7.0A 
主ループのインピーダンスは 電流の比から推定して0.20オーム程度となる。

電力は10Wとして解析

電波防護指針 一般公衆への曝露は 電界:57.4V/m 磁界:0.152A/m (14MHz)である。

以下の計算結果から10Wの電力であっても、アンテナ面から水平に少なくとも2m以上の距離をとる必要がある。
1m程度の小型ループアンテナはアパマンハムにようにアンテナの設置場所に苦労している人が多く用いるとすれば、アンテナから2m以上の距離をとる必要があるということは、現実に大きな問題となろう。
ベランダにアンテナを置いて、2m以上の距離を確保せよ、隣接の住宅と2m以上の距離を確保せよ、ということは大きな課題であろう。


磁界ループアンテナであるので、近傍界における磁界の強度が大きい。
近傍界であるので、電界と磁界の両方の強度を電波防護指針に照らし合わせなければならない。

 

 

X (m)

Y (m)

Z (m)

1mSQL 100 w/m

電界E V/m

1mSQL 10 w/m

磁界H A/m

空間インピーダンスZ=E/H

0.00

0

0

6.088000

435.888

71.6

0.25

0

0

4.602510

330.340

71.8

0.50

0

0

2.511750

179.662

71.5

0.75

0

0

1.316430

92.586

70.3

1.00

0

0

0.733479

50.095

68.3

1.25

0

0

0.441235

28.983

65.7

1.50

0

0

0.284422

17.848

62.8

1.75

0

0

0.194247

11.607

59.8

2.00

0

0

0.139114

7.921

56.9

2.25

0

0

0.103598

5.650

54.5

2.50

0

0

0.079685

4.206

52.8

2.75

0

0

0.062969

3.265

51.9

3.00

0

0

0.050905

2.640

51.9

3.25

0

0

0.041956

2.217

52.8

3.50

0

0

0.035157

1.925

54.7

3.75

0

0

0.029885

1.718

57.5

4.00

0

0

0.025722

1.566

60.9

4.25

0

0

0.022381

1.451

64.8

4.50

0

0

0.019662

1.361

69.2

4.75

0

0

0.017421

1.288

73.9

5.00

0

0

0.015552

1.226

78.8

10.00

0

0

0.003844

0.673

175.2

15.00

0

0

0.001920

0.462

240.9

15.25

0

0

0.001870

0.455

243.4

20.00

0

0

0.001243

0.351

282.2

25.00

0

0

0.000914

0.282

308.5

30.00

0

0

0.000723

0.236

325.8

35.00

0

0

0.000600

0.202

337.4

40.00

0

0

0.000513

0.177

345.7

45.00

0

0

0.000448

0.158

351.6

50.00

0

0

0.000399

0.142

356.0

 

3).マッチング回路なしの条件での解析
マッチングの小ループと、チュンイングコンデンサーを削除し、メインのループだけにして マッチングなしでの計算も行った。

この場合の 給電点のインピーダンスはZ=0.2216+j326.8 オームであり、 マッチングありの推定主ループのインピーダンスに近い。
給電点に流れる電流は 電力10Wの時 6.9Aでこれもほぼ等しい。
アンテナの遠方界への利得は G=1.7dBi となっている。
計算結果から10Wの電力であっても、2m以上の距離をとる必要がある。
詳細の解析結果のデータ・グラフは割愛。

このことはマッチング回路の損失が1.1dB程度ある と見ることができる。
近傍の電磁界強度はマッチング回路が無い時は計算結果では1割程度大きい。

この計算から、マッチングを考慮せず、主ループだけで数値解析を行っても、防護指針への対応は少し過剰側に評価するといえる。

4).本日のまとめ

小型磁界ループアンテナを用いる場合は、かりに10W程度の電力で送信する場合であっても、アンテナ面から2m以上の距離を確保する必要がある。
今般は1m角で14MHzでの解析だけである。
時間をみて、他の周波数。他のサイズのアンテナに関しても解析を試みたい。

 

2. アメリカのアマチュア無線連盟ARRLの注意

 

ARRLが発行した“RF Exposure and you” という本がある。 アマチュア無線局の電波からの曝露に関する本である。

この本の頁8.77には、以下の記述がある。
Safety distance from loop antenna of one-meter diameter, operated 150W, 10.5 feet is the distance for 14 MHz, 13.8 feet is the distance for 28 MHz.
すなわち、
1mの直径のループアンテナで、電力を150Wで運用する場合は、14Mhzでは10.5フィート(約3.2m)、28MHzでは13.8フィート(約4.2m)以上の距離をとること、 と。


3.アメリカのアマチュア無線機器メーカであるMFJ社のループアンテナに関する使用上の注意から

 

MFJ-1786  10-30 MHz Hi-Q Deluxe Loop Antenna として以下のアンテナを販売している。 直径36インチ(約直径90cm)

 

MFJ's tiny 36 inch diameter loop antenna lets you operate 10 through 30 MHz continuously -- including the WARC bands!
Ideal for limited space -- apartments, small lots, motor homes, attics, or mobile homes.

Click here for a full-size picture.

 

このアンテナの取り扱い説明書には、電波曝露の観点から以下の注意書きが記載されている。
***********    ***************
WARNING! Never operate this antenna where people are subject to high levels of RF exposure, especially above 10 watts or above 14 MHz.
Never use this antenna near RF sensitive medical devices such as pacemakers.
***************   ************
警告:このアンテナは人が高レベルの高周波電波に曝露するおそれがある場所では、特に10W以上、もしくは14MHz以上の周波数では、使用してはならない。心臓ペースメーカのような感受性の高い医療機器の側では、このアンテナを使用してはならない。」

1m程度のループアンテナは10W以下で使用することが推奨されている。


 

4.Wikpediaでの「アマチュア無線」に関する項目

2009−1−29
アマチュア無線の項の中の「健康
への悪影響の可能性」の解説の中に
「無線機やアンテナの選択や設置状況によっては、電磁波がアマチュア無線家の健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとされることもある。
 ICNIRP
の一般公衆に対する参考レベルとしては、電界強度27.5V/m、磁界強度0.073 A/mとされている。
また総務省の電波防護指針では59V/mとされる。
これらの値を基準とし磁界強度だけでなく電界強度まで考慮すると、例えば磁界放出型のループアンテナ(周波数14MHz、送信電力10wと想定)などは、人体から2m以上の距離は確保しなければならない[5]という。

参考文献

5)三浦正悦 『電磁界の健康影響 工学的・科学的アプローチの必要性』 東京電機大学出版局、2004ISBN 4501324007 p.236   」

という記事がありました。

私の著と論がWikpediaの中で、利用されていました。  これは嬉しいことです。



5.短縮ダイポールで1kWの出力

記:2009−4−25

2000
7月のログですが、Geocitiesのサイトに以下の様な紹介がありました。 20094月の確認ではサイトは閉鎖されたのでしょう、開くことができませんでした。

***************   ***************
1 k W に な り ま し た!
電監への変更申請
電監へは、100W固定局を1kWへ変更する形で申請しました。
リグとアンテナについては、配線が複雑にならないこと、操作が簡単なこと、かわいいこと(?)、ベランダで布団や洗濯物を干す際にじゃまにならないことを条件に検討しました。
その結果、ICOMのIC−746とIC−PW1の組み合わせで、7、14、21、28、50MHzは、メーカー製バーチカルを改造したベランダサイズ(?)の超短縮ダイポールアンテナで1kW、1.9、3.5、3.8MHzおよび、WARCバンドは、10メートル余りのワイヤーにアンテナチューナで200W、144MHzは八木アンテナで50Wとなりました。
***********************   *************

BEMSJの感想ですが、短縮ダイポールアンテナの場合、近傍の電界強度が、ノーマルな半波長ダイポールアンテナに比べて、大きくなるので、電波防護指針に対する適合は大丈夫なのでしょうか???