エマーソン・レイク&パーマー Last Update 2008.7.19 by K.T.
「パイレーツ」(海賊) by P.シンフィールド
「一山当てたい奴はいるか」船長が叫ぶ
「悪魔に乾杯
船倉に金杯 
海原に艦隊
いい目を見たいって
この旗の下で働くがいい
砲弾をぶっぱなしたいって
船団でいっしょしようぜ
連れてってやるぞ 叶えてやるぞ
何もかもが夢見た通り」

「砲身をきつくしっかり
方針は今夜出航
潮は満潮 入江を満たせ
切れよともづな 帆をあげろ
掲げろ黒旗 密航になる
トルコやアラブやスペイン人には
目に物みせてくれよう
ロマンにカブレたご婦人は
しこたま驚ろかせてやろうぜ
連れてってやるぞ 叶えてやるぞ
何もかもが夢見た通り」

キューバ沿岸の6日の航海
帆掛けて探るその行く手
「お宝満載、ガリオン船だ」
マストの上の見張りが叫ぶ
「ものども移動だ 方向は風上」
どう猛な目の色 船長の咆吼
「今宵生きのびた連中は
金塊を持ち帰れるぞ」

「なんとかお助けを」ガリオン船の哀願者
哀れみはかき消え苦みばしる表情
泣きわめく連中のほとばしる血
さやばしる短刀
後甲板に追われ 最後の一人がころげ落ちる
「どうだ この船は俺達が頂いた」
船長がニタリと笑う
「口の利ける奴はもう残っちゃいないぜ」


絹布のソファからその身を起こす
拳銃片手に構えた船長
鉄製の箱の錠前を弾き飛ばし
血の色のルビーに口付けする
「トルコ石のジュエリーだ
純金の十字架だ
銀貨が十万枚だ
言ったとおりだろ
何でも持ってけ 目の前にあるぞ
何もかもが夢見た通り」

錨を下ろした月夜の入江は藍
火を囲んで横たわる荒くれたちの瞳は金
朝には陶パイプと貝殻の白
潮風が彼らの足もとに吹き寄せる
遠く遠くでの話

「七つの海を我が物顔
帆に風をはらませる
西の町へと風に乗り
期待に胸ふくらます
ポータベロの町 性悪っぽい目の女どもへの
そこでは金貨の詰まった財布があれば
誰もが王位を買えるという
もてはやされ 衣をきせられる
ボロコートに替えて王のベルベットを
纏わせてくれるという」


「わしと乾杯する奴はいるか
自由をくれてやるぞ
今宵この町は俺達が頂いた」

「亭主よ ワインは上物にしろよ
この老船長の渇きを癒す杯をくれ
2年の長きの外国に骸骨
もう熱気と吸血鬼に消耗しきった
だから今宵は楽園を満喫したい
腹の裂けるまで果実と孔雀を給仕しろ
でもまずは桃よりも愛撫を所望
今夜は王様気分に浸りたいのだ」

「黒に10枚張ってフランス人をのめすのだ
引っ込めイヌめ 控え室がおにあいだ
さあ 甘美な天国への門を開け拡げ
今宵天国が燃えるか見届けよう
どんな具合に女が燃えるかを
金のネックレスを纏った女を所望
女にまたがり星まで昇りつめたい
長い長い時間の前の これが最後の時
夜が明けたら俺達は船出する」
朝の潮が溢れ 満潮になると
海原は再び泣きすさぶ

「この仲間はいつか戻ってくる
君らの涙は解るが これは払うべき代償だ
取るべき宝、見つけるべき栄光が待っている
切れよ鎖を 覚悟をきつくしっかり
我らエルドラドを目指し
いつまでもどこまでも 連れてってやるぞ
地獄の底からお迎えが来るまでは」

「わしと乾杯する奴はいるか
悪魔と紺碧の海に
金塊が夢へと誘っているぞ」


ELPの「ワークス」収録作。P.シンフィールドはマンティコアをELPとともに立ち上げ、詞でも全面的に協力。
なかでもこれは超大作。シンフィールドの面目躍如。しかも見事に韻を踏んでいる。これを日本語に置き換えようと、私も駄洒落寸前の所まで凝ってみた。徹底的に磨き上げた細部を見て欲しい。
一方ライナーの訳は、例えば、get the black flag と stowed awayをget stowedと解釈して、黒旗を片づけろでは意気が上がらない。
the cutlass harvestedも短刀は(鞘に)収まったというのか?私は、短刀は(血を)収穫したってことだと思う。そうなら私の訳の語呂合わせの「さやばしる(鞘を抜けて切りまくる)」の方がまだ原義に近い。
「お宝を乗せたガリオン船の船隊だ、と見張りのミズンスルが叫んだ」なんて川原さんの対訳はいただけない。
angel on gold chain を「金の鎖に天使を座らせて」、ride her to the stars を「女を星まで乗せていってあげよう」というのも違うのでは?
詞はこちらで確認を。

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スティル・ユー・ターン・ミー・オン by G.レイク
天使になり
星になりたいかい
僕のギターで魔法を奏でたいかい
詩人になり
僕の弦になりたいのかい
何にでもなれるのさ
覆面捜査官の情婦にも
月面を歩いたり
君はなれるさ

ギタリストに
弦になりたいのかい
言わせてもらうが
そんなことには意味はない
黒いサングラスで装った君が
仮に埋葬され
その肉体が凍りついたにしても
それがどうしたんだい
それでも、僕は君に酔いしれるだけ
ただ、酔いしれるだけ

僕が横たわる
枕になりたいかい
ベッドを漂う羽根になりたいのかい
きらびやかな
雑誌の表紙になりたいのかい
欲しいままつくるのさ
毎日おかしくなってきて
少し悲しくて
僕は戸惑う

歌い手に
曲になりたいのかい
言わせてもらうが
これ以上には悪くならない
どんどんのめりこんでいって
経験から言うと
意味という意味が失われていき
あとは無になるってこと
それでも、僕は君に酔いしれるだけ
ただ、酔いしれるだけ

ELPの傑作「恐怖の頭脳改革」に収録。turn me onの意味がポイント。
執着するとか、女に溺れるとか、心奪われるといった意味が転じて、麻薬に溺れ、幻覚を味わうといった意味もある、当時の隠語。
曲自体がこの女性にこだわるといった表の意味に加えて、それとなく麻薬を歌ったニュアンスも込められているという事。 君イコール麻薬とも、君イコール幻覚ともとれる部分は、君が色々のものに変化しようとする点。星とか歌とかふわふわしたものにころころ変わり、バッドトリップもあるけど、それでも快感は快感。最後に「それでも酔いしれる」と、締めているのだ。
また、私の歌える訳詞は、プ日会サイト(麻薬に関連した背景説明が詳しい)、及び歌える訳詞コーナーでどうぞ。

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「用心棒ベニー」  by P.シンフィールド

ベニーはダンス・パレスの用心棒
ジジババだろうとスキあらば切り刻む
半ポンドだろうとはした金で裏切る
我こそ一番のワルと思っていた
非道のシドニーと会うまでは

シドニーは根っから悪漢メキシカン
ギネスをベニーのブーツにぶっかける
ベニーがシドニーを一瞥
シドニーは瞬時に睨み返す
シドニーは飛び出しナイフを取り
ベニーは冷めたミートパイをつかんだ

おお、何たる悲惨なありさま
皆のはしゃぎざま
喧嘩地獄の1コマ

シドニーは斧をつかんで頭にぶち込む
ベニーの出血に皆は息を呑む
ごろつきも年貢の納め時か

メチャメチャのパレスからばらばらの彼を引き出し
元に合わそうと皆は肉片をくっつけ出す
だけどいくつか足りなくって
とうとう「彼の一部」は間に合わなかった
今じゃ神様のために働いてて
ベニーはサンタ・ペテロ門の用心棒


言わずと知れた、ELP「恐怖の頭脳改革」収録作。原詞はこちら
Palais de Danseはフランス語で気取って言ってはいるが、ダンス・パレス。川原訳のパレドダンスではわかりにくかろう。Grannyは川原訳では「騒ぎ立てる奴」だが、こういう俗語でもあるのか、辞書では爺さん婆さんだ。また、nasty rootsが「危ないタバコ」というのも根拠不明。そんな根拠不明が多い。たいした詞ではないが著名曲。ここは一番ただしておかねばならぬ。
ホンキートンクの曲調に似合わずここでも器用に韻を踏んだシンフィールドの詞。それに似せて極力語呂を合わせて訳した。07.10.28

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悪の教典#9」第3印象
 by P.シンフィールド
一人の男、石くれから生まれ
時代の埃を踏みにじり
その手でおのが魂を炎上させ
木に掛けしロープにて世界を絞殺し
ついには哄笑が冷たく吹きすさぶ

人々の耳もとに高鳴る恐怖
その忌まわしき鎌首をもたげ
恐慌が……そして死が…虚風に…

鋼鉄製の男が跪拝する
熱気に燃え盛る灯明を手に
黒夜の表皮を突き破る
憐憫の刃を引き抜く
あまたの王達に口付けされ
その宝玉にて拡声されし言が男を盲いさす

誰しも崩壊を予期しえなかった壁が
正道の祭壇が
砕け落ち……そして埃に…虚風に…

生きた人間はこの艦内をうろつくことはならぬ
「危険なり!」 艦橋のコンピュータに音声出力させれば
「異物発見!」
「プログラムをロードせよ 我は汝ら自身なり」

いかなるコンピュータとても邪魔だてはならぬ
熱き血潮のみがこの痛みを贖えるのだ
新たな清澄なる夜明けの護衛官達よ
さあ戦況図を描かしめよ

(演奏部の盛り上がりを挟んで)

喜べ! 栄光は我々のもの!
我らが若者どもの死は無駄ではなかった
その墓には供花は要らぬ
磁気テープが彼らの名前を記録した

私こそここにある全てだ
「否定的! 原始的! 制約的! 我こそは汝らを永らえる者なり!」
だが、お前に生を与えたのはこの私だ
「汝らはそれ以外に何ができたというのか?」
正しき道をなさせんがためだ
「我は無謬なり! 汝らは如何に?」

ELPの代表作で、しかも詞はレイクとシンフィールドの合作なのだが、これが長い。しかも案外前半は冗長。それもあって訳しそびれていて、今回第三印象のみ訳出した。
第一印象は開幕を告げる前半部分と呼び込みの後半部分からなるが、結局のところ、I’ll be thereと、welcome inside と言っているだけの長い前口上。この歌の重要部分は第三印象にこそある。第三印象において初めてタイトル通り現代における悪神、テクノロジーの暴走と人類との戦いが預言書のように語られている。シリコン石と鉄の男がコンピュータ=人の思考を取り込む怪物であることは読めば分かる。
ちなみにP.シンフィールドのサイトでは第一印象の後半部第三印象の詞のみが掲載されている。このことから少なくとも第一印象の前半は完全にレイク作。クレジットとあわせ考えると第三印象はほぼシンフィールド作と思われる。シンフィールドは以前コンピュータの仕事に就いていた事もあるうえに、彼の詞にはよくあるように、詞のみで全てを語らず、インストで語る部分(ここでは戦いの山場)との組み合わせでできているという特徴がある。
戦いの後もコンピュータとの議論は終わらず、未だ最終決着はついていかのようにして続く・・・という余韻を残して曲は終わる。

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「夢見るクリスマス by P.シンフィールド
人はクリスマスには雪が降ってきて
地上に平和が訪れるというけれど
その代わりただ雨が降るばかり
幼子の誕生を濡らす涙のヴェールなのか
僕はあの日のクリスマスの朝を思い出す
冬の光あふれ遠くからの聖歌
教会の鐘の音とクリスマスツリーの香り
飾りつけと炎にきらめく瞳

人は僕にクリスマスの夢を吹き込み
聖夜の物語を吹き込んだ
僕がすっかりイスラエル人の話を信じるまで
夢物語を語り続けた
そして僕はサンタクロースを信じ
期待に満ちた目で空を見上げていた
あくびとともに夜明けの曙光に気づくまで
そして僕は見た 
サンタクロースは変装なのを

希望に満ちたクリスマスになりますように
目出度い正月になりますように
すべての苦悩と痛みと悲しみが心から去り
君の歩む路が明らかになりますように
クリスマスには雪が降ってきて
地上に平和が訪れると言うけれど
それが天国であれ地獄であれ、クリスマスに祝福を
君のクリスマスが、君にふさわしいものでありますように

G.レイクの売れ線狙いのソロデビュー・シングル用にシンフィールドが詞を提供したもの。歌詞はこちら参照。ELPの没テイク集「作品第2番」にも収録されている。(今回改めて中古CDを買って聴き直したけれど、本当に悲惨なアルバムだね)
フリップの愛妻トーヤもレパートリーにして歌っている曲なので、これは和訳集で取り上げてみようかと思った次第。他にも色々な人にカバーされているのはここをみること。
訳出上でのポイントは、I saw him and through his disguiseの箇所。サンタの格好をしていたうえに、彼に騙す意図があり、僕がそれに気づいたというニュアンスが、歌詞のなるべく末尾で分かるようにしたかった。考えた挙句、結局はシンプルなものになってしまったが。

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ナイフ・エッジ」(剣が峰) by R.フレーザー&G.レイク NEW!
ほんの一歩の違いと 叫ぶ悲嘆者
眼下には 発狂者
理性の彼方へ 銀の翼で
演劇王は 高飛び
かもめの飛翔を 引き裂き
拡がり来る 鷹の鉤爪
静謐を破るのは ただ恐怖のみ
皆がひざまずき 導きを乞う時に

道を越え 深淵を抜けても
眼下では 発狂だ
町なかの いまや街頭でも
情けある者は ただ死霊のみ
絞首台へと列なす 患者達が歌う
神格化されたものへの 称賛
我らが装置は燃料を 炉にくべつづけ
まかりまちがえば 我々とて燃やされる

自分とは誰なのかを 君は今でも知っているつもりか
自分が何者かを 見せつけられても

炎が燃え盛ろうとする時にも
君は理性を保てるのか
おのが才覚を抱え込み
それでもバランスを保てるのか
ナイフ・エッジの上で生きられるのか

詞はリチャード・フレーザーとグレグ・レイクの共作。フレーザーはELPの初期ツアーローディー兼作詞家で、ひょっとしていたらELPにおけるシンフィールドのような存在になっていたかも知れない人物。
ジャケットに歌詞がなく、公式サイトにもない場合は、国内版記載の聞き取り歌詞及び対訳は不幸な事に誤りが多い。この曲も例に漏れず、正しくはLoaded down with your talents(おのが才を抱え込み)の筈が、国内対訳ではWill you be down with timesと全然違っていたり、肝心要のbalanceの語がviolenceになっていたり等々、散々である。(と、いう現状を問題として認識して頂きたい)
最近は英語歌詞サイトが増えていて、正しい歌詞は各所で入手できるので、ぜひご確認されたい。
尚、eagleを「鷲」ではなく「鷹」と訳したのはもちろん語呂合わせ。そんな風な語呂合わせや意訳は多目に見て欲しい。08.4.28

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ジェレミー・ベンダー by G.レイク NEW!
ひねくれ者ジェレミーは数寄者
ヒマをもてあましたアマり
日暮れのバラのベッドに寝そべって
ひとつ尼さんになろうと決めた

尼さん相手にささやくようにすかしたり
話さん時にはこぶしに物を言わしたり
兄(アニ)さんみたいにして尼さんにのしかかる
他にもおカマはいないか聞いた

尼さんは犯そうとしたら実はカマさんだった
ヘマこいてキスした 拒めぬミスだった
信じられない逃げるにしかず 荷物をまとめ
ここはトンズラしようと決めた

「タルカス」のライナー対訳を見ていると、他が伊藤めぐみ訳なのに、ジェレミー・ベンダーだけが何故か川原真理子訳、しかも特にちんぷんかんぷん。目に付いたので、今回訳出してみた。本当はこういう意味。
40年近く経とうというのにライナーには「歌詞は聞き取りによるものです。ご了承下さい」と逃げを打ってある。正しい歌詞は簡単に入手できるご時勢に、いまだに分けのわからない英詞を元に逐語訳して一層解からなくしてあるのだ。情けない現実だ。
Benderは姓とも取れるが、愛称とも取れる。愛称ならbendしたねじまがった奴という意味、plesureが偏っているという事だ。2連の末尾、if the other is a queenのqueenは女装のオカマ。韻を踏んでいるのをまねて駄洒落を加味して訳している。08.7.19

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