エマーソン・レイク&パーマー(レイク) Last Update 2011.9.9 by K.T.

「タルカス」 NEW!
a.噴火

b.石の時代
お前は夜が明けるのをその目で見てきたのか
時代はお前をそんなに愚かしくしたのか
その姿を現してみろ

お前は時代の風に語りかけた事があるのか
ならば水の歌うのが分かるはず
ワインの味がだ

お前はいずこから来たか一体解かるのか
いずれお前は兆候を見いだし
己が罪業を実現するのだ

お前はいかにして種が蒔かれたか解かるのだろうか
お前の時間はもう成長しすぎてしまい
誰も知る術はないのだ

お前は石の時代を歩いてきたのだろうか
お前が語りだすのを お前自身で聞く日は来るのか
お前の耳は塞がっているのか
ああ、お前は一切聞かぬではないか

c.偶像破壊者

d.ミサ聖祭
司祭は祈りを捧げた
彼の頭の髪の一本一本を護りたまえと
お前は既に死んでいる!
怨む宣教師は到着はしたが
安堵を授かるにはあまりに遅すぎた
どうでもいい!
自らの運命の糸に絡めとられる織り手よ

巡礼者は彷徨い歩いた 
あらん限りの罪悪を引き受けつつ
これまた結構!
落胆の枢機卿は受け容れた
彼は救われる事だろう
墓穴からだが!
自らの運命の糸に絡めとられる織り手よ

司祭長は刀を手に立ちあがった 
祈る者らの恩寵のために
全て従う者に!
恐怖の使者はじわじわと巨大化していく
その時は近い
予兆がする!
自らの運命の糸に絡めとられる織り手よ

司教は警鐘を鳴らす
暗黒のマントが大地を覆っていく
音もたてず!
沈黙の聖歌が歌われその静寂の中に
もたらされる疲弊した声
群衆の合唱!
自らの運命の糸に絡めとられる織り手よ

e.マンティコア

f.戦場

戦場を片付けて見せてみろ
我々の戦果を残らず
飢えた子が倒れているというのに
お前は自由だと語り
季節の叫び声が聞こえるというのに
お前は耳を貸さぬのか

大地が焼き払われるのを見る為に
おまえはそこに居たのか
恐ろしげな松明の横に立っていただけか
悲嘆する木の葉が表情を変え
恥辱の灰に散るのを知るがいい

あらんかぎり鋭刃は振るわれ 矢は放たれた
お前の軍勢の死屍累々たる場所
剣が草のごとく生え 矢が雨のごとく降った場所に
かくて何ら哀しみとて残らず
苦痛すら存在しえぬ

g.水中のタルカス


「ジェレミー・ベンダー」でも述べているが、アルバム「タルカス」国内版の掲載歌詞はいい加減、それをもとに訳すから伊藤訳は一層意味不明。ライブ盤には“ストーンズ・オブ・イヤーズ”の川原訳もあるが、そっちはもう論外。ということで、名曲「タルカス」のまともな和訳を示してみたい。
ネットで入手した詞(細部で異同があった所は選択して)をもとに訳しているので、ライナー対訳とは根本的に内容が違う。なので、伊藤訳のように偶像崇拝が支配したり、ハーピーが刃をふるったりはしない。ましてや真鍮の薬缶頭に毛が生えないなんてくだりもない。タルカスやマンティコアがキメラ獣であるように、ハーピーとは半人半鳥のキメラ。ライナーノーツだけ見ていた時は、成程イラストの翼竜みたいなのがハーピーなのかと感心していたが、こりゃまた全くの勘違い。正しい詞はhigh priest、つまり司際長がそう聞こえていたのだった。ちなみに“ミサ”の登場人物は皆カトリックの宗教者の職名に揃えて訳さねばならぬ。ミサを行うのはカトリックなのだから。(というか、逐一解説しないが組曲冒頭から最後までキリスト教を意識した言い回しが多数ある)
“ミサ”の訳にあたって一番悩んだのがキメの歌詞、The weaver in the web that he made。伊藤訳では“神の作り給いし織物の織り手”となっているので、宗教関連の成句をしらべたりしたが何もわからない。まともに考えるとheがいきなり神を指すとは思えない。直前のweaverだろう。ということは“自縄自縛”みたいな慣用句なのかとも思い調べたがそのような例示もない。単にレイクが作ったフレーズという前提で素直に考えてみた。Webとは運命のもつれた糸とか、人生模様とか、蜘蛛の巣のイメージだろう。詞の他の部分の内容が危機に瀕した人それぞれの反応を歌っている事から、私の決定稿は“自らの運命の糸に絡めとられる織り手よ”とした。という事から考えるとMassとはミサではなく、網が絡まって固まったコブとか人の集団の意味のマスも掛けているのかとも思えてくる。
ちなみに、「タルカス」においてレイクは「クリムゾンキングの宮殿にて」のシンフィールドの歌詞をだいぶ意識している。つまり内容の関連性を意識して作詞している。”時代の風に語りかけてきたか“の部分は風に語りてから、大地が焼き払われたり、“飢えた子が倒れている”とかは21stスキゾ、“いかにして種が蒔かれてきたか”の部分はエピタフからの借用、などなど。アルバム・宮殿における荒廃した未来の予言の内容を受けて、タルカスの正邪の対決の物語は語られるのである。(レディース&ジェントルマンの中の”戦場”で”コンフュージョンウィルビマイエピタフ”と歌ったのにはそれなりの背景があるのだ)
さらに言えばこれが”悪の経典#9“につながっていく。タルカスはマンティコアと戦い、虚しい痛み分けのような形で最後には一旦水中に逃れるようになっているが、ここで決定的に敗北したわけではない。だから形を変えて話は継続する。火成岩から生まれ、石の時代を歩んできたタルカスは、”石(シリコン石)から生まれた男が時代の埃を踏みにじる”悪の経典のコンピュータ、すなわち人と機械のハイブリッド=キメラに姿を変え再登場する。(で、そこでも決着はつかず聖戦は続くわけだ)
また、荒廃した近未来の機械の権化とカトリックとの聖戦という話の外枠を示すため、「恐怖の頭脳改革」には冒頭に「エルサレム」を配している。(“エルサレム”中にいわく敵は“暗い悪魔的工場”)
補足。本来“時の踏み石”と訳すべきstones of yearsを”石の時代”としたり、“調和的群衆”と訳すべきharmonic crowdを“群衆の合唱”としてたりするのは意訳。今回は色々と意訳があるが、そのいいわけを逐一述べるには解説文がだいぶ長くなりすぎた。割愛御免。11.9.9

To Top

ジェレミー・ベンダー
ひねくれ者ジェレミーは数寄者
ヒマをもてあましたアマり
日暮れのバラのベッドに寝そべって
ひとつ尼さんになろうと決めた

尼さん相手にささやくようにすかしたり
話さん時にはこぶしに物を言わしたり
兄(アニ)さんみたいにして尼さんにのしかかる
他にもおカマはいないか聞いた

尼さんは犯そうとしたら実はカマさんだった
ヘマこいてキスした 拒めぬミスだった
信じられない逃げるにしかず 荷物をまとめ
堪らん退散しようと決めた

「タルカス」のライナー対訳を見ていると、他が伊藤めぐみ訳なのに、ジェレミー・ベンダーだけが何故か川原真理子訳、しかも特にちんぷんかんぷん。目に付いたので、今回訳出してみた。本当はこういう意味。
40年近く経とうというのにライナーには「歌詞は聞き取りによるものです。ご了承下さい」と逃げを打ってある。正しい歌詞は簡単に入手できるご時勢に、いまだに分けのわからぬ英詞を元に逐語訳して一層解からなくしてあるのだ。情けない現実だ。
Benderは姓とも取れるが、愛称とも取れる。愛称ならbendしたねじまがった奴という意味、plesureが偏った奴という事だ。2連の末尾、if the other is a queenのqueenは女装のオカマ。韻を踏んでいるのをまねて駄洒落を加味して訳している。
従来の最終行、「ここはトンズラしようと決めた」という訳も捨てがたい、ニュアンスとしてはそんな感じだよなぁ!しかし、「堪らん退散しようと決めた」というフレーズを思いついてしまった。語呂あわせならこの訳語に軍配が上がる。11.8.21

To Top

ナイフ・エッジ」(剣が峰)
ほんの一歩の違いと 叫ぶ悲嘆者
眼下には 発狂者
理性の彼方へ 銀の翼で
演劇王は 高飛び
かもめの飛翔を 引き裂き
拡がり来る 鷹の鉤爪
静謐を破るのは ただ恐怖のみ
皆がひざまずき 導きを乞う時に

道を越え 深淵を抜けても
眼下では 発狂だ
町なかの いまや街頭でも
情ある者は ただ死霊のみ
絞首台へと列なす 患者達が歌う
神格化されたものへの 称賛
我らが装置は燃料を 炉にくべ続ける
まかりまちがえば 我々とて燃やされる

自分とは誰なのかを 君は今でも知っているつもりか
自分が何者かを 見せつけられても

炎が燃え盛ろうとする時にも
君は理性を保てるのか
おのが才覚を抱え込み
それでもバランスを保てるのか
ナイフ・エッジの上で生きられるのか

詞はリチャード・フレーザーとグレグ・レイクの共作。フレーザーはELPの初期ツアーローディー兼作詞家で、ひょっとしていたらELPにおけるシンフィールドのような存在になっていたかも知れない人物。
ジャケットに歌詞がなく、公式サイトにもない場合は、国内版記載の聞き取り歌詞及び対訳は不幸な事に誤りが多い。この曲も例に漏れず、正しくはLoaded down with your talents(おのが才を抱え込み)の筈が、国内対訳ではWill you be down with timesと全然違っていたり、肝心要のbalanceの語がviolenceになっていたり等々、散々である。(と、いう現状を問題として認識して頂きたい)
最近は英語歌詞サイトが増えていて、正しい歌詞は各所で入手できるので、ぜひご確認されたい。
尚、eagleを「鷲」ではなく「鷹」と訳したのはもちろん語呂合わせ。そんな風な語呂合わせや意訳は多目に見て欲しい。

To Top

スティル・ユー・ターン・ミー・オン
天使になり
星になりたいかい
僕のギターで魔法を奏でたいかい
詩人になり
僕の弦になりたいのかい
何にでもなれるのさ
覆面捜査官の情婦にも
月面を歩いたり
君はなれるさ

ギタリストに
弦になりたいのかい
言わせてもらうが
そんなことには意味はない
黒いサングラスで装った君が
仮に埋葬され
その肉体が凍りついたにしても
それがどうしたんだい
それでも、僕は君に酔いしれるだけ
ただ、酔いしれるだけ

僕が横たわる
枕になりたいかい
ベッドを漂う羽根になりたいのかい
きらびやかな
雑誌の表紙になりたいのかい
騒ぎになったりして
日毎におかしくなってきて
少し悲しくなってきて
僕は梯子が欲しくなる

歌い手に
曲になりたいのかい
言わせてもらうけど
これ以上にはないぐらいに最悪さ
どんどんのめりこんでいってるって
経験から言うと
意味という意味が失われていって
あとは無になるってこと
それでも、僕は君に酔いしれるだけ
ただ、酔いしれるだけ

ELPの傑作「恐怖の頭脳改革」に収録。turn me onの意味がポイント。
執着するとか、女に溺れるとか、心奪われるといった意味が転じて、麻薬に溺れ、幻覚を味わうといった意味もある、当時の隠語。
曲自体がこの女性にこだわるといった表の意味に加えて、それとなく麻薬を歌ったニュアンスも込められているという事。 君イコール麻薬とも、君イコール幻覚ともとれる部分は、君が色々のものに変化しようとする点。星とか歌とかふわふわしたものにころころ変わり、バッドトリップもあるけど、それでも快感は快感。最後に「それでも酔いしれる」と、締めているのだ。
また、私の歌える訳詞は、プ日会サイト(麻薬に関連した背景説明が詳しい)、及び歌える訳詞コーナーでどうぞ。

ELPのシンフィールド詞の作品はまた別のページで紹介中です。
また、展覧会の絵はこちらで見てください。

             関連アーチスト作品INDEXへ