ザ・ファースト・デイ シルビアン&フリップ  Last Update 2007.8.17 by K.T.
「ゴッズ・モンキー」
一押しで
人は落ちる
闇に生まれ
闇に生まれ
恥辱でできた
諍いでできた
沈黙だけの
沈黙だけの
星だけ
そして星々

梯子を捜せ
梯子を登れ
神前のエテ公

ここには
歌おうにも
本当の
歌もなく
息するにも
大気は薄く
天国は遠く
天国は遠く
星だけ
そして星々

梯子を捜せ
梯子を登れ
神前のエテ公

梯子を捜せ
梯子を登れ
神前のエテ公へと

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「ジーン・ザ・バードマン」
鞍上の賭をした
たてがみを引き掴み
彼は鞭を当てる
野望という血塗られたゲームだ

馬は跳びたがらず
川幅は広すぎる
尚のこと彼は障害に奮い立つ
張りつめた気持ちで

「しっかりついてこいよ、大きく息を吸え、
3歩下がってから
一気に跳べ」

神達は笑って
手綱を引いた
しかし彼はその翼を使った
そして神達は川岸に落ちた

天国からつぶて受けようとも
鳥人ジーンはやりとげる

指は引き金に
目は時計に
彼はゲームから降りたりはしない
そして一閃弾丸を放つ

まだ生きているつもりの
6つの命が奪われる
埃っぽい風に揺れている
カラの心のように

誰が狩人で誰が餌食なのか
神はアメリカを愛しても
彼は神には嫌われし者

どこからともなく引きずられて
もつれた関係にはまり込み
ついにこの朝ぶち割るチャンス
僅かな眠りを貪れる

天国からつぶて受けようとも
鳥人ジーンはやりとげる

肌身はなさず身に纏う
母の形見の護り像
彼は心臓に鎖で巻き付ける
聖餐のようにもろく錆びた十字架像

「運勢をあてにしてどうするんだ」と
天使達は口々に歌う
「風向きなど気にするな
明日がどうなるかは承知の筈だろう」

そうさ人生は放牧場
狡いコヨーテに間抜けのラバもいる所
人生は闘牛場
法則など意味のない危険に満ちた所

命綱が欲しい腰抜けはいるか
世界は広大無辺の荒野
見極めるんだ ペテン師達を
注意しろ 危険のしるし

天国からつぶて受けようとも
鳥人ジーンはやりとげる

天国からつぶて受けようとも
鳥人ジーンはやりとげる

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「ファイヤー・パワー」
ドアを打ち破り 見張りを蹴散らし
冷蔵庫を襲い 食い物を漁りつくす
沈黙や、停止や、思考の余地はない
心の痛手をいやすものも

こめかみに銃口をあてられ
興奮し闇雲に暴れ
聖職者や、それ以外にも悉く疎まれて
立ち上がろうという気も失せた

怒りと欲望に射抜かれ
喰らう口と寝るにはねぐら
「おさらば」の酒を飲み 瓶を干す
獣じみてそれでいて笑っている

刻々惨事を巻き起こす
凶運の星、火炎の威力に後押され

刻々惨事を巻き起こす
凶運の星、火炎の威力に追い立てられて

ドアを打ち破り 鍵を破壊し
眠りを怖れて 高ぶりつづけ

沈黙や、停止や、思考の余地はない
心の痛手をいやすものも

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「ブライトネス・フォールズ」
ベイビー、ベイビー
行きたくない
こんな悲しい中
一人だけにしないでくれ
体はだるく
動きも鈍くなり
瞬間ごとに呆然自失
瞬間ごとに金縛り
星もない闇夜
その下で立ちすくむ
君にいてもらわなけりゃならないんだ

ベイビー、ベイビー
君を好きだから
こんな空しさの中
一人だけにしないでくれ

輝きが失せる時
誰が駆けつけてくれる
輝きが消える時
一体誰がここへ来てくれるのか

静寂に救われ
騒音に救われ
稲妻に救われ
快楽に救われようとも
まやかしの構築
あらゆる傷心者たちよ

ベイビー、ベイビー
傷は簡単には癒えない
明日なんてどうしてあてにできる
輝きが失せる時
誰が駆けつけてくれる

切符は破棄され
片道だけの旅
閃光ごとに生きて
閃光ごとに呆然自失
書くべきことはもはやない
時間とは今や
最悪の気まぐれ 
この新しい日には

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「20th・センチュリー・ドリーミング」
  ア・シャーマンズ・ソング
 (20世紀の夢想〜欺瞞の歌)

寒い朝
また別の1日の始まりに
眠りは最終章を迎え
雨音の中 目覚めは訪れようとする
私は価値観の消滅する岐路へと
導かれていく

正義、希望、幸福へのかつての信頼は
どうしたんだ

社会的、経済的、精神的に
私は愛に基づく場所へと移行しつつあるのだ

自身の灯火で
自身の食べ物と水とを摂り
社会的善悪や社会的秩序といった
約束は忘れちまうのだ
カウボーイの輪投げに捕らわれてるような約束
悪夢に絡めとられ
仕事着を投げだすようなもの

行くべき道へ踏みだそう
自分の見方を取り戻そう
ついには黄金の光で意欲を満たすのだ
奴らは梢に身を潜め
私の上着を引っ張るけど
勢力は落ち目で
じき下藪のなかで燃え尽きてしまう

社会的、経済的、精神的に
私は愛に基づく場所へと移行しつつあるのだ

川の流れが
逆巻き渦巻くようなとこに
とどまるべきじゃない
そう分かっているはず
同じゲームを繰り返すべきじゃないと
だが今度こそは違ってくるかもしれない
勝てるかもしれない

夢見ている 夢を見ている
夢見ている 夢を見ている
身を横たえて
夢見ている 夢を見ている
私は愛に基づく場所へと移行しつつあると
そこには夢が訪れる

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「ダーシャン」
ザ・ロード・トゥ・グレースランド
(ダーシャン〜恵みの地への道)

ダーシャン
鳥は2羽
石は1つ
チャンスは1度
投げ損じは
許されない

縛られて
盗っ人2人
ナイフは1つ
切る縄1本
扉が2ケ所
どちらかが出口

灯りは1筋
行方は1つ
取るべき道は
だだ1つのみ
僕ら立ちつくし
待ちわびる

冷気から
温もりへ
日暮れから
夜明けまで
流動から
形態に

跪いている
この道は
恵みの地へ

恵みの地へ
この道に
跪き

恵みの地
ダーシャンへ
ダーシャンへ

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解説
ひょっとしたらこのまま第5期クリムゾンに発展していたかもしれないシルビアン&フリップである。(S&F&ガン。+モロッタ。ツアー時にはマステロットだ!) 内容的にも90年代クリムゾンへの踏切台といえる。
詞は全てD.シルビアン。内省的な世界、一連の絶望と葛藤劇が展開されている。
国内版の訳の斉藤真紀子は詞の内容を充分理解したうえで、凝った意訳を行っている。箇々に見ていくと、勿論私とは解釈の違う所も多いが、ライナーの対訳としては珍しく丁寧な仕事だと思う。ただし逆に、私はここでは素直に訳すことを心がけた。
「ゴッズ・モンキー」はそんな典型。原詞の語り口からすると、こんなふうにぎりぎり短く絞るように訳すべき。
「ジーン・ザ・バードマン」は斉藤訳よりも情景が分かるように訳した。hit the bankも字義通り素直な訳の方が具体的に分かるというもの。
「ファイアー・パワー」。waylayed を斉藤訳では行く手に stars とFirepower が待ちかまえていると訳しているが、流れからすると違和感を感じる。道がさえぎられているから行先を変えざるを得なくなると解釈して、私はここを「追い立てられ」と訳している。
「ブライトネス・フォールズ」も「20th・センチュリー・ドリーミング」も難解な詞。詞の真意をどう取るかで訳のニュアンスは当然変わってくる。(brightnessとliteness の違いとか、meaninng やfaith に対する態度をどう取るかなど)
「ダーシャン」はヒンズー教でいう徳目、叡知。
「ブリンギング・ダウン・ザ・ライト」はインスト曲。

追記:シルビアン&フリップのライヴ版「ダメージ」の永田由美子訳について言えば、斉藤訳に比して解釈が表層的な印象を受ける。(元にした英詞も若干違うようだが) で、「ダメージ」に収録の「ウェイブ」訳は下記。

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07.8.17追加訳出
「ウェイブ」(音のない波)
確かに記憶している気がする
僕はあまたの夢を見ていたのだ
僕らはともに日々を迎え受け
何事が起ころうとも
内なる比類なき強さが
人生の扉を開き先へと歩ませるのだ

この太陽はとこしえに
愛の背後で光り輝くことだろう
王国は灰から復興し
君の腕の中で庇護される
枝の間を雨滴はこぼれるだろうが
僕らはそこに不退転の隠れ家を見つけるのだ

僕は君に寄り添い
何ものも今、僕らを妨げることない
僕の失うものは何もなく
内なる灯火は決して消えることない
二人だけで出来上がった別世界
僕は君とその内なる海原を泳ぐのだろう
音のない波のように
僕は君を決して裏切るまい

夏の波の上で
黄金で覆われた丘の頂で
僕らは目を閉じて
二人互いに誓いを交わす
僕らを導き何があろうと見届ける意思
僕は君のためになら何度も全てを誓うのだ

僕は君に寄り添い
何ものも今、僕らを妨げることない
僕の失うものは何もなく
内なる灯火は決して消えることない
二人だけで出来上がった別世界
僕は君とその内なる海原を泳ぐのだろう
そして、音のない波のように
僕は君を決して裏切るまい

君を我が物にするためになら
僕の魂など損なわれてもいい


シルビアンの詞を訳そうと思い、どうせならフリップとの競演版「ダメージ」で取り上げられている作品にしようと思い「ウェイブ」を訳出した。
初出は'86年のシルビアンのアルバム「ゴーントゥアース」で、やはりフリップのギターソロが大きくフィーチャーされた曲。
庇護とか不退転とか比類なきとか、訳の言葉が硬いような気もするが、そこがニュアンスというもの。ロックの詞なのだが、静謐な、音の全く聞こえて来ない別世界の情景を感じさせる、どこまでも静かな詞。07.8.17

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