| Last Update 2011.1.3 by K.T. |
| 「キャン・ユー・フォーギヴ・ア・フール」 午前3時 君はまだ目覚めていて 階段を降りるあの娘の足音に耳をそばだてている 車のドアが閉まるのが聞こえる もう誰もそこにはいない・・・ 灰皿に残った吸いさしのタバコは 今になって悔やまれる言葉を思い出させる 君は自分が可愛かっただけ あの娘の頬を伝いこぼれる涙 彼女はもう何も言えなくなってしまった その瞬間は幾年もの積み重ねのせい もういいわアーメンと言い残す前に 自ら去れば良かったのか・・・ 嫉妬とは苦い酒 その毒はいかなる理性も失わせる 真剣だっただなんてあの娘には思えただろうか もう遅過ぎる、遅過ぎる だのに何と早すぎる事か 愛の木が憎しみという果実を結ぶのは 君のつく嘘をあの娘が拒んだのは それはもうとっくに昨日の事 あの娘がまた帰って来るよう君は祈る 思いつくかぎりのあの娘の友だちに電話をかけてみる 彼女をどれほど愛しているのかを言うため 再び戻って来るよう君は祈る この悪夢は決して終わらないのか この悪夢は決して終わらないのか 午前6時 待ち疲れうとうとしていると 表の音はタクシーだろうか 君は窓を大きく開け放つ ああ、そうとも あの娘じゃないか 君は笑い、泣き、階下へと走り 扉を開けるとそこにはあの娘 本当に彼女なのか確かめるために手を取って ああ この感じ、「勿論、私よ」彼女が言う 曙光が通りを満たしているその時 動悸も構わず彼女を強く抱きしめる 「ほんと愛している でもこんな馬鹿野郎でいいの?」 「こんな馬鹿野郎でも構わないのかい?」 「こんな馬鹿野郎で構わないかい?」 素直な内容、これもシンフィールドの一面。詞はこちらに掲載中。 「ハンギング・ファイヤ」 私は吊るされ 絶体の絶命 むだにつくろう美辞麗句 これは 馬脚をあらわす失態の宿命 刻々虚ろになっていく 私は火あぶり 末期の歌残すのみ 聖歌も調子っ外れが恥 そうさ サマセットに残したのは 生家でなくした銀の匙 私は並以下 安価なギター弾くみたい 弦を2倍押さえにくくて そして 穴から気概引き出したい 翼にゃ蜘蛛の巣かかってて 私は袋を無くし さまようサンタクロズ 自分の櫂まで失ったよう さんざん苦労も 全ては海の藻屑 すっかり帆までも飛ばされたよう ちなみに、サマセットはシンフィールドの実際の故郷。銀の匙とは生まれながらに授かっていたはずの幸運とか資産のこと(くわえて産まれてくるという)で、これがなくなっちまうわけだ。尚、英詞はこちらに掲載中。 「メイク・イト・トゥデイ」 砂時計の砂粒を数えては 時の粒がただ落ちるのを君は見ている 幾千万の言葉もやすらぎを与えはしない 君はトップでもないし しんがりでもない 君は役を振られただけの唯の俳優 1歳から多分50歳位までの役を 君は何を聞こういうのか 言葉は不確かだというのに 自分を一旦白紙に戻してごらん きっと僕の声が聞こえるよ 今日なすべきことをなすのだと すきあらば騒いでやろうとするような 浅はかなゲームを君はしている そして、迷路で駆けまわっているだけさ 目を見開いてごらんよ 君は真実を見る筈 偽りを知る筈 だから、 虹のかかった空に登ってごらんよ 君は何を聞こうとしているの 言葉は不確かだというのに 自分を一旦ご破算にしてごらん きっと僕の声が聞こえるよ 今日なすべきことをなすのだと 自分自身を自由にしてみたら見つかるだろう 君の走る狭く石ころだらけの路に 気持ちのやすらぎ、心の安逸が そして君は、黒は白でもある事がわかる筈 何ものも誤りではなく、正しくもない そして太陽の下、愛こそがすべてなのだと GGFの他の作品はこちらで紹介中。 「フォトズ・オブ・ゴースツ」 欠けた月影に 銀のレースで縁どられた黒い薔薇 千万の星のまたたき そしてかそけき葉擦れのハーモニー 我等とはそういったもの 干上がった泉の傍らに 埃を被った5巻の古書 そこには色褪せた過去の肖像画があり それらは愛の幻のかたみ それぞれの表紙にはこう書かれてあった 「これなるは亡霊達の写し絵なり」 亡霊の、亡霊達の 我等かつて盛んなりし日々、謳いあいし日々の 「リヴァー・オブ・ライフ(人生の河)」 人生の河 雨滴より誕生する その下深く 大地より集められる しみこみにじみ出て 岩の間隙 湧き口よりほとばしる 処女のごとき流れ きままに曲がり折れ 海まではまだ遥かな道のり 洞穴に峡谷 監獄のごとき絶壁 渦巻く滝の落下に もみくちゃに投げ出されもする 沃野をよぎり 自らの進路のままに 河はうねり 自らの星のままに そこには都市があり そして橋も掛かる 艦船に小船 くすみ錆ついた心は 岸辺のクレーンに流れ寄る かつての悪事も毒も いまさら飲み飽いた 痛みも忘却の彼方 雨より生じ雨に帰る 旅路の終わりまでは そう遠くはなさそうだ・・・ ここでは、たんねんに音をそろえて詞の格調高さを再現しようとした点を見て欲しい。 尚、手もとのCD版対訳(川原真理子訳)は、誕生期の描写に「河口」の語を用いたり、老年期の港のcranesが「鶴」だったりするのが頂けない。まさか、Wasteが「残飯」はなかろう。これは若い頃の放埓、悪事に耽った事と、河の氾濫を重ねた言葉。まぁ、ゴミが流れたのも表しているのだろうが、唐突に「残飯と毒」ではこれがdrunkの目的語であることもわかるまい。07.7.14 「プロムナード・ザ・パズル」 チューリップの花の上で踊る淑女 たそがれ時のピルエット 僕は彼女へ次のシガレット。 教会の鐘の音を鳴らすのはペンギン 鬚の牧師の歩みはまるでチャップリン 僕は今宵飛び立つ、燕のように。 中国の薄紙詩人 空を映し出している鏡の湖面 しじまの真中へ筆を下ろす。 積み藁のまわりでは搾乳婦達のワルツ 師匠の吹くラッパに乗せ。 カフェでは楽団員達が打ち鳴らす ジプシーのはね橋の旨酒を求め。 合唱の子らはジグザグ振りに煽られる 猿が夢想するピアノに。 川の中の盗まれたキーを魚が飲みこむと 木の脚は帆を立て川を行く、 時計もポルカの輪に加わる。 絨毯を掃く、その絨毯の下も 謎を巡っての逍遥。 シュールレアルな詞、詞自体が謎を巡る逍遥。ふわふわした煙になったり(燕になって)飛び立ったり、現実味のないメルヘンから始まる。 ラッパに浮かれるのはハルメンの笛吹きじゃないけど、音楽で心を奪われるから。音楽家がボトル=酒を求めるのも忘我のため。猿の夢想というのは偶然や人智を超えた意識下の事。 更に謎へと誘われて、キーを魚に飲まれるのは、調子外れになるのと、手がかり(論理)がなくなるのとを掛けている。すると当然世界はますます狂ってくる。謎=無意識=忘我の境地へ深く、絨毯の下のその下へと。09.9.27 「ギヴミーサムシングトゥリメンバーユーバイ(あなたの思い出になるものが欲しい)」 一体何せきだったかわからないくらいに 夜 私を通り過ぎた船は多かったの あなたが私のとこに停泊し もっと一緒に居たいと私が祈ったその日迄に きっと二人とも真剣過ぎたの 手に入れたばかりの親密で真実の恋 嵐の10日間 二人の心はずっとストレートフラッシュ 私はずっとあなたに釘付けのままでした 何かあなたの思い出になるものが欲しいの 長い寒い夜のキスのようなもの 何かあなたの思い出になるものが欲しいの だってあなたの船が視界の果てへ沈んでいくの 満ち潮よりも更に高まったまま ルビーの女王は月の騎士を選びました 翼が凍ったまま二人は崩落にも耐えましたが 厩には多くの血が流されました きっと勝ち負けで語るには重たすぎたの 二人行き暮れてしまったの だけど それが錨と鎖になるだなんて勘違い それは私の胸底に残る傷跡なの 何かあなたの思い出になるものが欲しいの ナイフとか蒼い鋼の鍵のようなもの 何かあなたの思い出になるものが欲しいの 海の嵐のような薔薇のようなもの 何かあなたの思い出になるものが欲しいの 二人は間違ってはいなかったけど 正しくもなかった 何かあなたの思い出になるものが欲しいの さようならいとしい人 別れの潮時がきたのね プロコル・ハルムといえば作詞専門のメンバーとして詩人のキース・リードが参加していたことで知られ、このアルバム中でもキース・リード詞が1曲、シンフィールド詞が5曲収録されている。 この曲はその中でも秀作。シンフィールドはキース・リードに負けずにきっちりと韻を踏んで、プロコル・ハルムの「ソルティー・ドッグ」を想起させる潮の香りの物語を書いてみせた。二重三重の意味を重ねた詞を訳すため今回は意訳気味。歌詞はシンフィールドのサイトで公開中、曲も聴けます。 その縁でだろうが、後日、I.マクドナルドのソロアルバム「ドライヴァーズ・アイ」(99年)のなかの「レット・ゼア・ビ・ライト」はシンフィールド詞、ゲイリー・ブルッカー歌。08.3.20 「ランウィズザフォックス」 季節は到来かくて何かあろう 一時の美を堪能すべき時 狩る者と狩られる物にとり 歩調を破るに機は熟したり その胸は期待に満たさるるか かの降誕祭の幻にそぞろか ひるまず事にあたるがよい のるかそるか乾坤一擲 狐を追い走れ 明日の暁の風に向かい 狐を追い走れ 荒野へと野生の寒さへと 岩に注意し走れ 去来する愛へ備えあれ 狐を追い走れ 巡り来る季節の都度の事 開始の前に勝負は決するもの 騒ぎたて浮かれいる間にも 故に狩行前に歩みだすべし 狐を追い走れ 明日の暁の風に向かい 狐を追い走れ 荒野へと野生の寒さへと 巌に注意し走れ 最後に育まれる愛へ備えあれ 語らい合うべく生きよ ここ大地に天空の外に 栄光へと続く道の途上に 追尾の歴史は刻まれよう かの降誕祭にその身を置き 愉しむべく食べ酒を交わすがよい 川辺に憂いは捨て置き 愛を尽くせば機は与えられん 凍てついた湖氷をよぎり 狐を追い走れ 恋しきもの辿るその途に沿い 狐を追い走れ 降誕祭の月かの月の下 狐を追い走れ 夢想家の歌を歌い上げ 狐を追い走れ 数々の道その橋の彼方へ 狐を追い走れ 夢想家の操る飛行機に乗り 狐を追い走れ 降誕祭の月かの月の下 狐を追い走れ 「ディス・イズ・ヨア・ライフ(それが君の人生)」 罪つくりなパーティーを開こうじゃないか 今のあるがままで出席し 赤の他人を適当に色づけしてみよう 七色の虹は涙でできあがっているってこと 人生とは希にみる混乱 人を安堵させることなど叶わぬ どのろうそくにも炎は複数 いつまでも飽く事なき赤い靴 パーティーからパーティーへと 他人から他人へと渡り歩き 入れ墨の青い鳥と 難破船、そして天使 苦しみが沈痛であればあるだけ 夜空には多くの星がまたたく 浜辺の子供の、雨の中の 子供のため、歌いつづけて・・・ それが君の人生 男と女がナイフを弄ぶ それが君の人生、そんな回転木馬 怒りにかまけていられる そんな暇などない 夢の寝床でもやもやをふり払ったとたん 愛が君の目に飛び込んでくる そんな君の人生、それが君の人生 平穏に渡りきることが約束され うまいこと切り抜けることは約束され 天国へ行く事は約束されても だのに門前で延々待ち行列の地獄 月明かりで疑われたり 笑いの咎で断罪されたり 魂の抜け殻みたいに 丘でひとりぼっちだったり すべてが言われ、やり尽くされた時に 水はワインよりも甘くなる こんな人生を乗りきるために 流れに身を投じてみるだけ それがやり方… それが君の人生 男と女がナイフを弄ぶ それが君の人生、そんな回転木馬 怒りにかまけていられる そんな暇などない 夢の寝床でもやもやをふり払ったとたん 愛が君の目に飛び込んでくる それが君の・・・ 授業開始のベルがせき立てる それが君の人生 男と女がナイフを弄ぶ それが君の人生、そんな回転木馬 怒りにかまけていられる そんな暇などない 夢の寝床でもやもやをふり払ったとたん 愛が君の目に飛び込んでくる そんな君の人生、それが君の人生 鋳掛け屋、仕立屋、軍人、船員や 金持ち、貧者 乞食野郎も、泥棒も しかし、分かりにくいのが最初の一節。Come as you are this yearというのがどうも分からない。意味上も文法上も不可解。strangerを色づけするというのもよく分からない。2節目以降の、人生を山あり谷ありで慌ただしいが肯定的に歌っている歌詞になんとなく違和感がないよう曖昧に訳してごまかしました。すみません。 シンフィールドの詞はここに掲載していますので、どなたか助言乞う。 |