「シー・ゴートの詩」 *英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
シー・ゴートは鏡と煌めく涙の雫を通じ 水瓶座の神代文字を投げ放つが
人の口先より這い出るは 杏子の甘言 海賊の戯言ばかり
マイダス王の聖油でその目を清め見れば 事はあきらかであろうに
アラディンのランプは赫く輝き丹薬を変質させゆく
人々の魂を占める甘美な底なしの欠落へ
「この声が聞こえぬか」とシー・ゴートは歌う「意味なき戯言には倦怠した」
「あきらかであり喫緊であろうに」「我らは打ち克ち行かねばならぬ
狂人のたわごとに とりとめなき行いに
降り続く雨の日々の如く湧きいずる苦悩に!」
シー・ゴートは渡り鳥の進路を読み 砂上に書きつけるが
行く手を指すその掌の間を 秋の収穫の麦の 黄金の滝は落ちゆく
その指は決断により硬直しつつも 尚も楽隊を手招きし
「全速前進マーチ」を奏でさせ 何たる不条理か
空疎なる言葉にてこの世界を聾せんとする
「旗幟鮮明にせよ」とシー・ゴートは歌う「果てしなき夜はまだ続く」
「意図を公に示そうではないか」「皆に旅立つ事を告げねばならぬ
大地に触れ 万物の誕生に 微笑に立ち会うために
未だ紡がれぬ人生の書き下ろされる様を見届けるために!」
あたりを満たし 空間に満ち満ちて
シー・ゴートの詩は丸屋根内にこだまする
かかるシー・ゴートの詩の如く 果てしなく彼は徘徊し続ける
平坦な灰色の街路を覆う日没の深紅のヴェール
そこでは一人の酔いどれが彼の尾の如く長々と管を巻き続けている
シー・ゴートは霧深き路上に佇み おのが杯を一口啜っては投げ棄てる
そこでは閉鎖した蛇輪にして止まる事なき列車が荷重に苛まれつつ走り続け
乗車する春の瞳をした舌足らずの生粋の若造達は棒L字に接吻をする
漂白剤と青汁と赤い血とが その制服に直きに染みを作ることだろう
忌々しい石頭 金ぴかに目の眩んだ将校および紳士達!
「天の神は」シー・ゴートは歌う「いずれにも味方なさるもの」
「この世は」シー・ゴートは歌う「潮のように常に移ろうもの」
「そしてこの芝居は」「奇妙な具合に構成されたものにて」
「ここではそなたは役柄の部分にして 序章は終幕に示され
東は西へと転換し 太陽も焼き消えんとする」
「そしてそなたは役柄の部分にして・・・・・・」
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「アンダー・ザ・スカイ(大空の下)」*英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
微笑みには微笑みを返そう
涙ぐんでても
朝日を浴び踊ろう
この大空の下
サンザシの木の高み
蜂と蝶は
木の葉の間に幸せを捜す
この大空の下
空まで曲がりくねる路を辿ろう
どうしてなどと考えずに
夏の林間のまだらの緑
燕は飛びかい
歓声を上げ子供達も遊ぶ
この大空の下
笑顔の男に微笑もう
涙ぐんでても
朝日を浴び愛しあおう
この大空の下
空まで曲がりくねる路を辿ろう
どうしてなどと考えずに
苔むす柔らかな瀬に
静かに身を横たえよう
すべてはすべてあるがまま
この大空の下
すべてはすべてあるがまま
この大空の下
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「君なればこそ(そばにいてほしいんだ)」
英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
月が松の木にかかる時、僕を労わってくれるのは誰
きつい北風のすさぶ時、僕の枕になってくれるのは誰
夜中に焚き火が消えようとする時、そばにいてくれるのは誰
それは君、君がそばにいてくれないかなあ
飢えた狼の群から、僕をかくまってくれるのは誰
不平の嵐が収まるまで、僕を静めてくれるのは誰
戦いを明日に控えて、鎧を磨いてくれるのは誰
それは君、君がそばにいてくれないかなあ
それとも誰か別の人を捜すっていうの
それとも洞窟とか岩棚でいたずらに日々を費やすの
孤独な暮らしを友として
自分で道を開いて行けというの
車のエンジンが過熱した時、水を運んで来てくれるのは誰
路上で靴擦れに悩む時、軟膏を差し出してくれるのは誰
失望の雨が降り注ぐなか、どこに僕は逃げ込んだらいいの
君をあてにしていいかな、ねえ、そばにいてくれるよね
それとも誰か別の人を捜すっていうの
それとも洞窟とか岩棚でいたずらに日々を費やすの
孤独な暮らしを友として
自分で道を開いて行けというの
月が松の木にかかる時、僕を労わってくれるのは誰
きつい北風のすさぶ時、僕の枕になってくれるのは誰
夜中に焚き火が消えようとする時、そばにいてくれるのは誰
それは君、そばに君がいてくれないかなあ
君がそばにいてくれないかなあ 君がそばにいてくれないかなあ
君がそばにいてくれないかなあ
そうさ、もちろんいてくれるよね
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「完璧食品のブギ」 *英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
真っ赤なりんごをかじりたいな
着色も艶出し剤も消毒もされていないやつを
ロシア風の蕎麦料理を味わいたいな
湯気の立つ胡麻だれのかかったやつを
朝食には味噌汁がいいな
魚臭いソーセージは海へ戻してくれよ
俺はファンキーな大食らい道楽だからさ
自然食を食ってりゃ人生は極楽さ
ぐにゃぐにゃチキンは舌が受け付けないね
紫外線殺菌の独房で育ったようなやつは
ひげ剃りクリームケーキは見たくないね
試験管で味付けしたキャラメルみないなやつは
レトルト夕飯なんか願い下げ
何を食べるかは俺の問題だっちゅーの
俺は変わり者の有機食道楽だからさ
自然食を食ってりゃ人生はお気楽さ
俺が欲しいのは完璧な自然食
一杯の穀類とか豆の滋味
毎日が自然食、自然でファンキーな人生の為
君は公害に対しては神経質だけど
自分の食べ物について真剣に考えたかい
病的に甘くされ毒され香り付けされ
着色され加工されて・・・神様もビックリ
ファンキーな食生活ってもんがあるだろ
気ままでお洒落、自由でハッピーでいられるような
やろうぜ君も、宴会をおっぱじめよう
工場生産じゃなく、大自然から直送の
まっとうな食い物だぜ、完璧な自然食とか
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「スティル」 *英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
今も 自分が小川であったならどうだろうと思う
暗い泉より絶え間なく溢れいで
苔むす古き水車を回し
海への道を蛇行していく
しかも何も知ろうとも思わぬ
今も 自分が樹木であったならどうだろうと思う
季節の移ろいに従順に仕え
空よりの雨滴で乾きを癒し
冬の風雪に傾き耐えている
その理由を確かめたいとも思わぬ
今も 自分の存在に戸惑ってしまうのは何故かと思う
私の言葉のことごとくは
まるで殻竿の柄のごとくに
この麗しい地球の表面をただ空回りするだけ
まるで愚かな犬が自分の尾を追いかけるよう・・・
まるで仕立屋たちと鋳掛屋たち、王子たちにインカ人たち
船乗りたちと潜水夫たち、私の前の世の、私のようなあまたの人々・・・
今も 自分が小鳥であったならどうだろうと思う
夜明けごとに甘く囀り
世界が起き出そうという時には
遠くへと飛び去っている
空しい結論など探そうとも思わない
今も 自分がかつては鳥であり、小川であり
樹木であったのだろうかと思う
高峰を目指すにはまず深く沈潜すべきであり
まるで移り行く潮の満ち干のように・・・
まるでシーザーたちとファラオたち、予言者たちと英雄たち
詩人たちと浮浪者たち、私の前の世の、私の後の世の人々・・・
皆全て、画家たちにダンサーたち、山腹の冒険家たち
実業家たちに賭博師たち、銀行家たちにごろつきたち
勝利者たちと敗残者たち、天使たちと酔いどれたち
ビートルズたちとボランたち、雨滴たちと海たち
王たち、歩兵たち助祭たち、冥き者たち灯台たち
さらにまた、シーザーたちとファラオたち、予言者たちと英雄たち
詩人たちと浮浪者たち、私の前の世の、私の後の世の全ての人々・・・
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「想い出の封筒」 *英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
僕はまるでどの扉にも合わない錆びた鍵のよう
君はわけも言わず僕の淡い夢の城を奪い去った
立派な殉教者の帽子も、ネオンの文字飾りの足も
街角を描写する天資も、僕は持ち合わせてないと君は言い捨てた
食べて行くために君を少々必要とし、君も僕が必要だった筈
二人乾杯し血の色の瓶を交わしあった、氷に似たあいつが示すまで
5時ともなれば印刷機の染みはもう落ちやしないと
だから僕は君を見失い、君の言葉を
朧な想い出の封筒へと投げ入れた
僕はまるで糸巻きを握る者のない落ちゆく凧のよう
星と輝く船に飛び乗ったのに、君は舵を残し去った
船賃で賭をする成金客達、浮薄な君はその後を追い
船底の穴が告げられ、笑い声を残し君は風とともに去った
船に残った殆どの者が船員達とブランデーを汲み交わし
船室長はその鉄の容れ物を閉鎖し、列の痴れ者を指さした
残響も失せた過去の時間への代償を未だ稼ぎつづけ
だから僕は紙幣を焼き棄て、過去の請求書を
色あせた想い出の封筒へと投げ入れた
時間の乳房を吸って、その乳をインクの中に封じ込めねばならない
夢の詰まったその瓶を手にしていまわの際の帳尻を合わすために
僕の吐く剣幕や煙幕が君の辿る道を見えにくくしたとしても責めないでくれ
僕はただお道化てただけで、その作りかけの壺を積み上げるため
君が踏み台にして登るため、この背中を差し出しはしなかった
だけど君は聖壇に登るためのガイドブックを
物寂しい想い出の封筒の中から見つけるのだろう
僕はまるで混乱し、現れるのは幽霊ばかしの廃墟のよう
埃にかすんだ窓の見とおし、蜘蛛の巣状の目かくし
このロックンロールと女色と虚飾とを僕は愛し、同時に憎んだ
青春の花などとうに食い尽くしても、根だけはいまだにはびこっている
かつての祝杯は今や人生の交差点上の位牌
闇のうちに黒衣の簒奪者は命運のランプを入手したらしい
僕は幾年も強制収容所で過ごした今となっても
氷上のあいつが今もいるのではと恐れている
バグパイプの気配、べに色の毒杯をもったままの姿で
ともあれ多くの夢を見ることが出来たし、それには僕も喝采しよう
だけど長くはかからないだろう、僕がこの歌を
黒枠の想い出の封筒へと投げ入れるまで
黒枠の想い出の封筒へと・・・
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「パイパー」 *英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
ぴかぴかしだした 薄暮の下
シナモン色の目 妖精による取り替え子
秘密の林間の空地 その路を歩みつつ
手にした笛で奏でるセレナーデ
幽霊のような木々に 見え隠れ
きらめく星明り 木の葉の合間
ぶらぶら歩む まだらのキノコ道
戯れに小妖精の集会に出ようと
茶色のフクロウが樫の上で鳴いている
狐が遠吠えし 緑の蛙が声をあげる
木々を抜けて 神秘の月の下
彼も妖精の調べを吹く
苔むす橋に 向かって歩む
泡なす小石 水の流れる所
草地を越えて 丘の向こうへと
そして、風にのって彼の音色がまだ聞こえてくる
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「希望と夢想の家」 *英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
自尊心という壊れた器が床にころがる
掛けがねを外した扉が夜の帳を引っ掻く
君は戻るのだろうか 流れが、風向きが変わるなら
承知、承知してか
希望と夢想の家を僕も築いていた
ジプシーヴァイオリンに酔いしれ、君のように
裸足で炎の上を駆けては火傷した、君のように
二人一つに抱き合うくつろいだ時間
見つめ合う目と目にまわりだす回転花火
今は空疎な日 退屈で、渋滞道が続くよう
一人、そして一人
希望と夢想の家を僕も築いていた
浮かれてテーブルで踊り、君のように
夢の大海を泳いでは溺れた、君のように
涙の洞窟を堰き止めて泣き顔をこらえ
感情の馬を繋いで内に閉じこめ
心は見せまいとしたが 君を、気持ちを知りたかった
もう一度、もう一度、幾度でも、築くため
希望と夢想の家
虚飾のトランプの箱の上
希望と夢想の家を築くため
いかさまサイコロのレンガで
希望と夢想の家を築くため
ルーレット盤は成り上がりへの階段
希望と夢想の家を築くため
何より愛に守られ結ばれて
愛で、愛で、愛で、愛の
愛の絆で強く堅固に築かれたはずの・・・
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「ナイト・ピープル」 *英詩(ソング・スープ・オン・シー)はこちら
青いネオンの時計の針が密かに星々を過ぎ行き
一日の最後の導火線が燃え尽きて行く
つかのまの酔狂に疲れた道楽者を詰め込み
霞み目の車が黒く濡れた道路に犇めく
ソーホーでは薄汚れた給仕がごみ箱を蹴散らかす
ドアマンはツイードの襟のなかへ欠伸をかみ殺す
残響と空虚とが今日と云う日をホースで流し去ると
ナイト・ピープルがいつしか湧き出すように登場する
スポットライトの目つきのほの白いめかし屋達は
騒ぎ声のソースを氷に注ぎかける
ブランデー漬けの笑みのベルベット・ドール達は
サイコロの歯並びで男にしなだれかかる
穴蔵のバンド連は鋲打ちのようにドラムの連打
吐き出す音はエレキ仕掛けの槍
ダンサー連は煙幕によどんだ空気の中
蹴上げる足はマリオネットばり
不夜城の蒼き道化達よ 踊り続けるのだ
不安を覆う金めっきが剥がれぬように
チャリング・クロス橋たもとの古びたティー・スタンド
その灯りに群がり集うのは淋しい蛾達
アーチ道の隅のオーク材を渡したベンチの上
新聞にくるまり寝てる酔っ払いの浮浪者達は
巡査に追い立てられて スープ配給のため行列待ち
この世の果てまで伸ばされる手袋から逃げようとしている
しかし 宝石に身を飾り立てる亡霊達と彼等との共通点
あてもなくある種の愛を求めてはあがいている
火の消えた葉巻を不機嫌に齧る百鬼夜行達は
水晶の広間でかけらを重ね上げている
女優を夢見る星屑達は一本指の仕草に呼ばれようと
スパンコールの胸元に香水を香らせている
ラインストーンを纏ったストリッパー達が
勿体ぶって脱いでいく真赤な柵越し
親分がうなり声をあげると取巻き供も拍手喝采
まったくもってヤクザ連の面白絵巻
誰も彼もが夜通しの馬鹿話に夢中
盛り上げ役の笛吹きは一人全く報われない
デニムシャツのシャンパン狂い達は
スプーンから活力源を鼻にすすり上げる
笑顔の娘達は互いの星座宮を尋ねあってるが
その目は孤独な魂の唄を歌っている
4時を廻った頃 ワインの味も落ち
コーヒーはとっくに冷え切っている
浮かれた一行は最後の挨拶を交わして
盲滅法あてどなく退場していく
うたかたの一夜の夢もやがては果敢なく
灰色へと溶明する、溶明する
夜明けのつむじ風に木の葉はくるくると舞い
ざわめき声・・・カーテンを開けると・・・もうそこには一日が
新聞配達車やオレンジを積んだトラックが
フリート街からイーリング大通りへと唸りを立てていく
掃除婦達を乗せた始発バスがストランドのバス停に止まって
牛乳配達車や郵便配達車が行き交う
ユーストンには通勤客、店員の女達とストライプスーツの男達は
押し合って、へし合って、
車はクラクション、ブレーキが軋み、そして・・・
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