著者:西野博道。双葉文庫。作品一覧へ
95年刊行。00年文庫化。
イギリスの各地に残る5千近くの城の中から30を選んで解説した 案内書であり、また、著者自身が実際に訪れたときの エピソードなど紹介した紀行文でもある。カステル・コッホの「カステル」とはウェールズ語(ケルト語)で 「城」の意、とあったけど、そういえばフランス外人部隊の訓練所がある 地域がカステルノダリといったけ。関係あるのかな。 確かフランス語で「城」は「シャトー」だったはずだけど。
「英国版万里の長城」。 かつてローマ帝国がブリタニアを支配していたころ、 スコットランド人の侵入からイングランドを守るために 築いたヘイドリアンズ・ウォール(ハドリアヌス帝の長城)というもの。 知らなかった、驚いた。
「それにしてもあれだけ雨が降ったのに、通りには 傘をささないで歩く背広姿の男が多かった。 ・・・こちらの人は上着というのは濡れるためにあるとでも 思っているのか・・・」
英国人は傘をささない、というのは本当らしい。・・・いろいろ興味の尽きない内容である(笑)。
おっと、肝心の城の方、イングランドのロンドン塔、ウィンザー城の 有名どころはもとより、ウェールズからはケルフィリー城、コンウィ城、 スコットランドからはエディンバラ城、さらには 上記ヘイドリアンズ・ウォールなどが紹介されております。
イギリスの城というもの、歴史を紐解いてみると日本とは大きく異なります。 その形、色、という意味ではなく、その存在理由において。 日本の城は他国(他家)と闘うためにありましたが、 英国の場合、その支配者が現地人の反乱から身を守るために 築かれたものが多いのだ。 こういう違いを目の当たりにすると、同じ皇室を戴く島国でありながら その歴史は大きく異なるものがあることを実感せずにはいられません。
それはともかくとして、イギリスへ行ったことなくても、 読んでいるだけでなんとなく英国人気質の伝わってきそうな楽しい一冊でした。