クーデター
著者:楡周平。宝島社文庫。
この本を読んでみて、述べたい点がいくつかあるので整理しながら書くことにします。
まず、作品の出来具合。
文句なく秀作と思います。舞台設定、ストーリーの展開、戦闘場面など、
どれをとっても満足して楽しませてもらいました。
実際、武器等の取り扱いシーンなど、こと細かく描写されていて
納得のいくものばかりでした。
あとで参考文献を見てびっくり。私が所持している本が半分くらい占めてました(笑)。
もしかして、と思って著者経歴を見たらやっぱり。
私と十も違わない年齢。でもこれだけの作品が描けるなんて凄いです。
次に、というか、ここで列挙して終ります(多分)けど、
この作品と現在の日本の状況について。
この作品を大まかにいってしまえば、とある宗教団体のクーデター計画を
主体にしたサスペンスたっぷりなエンターテイメント(逆か^^)、ってくらいですかね。
しかし、この物語に使われている一つ一つの事象を取り上げてみると、
実際に起こったことや、起こっているであろうことであるのに気付く。
この国はそれらの事に対して未だに何の対処も出来ていない、
という恐ろしいことにあらためて気付かされる。
例えば<北>との緊張については昔から、そしてつい最近も
「衛星打上げ」(笑)というホットな話題もあったのに、
それに対する動きははたして為されているのか。
事の起こった数日間だけマスコミが騒いだことはあっても、
それ以降国会で話し合われる項目のはたして何番目に位置されているのか、
いや対象にすらされていないのではないか。
そもそも、世界第二位の軍事予算をかけている組織が
違憲か合憲かといった基本的な問題からして
未だに宙に浮いているではないかい。
こんな国家、果たして存在していていいものだろうか。
周りからすれば訳の判らん国だから無視したいけど、
その戦力は無視できん、ましてや経済力といったら・・・。
まるで、プロレスラーの肉体に幼稚園児の頭脳を与えたようなものか。
はっきり言って、私は今すぐ自衛隊は合憲としてもらいたい。
そして名称を自衛隊から国防軍に変えてしまえばよい(笑)。
そうすることで初めて世界からまともな国家と認めてもらえると思う。
もちろん、そうなれば今のような外交オンチではすまされなくなります。
権利と義務は表裏一体、してもらえるようになれば、
しなければいけないことがあるのは当然のこと、ですよね。
国家にとって軍隊と外交、将棋で言えば飛車角のようなもの。
これなくして勝負は成り立たん
(もっとも飛車角落ちでも勝っちゃう人はいますが、これは例外)。
で、肝心の国防軍予備軍、「自衛隊」。
問題点は小説中に列挙されているのでわかりますよね。
まあ、政治が足を引張っているためなのですが、
領土は狭くとも一億二千万の人口を有する国家にしてはお粗末過ぎるな。
一体これで何を「自衛」できるつもりなのか教えて欲しい。
結局自国で守る気が無いのなら最初から余計な予算
(繰返しますが世界第二位)は必要無いのでは、ねえ。
作品一覧へ
著者一覧へ