サダム・フセイン

著者:ジュディス・ミラーローリー・ミロイエ。 訳者:舛添要一。飛鳥新社。

原題「SADDAM HUSSEIN AND THE CRISIS IN THE GULF」(90)
90年訳出。
訳者あとがきの言葉を借りれば、
本書は、サダム・フセインやイラク、また中東全体についての基本的な解説であり、 この分野の知識の乏しい日本人にとっては絶好のハンドブック
まさにそのままの本でした。 同じイスラム教でもシーア派とスンニ派の確執の歴史。 第一次大戦後、列強たちの「黒い」金の鉱脈を巡っての領土の取り合い。 クルド族、ユダヤ人、パレスチナ人。 イラン・イラク戦争。 アラブの盟主の地位を巡る水面下の争い・・・。
列強たちの都合で二つの国にわかれたイラクとクウェート。 片方はイギリスとトルコの都合で成立したインスタント国家に過ぎない。 湾岸戦争の原因の一つには、列強たちの過去に犯した過ちと、 その後の処置の責任をを放置したことにあると断定できる。 これは中東だけに留まらず、東欧しかり、東亜しかり、である。
サダムの行いは現代のアメリカン・スタンダードのルールでは狂人だし、 私もその通りだと思う。 しかしアラブのルールでは考え方によっては 英雄にも成り得る行為でもあるのだ。
もちろんアラブでもそうでない方が多いかもしれないが、 そういう見方もあの地では不思議ではない、ということ。 つまり大事なことは、時代と民族が変われば、価値観も変わる。 万国共通、古今不変の価値観など在り得ない、ということだ。
ヒトラーを支持したドイツ人、オーストリア人。 東条英機を支持した日本人。 原爆投下を肯定したアメリカ人。 全て歴史的事実である・・・。

作品一覧へ

著者一覧へ