事実の考え方

著者:柳田邦男。新潮文庫。

87年刊行、91年文庫化。
事実<Vリーズ続編です(笑)、と勝手に思ってたら 本当にそういうシリーズで(汗)、しかも既に第4弾だとか。 83年の大韓航空機撃墜事件、85年の日航ジャンボ機墜落事故を例にとって、 報道というものがいかに根拠のない憶測や思い込みによって歪むものなのか、 報道する側の立場から説明してくれている。
最近の事件のニュースやワイドショーにおけるリポーターは饒舌なほど流暢なのだが、 型にはまった形容詞や形容句を安易に使う傾向にあると言う。 「悲しみにうちふるえた」「憮然とした」「反省の色もなく」・・・と言った類の描写が それである。 それらの描写が事実かどうかは実際に現場を丁寧に見てまわらなければ 確かめようがないことなのに、テレビのリポーターの口から発せられた瞬間から 事実≠ニして認識されてしまうのは恐ろしいことだと思う。
事件・事故報道では、核心に触れるような重要な情報というものは、 発生直後の段階ではわずかなものだ、という。 それは情報自体の誤り、情報の解釈の誤り、情報選択の誤り、情報の力点の置き方の誤り、 予測やストーリー構成の誤りなどが入り込む危険が、いつも存在しているから、と。 そこへさらに報道する側の恣意が加わることもあるとすると、 情報とはいったい何なのだろうか、と考えずにいられない。

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