著者:木村譲二。光文社文庫。作品一覧へ
文庫書下ろし、91年刊行。
「湾岸戦争が終わって満五年・・・」という書き出しから、 91年当時に5年くらい未来の状況を想定して書いた小説です。 テーマは中東の武器調達をめぐる米ソ情報戦で、 中東の情勢は概ね予想通りの動きですが、 ソビエト体制が崩壊に向いつつある、という認識は持っているものの、 さすがにソ連という言葉が消えることまでは予測できなかったようです(苦笑)。
まあ無理もない、この本が刊行されたのが10月ですから、 執筆の前のアイディアを練る段階の頃(半年以内ってことはないだろう)では クーデター(8月)すらまだ夢物語に過ぎず、 まさかソ連が文字通り消滅(12月)するなんて超能力でもない限り 予測は不可能でしょう。
ということで、著者にとってはいささか都合の悪い作品となってしまいましたが、 ソ連・KGBをロシア・FSBと置き換えれば内容的にはまったく問題ないですし、 FBI・CI3とかクワンティコ海兵隊基地の描写はお見事だと思いますわ。