教皇暗殺

著者:トム・クランシー。 訳:田村源二。全4巻。新潮文庫。

原題:「RED RABBIT」(02)。04年訳出。
時系列でいうと「愛国者のゲーム」と「レッド・オクトーバーを追え」の間に入るものだが、 原書が書かれたのは02年ということで「合衆国崩壊」や「レインボー・シックス」よりもずっと後の作品であり、 のちに権力の頂点に上りつめる彼もこのころはまだCIAの駆け出し分析官という時代の話だ。 ということで登場人物のキャラクター的には若返っているんだけれど、 逆に著者の方は経験を重ねて表現力に円熟味を増しているので、実に優れた作品になっています。 こんな面白い本を古本屋でわずか420円(105円×4)で手に入れてしまって実に申し訳なく思う(^^;。
面白いのは、この物語の時代背景は米ソ冷戦真っ只中であり、決して現代の価値観で書いてないということだ。 いや、結末を知っている者の特権で当時の滑稽な部分をいささかばかり デフォルメして表現しているかもしれない(笑)。 例えば、作品中で登場人物が国内のメディアを皮肉って、
「・・・メディアは核兵器そのものも嫌いなのに、ソ連の核兵器は進んで大目にみようとする。 メディアはどういうわけかソ連の核兵器は世界平和を脅かさないと考えているのだ・・・」
これね、「メディア」を日本に限定して、「ソ連」を「中国」に置き換えて読んだら面白くない?(~_~;
もひとつ、ちょっと長くなるけど、
「マルクス主義の新しい貴族たちが、自分たちに高位と安楽を約束してくれる体制に決して疑問を 投げかけないのは、かつて帝政時代の貴族たちが、自分たちの支配によって農奴がどれほど苦しんでいるか、 めったに考えかなったのとちょうど同じである。なぜか? 世の仕組みが本質的には変わらなかったからである―――変わったのは色だけ、 つまり帝政の白が共産主義の赤に変わっただけで、形はなんら変わらなかった・・・(中略)・・・ 赤い世界ではすこしばかり血が流れても目立ちはしない。 (^o^)/

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