第3巻 東条英機と軍部独裁

著者:戸川猪佐武。講談社文庫。

85年刊行。
↓の四作品を読み終わって、かなり経ってからBOOK OFFで入手しました。
昭和十四年の阿部内閣から、米内、近衛を経て、2年9ヶ月もの間君臨した東条内閣を中心に 小磯、そして終戦の日の鈴木内閣までをこれ一冊で網羅。 これを読むと、日米戦争は起こるべくして起こったんだ、ということがよくわかります。 日本の不幸は東条英機ひとりの責任にあるのでなく、 誰一人として率先して開戦に反対する勇気無く、 そして誰一人として命を懸けてまでも終戦に導く勇気を持たなかったことである。 いや、勇気がどうこうよりも責任感が欠如していたというべきか。
以下、開戦決定の御前会議の前の日の、天皇と杉山陸軍参謀総長とのやりとり。

天皇 「日米が開戦するとして、どのくらいですむものか」
杉山 「南方方面の作戦は、三ヶ月ぐらいで片づけるつもりでおります」
天皇 「汝は、支那事変勃発当時の陸相である。そのとき朕が、どのくらいで終わるかと尋ねたおり、 一ヶ月ぐらいで片づくと申した。しかるに、シナとの戦争は、四ヵ年の長期にわたっているが、 まだ片づかないではないか」
杉山 「シナの奥地が広く開けていて、予定どおり作戦が運ばなかったのであります」
天皇 「シナが広いというのならば、太平洋はなお広いではないか。いかなる確信をもって、 三ヶ月で片づくと申すのか」
これには杉山も答なく、ただ頭を下げていた。

興味深いのは松岡洋右で、今日でこそあの三国軍事同盟の立役者のように言われているが、 積極的な意志は持っておらず、むしろ米国を見る目は他よりも確かだったように思われる。 歴史にもし≠ヘ禁句だが、もし松岡追放がなかったら・・・、を 考えてみることは魅力的である。(03.6.27)

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第4巻 吉田茂と復興への選択

著者:戸川猪佐武。講談社文庫。

昭和60年発行。
川崎の古本屋で何気に入手したのは第4巻から第7巻までの4冊。 その前は見あたらず、その後はあるのかどうかも知らないが とりあえず吉田茂から田中角栄まで網羅していたので買うことにした作品。
ここ最近の政治の流れは興味深く追っているものの、昔をよく知らなかったので とても勉強になりました。 ちなみに第4巻は、東久邇内閣から第三次吉田内閣までを掲載しているが、 皇族内閣誕生のいきさつ、GHQ(総司令部)の占領政策、 吉田の登場、片山社会党政権の誕生と挫折、米ソ関係の変化と それにともなう米国の日本に対する政策の変化、 朝鮮戦争、講和条約、日米安保、と初めてちゃんと流れを知ることができた。 読む人の目的と価値観にもよるだろうけど、 どちらかというと楽しむため、というよりは勉強するための本、かな。
実はこの本を読むまで知らなかった、というか意識したことがなかったが、 自由党とか民主党って名前は昔にもあったのね。 さらには民政党とか民自党(民主自由党)とか、ややこしいなあ。 しかし笑えることは政治家たちって昔から意味も無く 離合集散を繰り返してたんだね、こうしてみると(笑)。

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第5巻 岸信介と保守暗闘

著者:戸川猪佐武。講談社文庫。

昭和60年発行。
さて第5巻は、引続き第3次吉田から第2次岸まででした。 昭和27年から35年まで、おおざっぱな流れとしては 2つの中国との関係、日本独立への道、破防法、鳩山内閣、日ソ交渉、 自民誕生、社会党統一、そして安保改定、岸退陣、 とりあえずこんなとこです。
ついに自民党が誕生しましたが、最初から派閥政治が始まる兆しが あったんですね。 しかし政治家たちって昔っから、 政治理念よりも好き嫌いでくっついたり離れたりしてたんですねえ(笑)。

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第6巻 佐藤栄作と高度成長

著者:戸川猪佐武。講談社文庫。

昭和60年発行。
第6巻は昭和35年から47年まで、およそ12年間をたった二人の総理で 乗り切っているんですね。現在から考えると信じられない時代です。 そしてこの時代を代表するキーワードと言えば、なんといっても「高度成長」ですね。 「経済の池田」が打ち出した「所得倍増計画」は見事に図に当たり、 その勢いは佐藤内閣にまで続くことになる。 そしていわゆる「経済大国」への道を進みだすわけですけれど、 高度成長というのは良い面ばかりでなく、物価上昇や公害などの弊害もあったわけで、 佐藤政権の後半あたりからこの問題が表面化してくるようで。 ところで現在社会問題になっていることのほとんどが この高度成長時代に生まれたんではなかろうか。
まあこの時代、良きにつけ悪きにつけ政権が長期にわたりどっしりと構えていたからこそ、 強力な政策が実行できたわけで、今みたいにコロコロと交代ばかりしていたら、 政治など成り立たつわけがないと思うんだけれどな。(01.4.1)

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第7巻 田中角栄と政権抗争

著者:戸川猪佐武。講談社文庫。

昭和60年発行。
第7巻は昭和47年から55年まで、この間に田中角栄2年5ヶ月、 三木武夫2年、福田赳夫2年、大平正芳1年7ヶ月、そして鈴木善幸内閣発足まで。 前の12年が2人の首相だったのに対し、この8年は4人の首相が誕生している。
参考までにこの後、鈴木内閣が2年4ヶ月、中曽根内閣が5年、竹下内閣1年7ヶ月、 宇野内閣2ヶ月(笑)、海部内閣2年3ヶ月、十五代将軍(謎)宮沢内閣1年9ヶ月、 大政奉還(笑)で細川、羽田、村山、と引継ぎ、橋本、小渕、森、小泉、と 20年で13人も誕生します。
第7巻のキーワードは「政権抗争」とあるように、政権を巡っての自民党内部の 抗争の時代でもあったようで、「三角大福」とか「大福対立」なんて言葉も生まれたようで。 さらには自民党総裁予備選挙が行われるようになったのも、この大福対立のときなんですね。
私が思うに、政治が今のようにおかしくなってしまった 始まりはこの時代だったのではないか、と。 実際、これ以降、人物がどんどん小さくなり、首相になったのは 「リーダーシップ」とは無縁の存在ばかりだし。(01.7.30)

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