台湾 ― 人間・歴史・心性 ―
著者:戴國W。岩波新書。
88年刊行。
台湾、それは非常に特殊な国である。
(いや、国というならば中華民国と呼ぶのが正しいのか。
少なくとも中華人民共和国でないのは明確なことだ、
と私は認識している)
本書はその「台湾史」を綴った一冊である。
古代、宋、元時代の台湾から始まり、
オランダ支配時代、日本統治時代を経て、
国共抗争、アメリカの援助、経済奇跡、
国連脱退、本省人総統誕生、と「もうひとつの中国」が
歩んだ道を、お国出身の著者が、かなり中立な立場で
まとめてくれている。
本書を読んでみて、あらためて台湾と日本の
つながりの深さを感じる。
統治時代の後藤新平の功績や、
戦後の元日本軍人による軍事顧問団を無視しては
その後の台湾の経済発展は決して語れないことがよくわかります。
ちなみに本書では後藤新平について
叛徒たちを大量に処刑した非道な人物と酷評しているのに、
功績の部分も挙げている点が非常に面白い。
例えば同じ人物を挙げるにしても、これがミギなら処刑の話は載せんだろうし、
ヒダリなら功績は絶対に認めないから(笑)。
歴史書たるものかくあるべし、です。
実際にあったこと、あったと思われることは、
その情報の確度を基準に公平に扱い、
判断は読者にまかせてくれるのが私は理想だと思います。
もちろんこの国には表現の自由がありますから、
自分の書きたいように書くのは勝手です。
伝聞やデマを「事実」と称し、状況や数字、証言を捏造し、
都合の悪い証拠は全て葬り去ったような物語を
書くのはそれはそれで面白いでしょう(苦笑)。
少なくとも新聞やTV、教科書でそれをしちゃあいけんでしょう。
この国のヘンなところは、書く側の自由は異常なまでに尊重されていて、
それを読む側の自由が限りなく制限されていることだ。
まるでちょっと昔のオロシヤ国のごときに。
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