官僚たちの夏

著者:城山三郎。新潮社。

「週刊朝日」連載「通産官僚たちの夏」を改題、75年刊行。
官僚が日本を引っ張り上げていた旧き良き時代、昭和三十年代を舞台に、 自分自身を犠牲にしまでも、て天下国家を語り合う熱い男たちの小説です。 このころの官僚はいばることひとつにも信念をもっていたようで(笑)、 主人公の台詞より抜粋
「役人は、むしろ、いばるぐらいにしておいた方がいい、と。 そうして近寄り難くしておいた方が、つけこまれない。 天下国家のためを思って、突き放しもし、きびしくもするのであって、 それがいつか回り回って、その業界の役にも立つのに・・・」
ただ自己満足のためにいばって、私利私欲のために国家を犠牲にしても一向にかまわず、 日本の成長の妨げとなってのさばっている今とはえらい違いですね(苦笑)。

ところで、この小説はもちろんフィクションですが、登場する政治家が、 池内信人(池田勇人)、須藤恵作(佐藤栄作)、大川万録(大野判睦) なんてほとんど実名同然。
物語の最初のほうの、池内が国務相が横すべりで通産相、なんて まさに昭和34年の岸内閣のときですね。 ということはその後の通産相に登場する「岩井浩一郎」とは石井光次郎、 一度留任する「古畑」は福田一か。 このときの「田川蔵相」とは田中角栄、経済企画庁の「矢沢」とは宮沢喜一。 古畑のあとがまの「海野派の梅石」は資料不足でちょっとわからない、 河野派の中村梅吉のことか。次の九鬼とは三木武夫・・・、 なんて連想して遊べるのも面白いですね(謎)。 さすがに官僚の名前までは誰の事だかわからなかったけど(^_^;。

作品一覧へ

著者一覧へ