長城のかげ

著者:宮城谷昌光。文春文庫。

96年刊行、99年文庫化。
楚漢戦争時代の名、いや、超脇役たちに注目した珍しい短編小説集。 面白いのは最初は誰もが出会った頃の劉邦のことを「竹の皮の冠をかむった男」と 笑いながらも注目している点です。いずれ天下を取る男ってのは、 能力の有る無しにかかわらず、人目を引くものなんですかね(笑)。
「脇役」ながら、季布、陸賈、叔孫通は名前が 辞書(小学館)に載っている人物です。参考まで。

「逃げる」
「一諾」の季布さんを主人公にして、項羽と劉邦の別の一面を対比して 描き出した作品です。 同じ人物ながら描く人によってこうも感じが違うのが不思議。

「長城のかげ」
劉邦と同じ里の出身で、父親同士も仲がよく、 劉邦と同じ年の同じ日に生まれたという男、盧綰の一生。 よく見かけるわりには歴史に名前が残ってないんですね、この人。

「石径の果て」
儒者でありながら、高祖の全国統一や南越の服属に貢献、太中大夫任ぜられ、 皇帝の没後、陳平を助けて呂氏を滅ぼした陸賈という人物のお話です。

「風の消長」
漢の二代目の皇帝は恵帝(盈)という。 同じ高祖の子であり、しかも長男だというのに庶子の悲しさだろうか、 斉王に追いやられてしまった肥。 なんだか結城秀康に近いものを感じてしまいました(~_~;。

「満点の星」
これまた儒者ですが、高祖・恵帝に仕え、秦の儀式名号を伝え、漢の儀法の整備を行った 叔孫通という人の話。やっぱ歴史、それも正史となると学者さんが有利なんですなあ(~_~;。

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