沈黙の王

著者:宮城谷昌光。文春文庫。

92年刊行、95年文庫化。
春秋時代以前、つまり半ば神話伝説の時代、夏王朝や殷(商)時代の短編集です。

「沈黙の王」
文字をつくったといわれる商の子昭の貴種流離譚。 言語障害があるが故に必要に駆られて文字を得た、という筋書きです。

「地中の火」
夏王朝の初期、中国で最初に弓矢をつくったとされる后(ゲイ)とその側近、 寒(サク)の天下覇業の過程を描いた物語。 これによると「夷」とは「大弓」という二字をつめてできた字、なのだそうです。 言われてみると確かにそのとおりだが、ホントかなあ。

「妖異記」
周王朝が滅びるきっかけをつくった幽王の代のお話。 笑わない王妃、褒(ジ)を笑わせるため、 敵が来ていないのに敵襲を知らせる烽燧を何度も上げて 諸侯から見限られた話は有名です。狼と少年みたいなもんですね。 長耳と並ぶ名君といわれた鄭公・友が登場します。

「豊饒の門」
これも鄭公が出てきます。 前半は「妖異記」の続きにあたり、 後半は鄭公の太子、掘突のお話です。

「鳳凰の冠」
晋の悼公、平公に仕えた名臣、叔向と、その周囲を取巻く女性たちのお話(~_~;。 聡明だが毒舌をふるい、いやみな女の叔姫(叔向の母)と対照的に、 季(ケイ)(叔向の妻)は美女で善女、理想的な女性として書かれています。 本筋とは特に関係ありませんが(笑)。
ちなみにこの晋が趙・魏・韓に分裂して春秋戦国時代に突入するわけですね。

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