御三家の黄金

著者:南原幹雄、上・下巻。角川文庫。

88年刊行。91年文庫化。
家康が御三家のために九百万両におよぶ莫大な黄金を遺していた! その在り処は御三家に形見わけしていた 三振りの短刀の中子に暗号にして刻ませてあった、という設定。 まあ、よくある家康の埋蔵金をめぐる伝奇小説ですが、 単なる宝探しでなくて、その短刀を御三家に幕府まで加わって 四者で壮絶に奪い合うという、とっても醜い物語(笑)なんですが、 それだけになかなかリアルで面白かったです。 中でも短刀の描写が微に入り細を穿ったもので、
水戸家に形見分けされた「郷義弘」の場合、
「刀三峯、すこし反って、幅ひろく、錵は広縵理の中錵である。 刃の内が亀文ており、鋩子はすこしとがって、反りはふかい。 ・・・舟形といわれる中子で、中子尻は正宗系の多いといわれる剣形である。」

紀州家の「藤四郎吉光」では、
「鍛え柾目こまかく、地鉄青く、堅めにきらめくところがうかがえる。 焼きの色は雪のように白く、錵は多く華麗である。 刃の堺は薄氷のごとく、匂いはきわめてふかい。 さらに鋩子うつくしく、反りはみじかい。 いかにも粟田口派を代表するばかりでなく、鎌倉期を代表する古今の業物である。」

尾張家の「時雨正宗」はというと、
「太刀幅あり、反りはすくない。鍛板目膚かすかに、地は青白くて、 刃の色水晶のごとく白く、刃文は湾れみだれの体をさまざまに模様をとって、 玉刃がみとめられた。 半月の模様の中にいかにもこまかに錵が浮かび、刃の堺はうるわしく、稲妻がある。 さらに鋩子は峰方によって尖る心がある。」

言ってることの意味はよくわからん(~_~;が、なんか凄そうでしょ!

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御三家の反逆

著者:南原幹雄、上・下巻。角川文庫。

91年刊行、96年文庫化。
徳川幕府成立後、関ヶ原で戦功のあった豊臣系外様大名が 幕府から言いがかりをつけられて各個に潰されたことは、 徳川政権の自己保存本能によるものだという。 一方で御三家というのも徳川の血を絶やさぬために 家康が考えた自己保存の手段のはずであった。 ところが家康の死後、三代目家光、および幕藩体制の側から見れば、 御三家はやたらと伯父御づらする煙たい存在だったに違いない。
そのような背景の中、まず越前少将忠直の配流、 肥後熊本は加藤忠広の配流につづき、駿河大納言忠長の幽閉が 行われれば、将軍と御三家の間は否が応でも 緊張が高まったことでしょう、この小説のように(笑)。 現実の歴史はこのお話みたいに反逆しちゃうことは無かったけれど (多分(~_~;。ひょっとしたら本当に起こってて、でも記録に残してないだけかも)、 リアリティがたっぷりで面白かったですわ。
ところで、「梨子地金具葵紋糸巻太刀こしらえの来国俊」とか、 「紙本金地着色桜花雉子図」、「紙本金地着色梅松禽鳥図」・・・ こういうのが出てくるとそれだけで萌え〜になります(^_^;。私って、ヘン?

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