火の国の城

著者:池波正太郎。 上下巻。文春文庫。

奥村弥五兵衛、向井佐助といった人物が登場するから、 てっきり真田ものだと思っていたら少し違った。 時代は関ヶ原戦役終了後から大阪の陣開始前までの、 言ってみれば「戦国の冷戦時代」を、 忍びたちの活躍をもって描いた作品である。
池波氏といえば、一般的には「鬼平犯科帳」がメジャーなのかもしれないが、 私の場合は絶対的に「真田太平記」である。 作品の何を楽しく感じるかは人それぞれにあるだろうが、 私の場合は「草の者」と呼ばれる忍びたちの活躍、というか生活が なんともいえずに好きだったものだ。
その「真田太平記」は昭和49年から刊行されはじめた作品であるが、 本作「火の国の城」は昭和44年からだそうだ。 本作には「真田太平記」で活躍する「草の者」たちの世界が 既に描かれていて、さらに驚いたことには、 これよりも古くに「忍び」たちの世界がいくつもの作品で 表現されているらしいのだ。 「夜の戦士」、「夜の戦記」、「蝶の戦記」、「忍びの風」、 「忍びの女」、「忍者丹波大介」などがそれであるらしい。 順序が逆になってしまったが、いずれ読破してみたい。 本作は思わずそんな気にさせるほどに面白いものである。

作品一覧へ

著者一覧へ