著者:南條範夫。文藝春秋。作品一覧へ
79年刊行。
本のタイトルにある桔梗、とは水色桔梗、つまり土岐明智氏の旗印をさすわけで、 この小説の主人公が明智光秀であることが本を手にとる前から想像できておりました。 光秀の青年時代から小栗栖村付近で落命するまでを描いているが、 主人公でありながら本能寺以降はあまりよく書かれていない。 まあ、良く書きようがない、というのが正解か(苦笑)。
織田家中時代の書かれ方は、とりたてて良すぎず悪すぎず、 でバランスがよく好感が持てます。 また、家臣同士の人間関係はいかにもありそうにうまいこと書かれており、 中でも蘭丸との確執はリアル過ぎて、読んでいて思わず蘭丸に憎悪を覚えたもので(笑)。 あと、可児才蔵のエピソードもうまく繋いだものだ、と感心しました。
時代考証的には特に新しい説もなく(そりゃそうだ、20年以上昔の作品だもの(^_^;)、 本能寺も当時は当たり前だった怨恨説、 ただし、これは蘭丸の悪意がずいぶんと関わっていますが。 そういう意味では、蘭丸にとっては自業自得になっちゃったわけですね(笑)。