鴻池一族の野望

著者:南原幹雄、集英社文庫。

77年刊行。82年文庫化。
鴻池財閥の始祖が山中鹿介の遺子、という話は昔から広く知られている話のようで (私は1年くらい前に初めて知ったのだが(~~;)、 さらには清酒の生みの親であり(これも1年前)、 後の三和銀行に繋がっていくことも有名な話(これはなんとか知っていた)です。
豪商・鴻池一族は醸造業、廻船業の他に両替商としても成功していたが、 中でも特に「大名貸し」で莫大な利益を得ていたらしく、 これを、鴻池一族が全国六十余州を経済支配し全国制覇の野望を企てた、 という筋書きで書かれたのがこの本というわけでして。
吉宗の時代に中町奉行が地下に潜る、ということをうまく鴻池の台頭とリンクさせて 吉宗と善右衛門の対決を引き出していることも見事だし、 裏方としての旧尼子勢力のバックボーンとして鴻池新田の背景をうまく利用していることや、 近衛家が鴻池に対してとってきた好意的な態度をして 天皇家に近づこうとする鴻池一族の政治的な野心の現れ、と位置付けるあたり、 話の持っていき方が巧みである。 武家と商人を絡めた時代小説を描かせたら最も上手い作家のひとりだと思います。

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